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転生したら最強種だけどレベルが最弱でした。  作者: マッティー


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第十二話 名前のない竜

第十二話です!

街編スタート。

そして銀髪少女の愛称が決まります。

「終わったぁぁぁ!!」


 ユウトは頭を抱えていた。


 街中の視線が痛い。


 さっきチンピラを泡吹かせたせいで、完全に注目されてしまっている。


「どうすんだよこれ……」


「静かに歩けばいい」


「その静かにが難しいんだって!」


 ユウトは半泣きだった。


 しかも人化したばかりで、魔力制御もまだ下手だ。


 ちょっと感情が動くだけで威圧が漏れる。


 怖すぎる。


 その時だった。


 グゥゥゥゥ……。


「…………」


「…………」


「腹減った」


「さっきも聞いた」


 少女は呆れたようにため息を吐く。


 そして近くの屋台を指差した。


「……食べる?」


「食う!!」


 即答だった。



「うっっっっま!!」


 ユウトは感動していた。


 串焼き肉。


 表面は香ばしく、中は肉汁たっぷり。


「異世界の飯うめぇぇぇ!!」


「大袈裟」


 少女は静かに串を齧る。


 食べ方が綺麗だった。


 というか妙に上品だ。


「お前、絶対育ちいいだろ」


「?」


「なんかこう……食べ方とか」


「普通」


「いや絶対普通じゃない」


 その時。


 ユウトはふと気づいた。


「……そういや」


「?」


「お前の名前、まだ聞いてない」


 少女の動きが止まる。


 数秒の沈黙。


 そして。


「……竜は簡単に真名を明かさない」


「真名?」


「魂みたいなものだから」


 少女は淡々と続ける。


「竜にとって名前は特別。

 簡単に他人へ教えるものじゃない」


「へぇ……」


 ファンタジーっぽい。


 いや実際ファンタジーなんだけど。


 すると少女は視線を逸らした。


「だから、名前はない」


「いや不便だろ」


「別に」


「俺が困る」


「なんで?」


「呼びづらい」


 少女は少し考え込み。


 やがて小さく息を吐いた。


「……好きに呼べば」


「え、いいの?」


「真名じゃなければ」


 ユウトは腕を組む。


「うーん……」


 銀髪。


 静かな雰囲気。


 感情薄め。


 でも、どこか空みたいに透き通っている。


「……シエル」


「?」


「なんとなくそんな感じ」


 少女は少しだけ目を瞬かせた。


「……変な名前」


「嫌なら変えるけど」


 すると。


 少女――シエルは、小さく首を横に振った。


「……別に」


「じゃあシエルな」


「好きにしなさい」


 素っ気ない返事だった。


 だが。


 ほんの少しだけ、口元が緩んでいる気がした。


「……お前、結構気に入ってるだろ」


「気のせい」


「絶対そうだって」


 その時だった。


 ブワッ――。


「うおっ!?」


 突然、ユウトから黒い魔力が漏れた。


 周囲の客たちがビクリと震える。


「また!?」


「感情動きすぎ」


 シエルは呆れた顔をした。


「喜ぶと漏れるのね」


「犬みたいに言うな!!」


 すると屋台の店主が、引きつった顔で追加の串焼きを差し出してきた。


「に、兄ちゃん……これサービスでいいから、落ち着いてくれ……」


「えっ」


 ユウトは目を丸くする。


「俺そんな怖い!?」


 店主はめちゃくちゃ頷いた。


「無意識で殺気出してるぞ……」


「マジかぁ……」


 ユウトは頭を抱えた。


 終焉竜、街で普通に暮らせる気がしない。


 その時。


 シエルがふと街の奥を見る。


「……あそこ」


「ん?」


「冒険者ギルド」


 大きな建物だった。


 武器を持った冒険者たちが出入りしている。


 ユウトの目が輝いた。


「うおぉぉぉ!!

 ギルドだ!!」


「声大きい」


「だってギルドだぞ!?

 異世界のギルドだぞ!?」


 テンションが抑えられない。


 だが次の瞬間。


 入口から出てきた大男とぶつかった。


 ドンッ!!


「うおっ!?」


 ユウトはよろける。


 対して大男はピクリとも動かない。


「……あ?」


 ガラの悪そうな冒険者だった。


 筋肉もデカい。


 怖い。


「す、すみません……」


 ユウトは反射的に謝る。


 すると大男は、じろりとユウトを見下ろした。


「ガキがうろちょろしてんじゃ――」


 その瞬間。


 ユウトの背後で、シエルの目がすぅっと細くなる。


 空気が凍った。


「……ひっ」


 大男の顔色が変わる。


 数秒後。


「わ、悪かった!!」


 全力で謝って逃げていった。


「えぇ……」


 ユウトは困惑する。


 するとシエルは何事もなかったように言った。


「行くわよ」


「……お前の方が怖くない?」


「気のせい」


 絶対違った。


 ユウトはそう確信した。

「シエル」誕生回でした。

でもまだ真名は秘密です。

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