第百十八話 突然の違和感
レベル1からの再スタート。
少しずつ成長しながら、新たな日常が始まります。
ですが、その裏では少しずつ何かが動き始めてる予感…
レベル2。
まだまだ先は長い。
だから今日も依頼を受ける。
「次は何にする?」
ユウトが依頼書を眺める。
「主が選ぶと経験値基準になるっす」
シアが苦笑する。
「当然だろ」
「当然じゃないわ」
シエルが即座に否定した。
◇
今回の依頼は森に現れたロックラビットの討伐。
素早い動きが特徴の魔物らしい。
「敏捷が上がる予感!」
「もう何でも経験値に見えてるっす」
森へ到着して間もなくロックラビットは姿を現した。
小柄な体だが動きは速い。
「速っ!」
ユウトの横を一瞬で駆け抜ける。
「面白い」
思わず笑みが浮かぶ。
レベルは1からやり直し。
だが身体は違う。
視界も反応も以前よりずっと良い。
「そこだ!」
踏み込む。
一撃。
ロックラビットは地面へ倒れた。
「よし!」
討伐証明を回収する。
そして。
「食うか」
「食べるだけでスキル獲得ってどうなってるんすか」
「ホント奇妙な能力よね」
すっかり恒例になっていた。
◇
暴食発動。
《スキルを獲得しました》
《瞬脚》
◇
「よぉし当たり!」
ユウトが拳を握る。
◇
《レベルが上昇しました》
《レベル3》
◇
「順調順調」
上機嫌だった。
その時シエルの表情が僅かに変わる。
「……」
ほんの一瞬遠くを見るような目。
だがすぐにいつもの表情へ戻った。
「どうした?」
ユウトが首を傾げる。
「……何でもないわ」
そう答えた。
だが少しだけ笑顔が硬い。
◇
帰り道。
シエルはいつもより口数が少なかった。
「珍しいっすね」
シアが小声で呟く。
「疲れたんじゃないか?」
ユウトは深く考えていない。
「そうかもしれないわね」
シエルは静かに笑った。
その笑顔がどこか無理をしているように見えたことにまだ誰も気付いていなかった。
第百十八話をお読みいただきありがとうございました!
今回は成長パートを中心に、ユウトの新たな力と日常を描きました。
暴食によるスキル獲得やレベルアップも順調なようです。
そして、ほんの少しだけシエルの様子にも変化が……。
その理由は次回以降、少しずつ明らかになっていきます。
第二章も引き続きよろしくお願いいたします!
それではまた次回!




