第百十三話 ただいま
長い戦いを終えたユウト達。
ようやく帰るべき場所へ戻る時がやってきました。
報告を終えた翌日。
ユウト達は王都を出発した。
目的地は一つ。
自分達の街。
長く滞在した王都も悪くはない。
だがやはり帰る場所は別だった。
「やっと帰れるっすね」
シアが伸びをする。
「長かったわね」
シエルも頷く。
「飯が楽しみだ」
ユウトが言った。
「そこなの?」
シエルが呆れる。
「大事だろ」
「まあ主らしいっす」
シアが笑った。
◇
数日後。
◇
見慣れた街並みが見えてくる。
門。
広場。
冒険者達。
懐かしい光景。
「戻ってきたな」
ユウトが呟く。
少しだけ嬉しかった。
◇
そして。
◇
冒険者ギルド。
扉を開いた瞬間だった。
「ユウトさん!!」
聞き慣れた声。
受付から飛び出してきたのは。
フィーナだった。
「うおっ!?」
勢いそのままユウトへ抱き付く。
「良かったです!本当に!」
「本当に!」
大事なことなので二回言った。
目が少し赤い。
泣いていたのだろう。
「心配かけたな」
ユウトが苦笑する。
「かけました!」
即答だった。
「ごめん」
「はい!」
許されたのか。許されていないのか。よく分からなかった。
◇
「帰ったか」
奥から声が響く。
ダンだった。
腕を組みながら近付いてくる。
「ただいま」
ユウトが答える。
ダンは一度だけ頷いた。
「無事ならいい」
短い言葉だがそれだけで十分だった。
◇
「ところで」
ダンが言う。
「王都から連絡が来てる」
「嫌な予感しかしない」
ユウトが真顔になる。
「報酬だ」
「最高じゃないか」
即座に掌を返した。
ダンが吹き出す。
シエルが呆れる。
シアも笑う。
フィーナは苦笑していた。
久しぶりだった。
こんな平和な時間は。
◇
研究所。
黒幕。
被験体達。
◇
辛いことも多かった。
だが帰る場所は残っていた。
仲間もいる。
だからきっと前へ進める。
その時だった。
◇
ぐぅぅぅぅぅぅ。
◇
ユウトの腹が鳴った。
「飯だな」
「ですね」
「そうね」
「それあーしの専売なんすけど」
こうして一行は久しぶりの日常へ戻っていくのだった。
第百十三話をお読みいただきありがとうございました!
今回は久しぶりの日常回でした。
王都での報告を終え、ようやく帰ってきたユウト達。
心配していた人達との再会や、変わらない日常はやはり特別なものです。
次回は王都から届いた報酬や、研究所事件の締めへと進んでいきます。
それではまた次回!




