第百十七話 暴食
第二章が始まりました。
進化の代償としてレベル1になってしまったユウト。
ですが落ち込んでいる暇はありません。
レベル上げの時間です。
ユウトはギルドの依頼掲示板の前に立っていた。
真剣な顔である。
非常に真剣な顔である。
「主」
シアが声を掛ける。
「何をそんなに真剣に見てるんすか?」
「経験値」
即答だった。
「それは依頼っす」
「経験値だ」
譲らない。
シエルがため息を吐いた。
「どちらでもいいから早く選びなさい」
◇
◇
結局選んだのはアイアンボア討伐依頼だった。
森の奥に生息する大型魔物。
硬い皮膚が特徴らしい。
「経験値の予感がする」
「意味が分からないっす」
◇
◇
数時間後。
森の奥で目的の魔物はすぐに見つかった。
巨大な猪。
全身を金属のような皮膚が覆っている。
「おぉ」
ユウトが目を輝かせた。
「強そうだな」
「それなりには」
シエルが頷く。
「でも今のあなたなら問題なさそうね」
◇
アイアンボアが突進する。
地面が揺れる。
だがユウトは避けない。
拳を握る。
そして正面から迎え撃った。
◇
ドォォォン!!
◇
衝撃。
次の瞬間。
アイアンボアの巨体が吹き飛んだ。
木を数本なぎ倒しながら転がる。
そのまま動かなくなった
「……」
「……」
「……」
「レベル1?」
シアが呟く。
「レベル1ね」
シエルも頷いた。
「レベル1だぞ?」
ユウトが言う。
「説得力ゼロっす」
即答だった。
その後。
討伐証明を回収する。
そしてユウトはアイアンボアを見る。
「食うか」
「え?食べるの?」
「あーしもお腹すいたっす」
そんな気はしてたがシアは乗り気だった。
暴食発動。
◇
《スキルを獲得しました》
《硬化》
◇
「おっ」
ユウトが目を輝かせる。
当たりだった。
◇
《レベルが上昇しました》
《レベル2》
◇
「よし!」
ユウトが拳を握る。
「一つ上がった!」
「喜びの基準が低いっす」
だがユウトは笑っていた。
レベル1。そこからの再スタート。
悪くないと、そう思えた。
第百十七話をお読みいただきありがとうございました!
第二章最初の依頼回でした。
レベルは1になってしまいましたが、ユウト自身はしっかり強くなっているようです。
そして久しぶりの暴食も発動。
ここからは成長を楽しみながら、新たな冒険を進めていくことになります。
それではまた次回!




