第百七話 現実
進化を果たしたユウト。
それは黒幕が求め続けた力とは、まったく別次元の存在でした。
『試してみるか?』
静かな声だった。
だが黒幕の全身が震える。
本能が叫んでいる。
逃げろと。
だが逃げる訳にはいかない。
ここで退けば全てが終わる。
「私は究極だ!」
黒幕が叫ぶ。
「私は完成した!」
「私は終焉竜へ――」
『違う』
黒幕の言葉が止まる。
『お前は何にも辿り着いていない』
黄金の瞳が見下ろす。
ただそれだけで黒幕の身体が硬直した。
「黙れぇぇぇぇぇぇぇ!!」
黒い霧が爆発する。
翼が広がる。
腕が唸る。
全ての力を込めた一撃。
今までで最強。
白銀龍すら吹き飛ばした攻撃。
黒龍すら押し返した力。
それがユウトへ振り下ろされる。
◇
◇
ドォォォォォォォォン!!
◇
◇
凄まじい轟音。
大地が割れる。
衝撃波が周囲を吹き飛ばす。
レオンが目を見開いた。
「やられたのか!?」
その瞬間。
『終わりか?』
静かな声。
土煙の中。
ユウトは立っていた。
無傷でただ立っていた。
「なっ……」
黒幕の顔が引き攣る。
「ありえない……」
ユウトは首を傾げた。
『今のが全力か?』
「ふざけるなぁぁぁ!!」
再び攻撃。
拳。
爪。
翼。
黒い霧。
全てを叩き込む。
だが届かない。
当たらない。
触れられない。
ユウトはただ歩いていた。
一歩。
また一歩。
黒幕へ向かって
「来るな……」
黒幕が後退る。
さらに一歩。
「来るな!!」
また一歩。
そしてユウトが目の前へ立った。
巨大な怪物。
完成形。
その筈だった。
だが今は怯えるだけの存在。
『お前は勘違いしている』
ユウトが言う。
『力は奪うものじゃない』
『与えるものなんだ』
黒幕の瞳が揺れる。
『だから』
ユウトが拳を握る。
ゆっくりと。
静かに。
だが絶対的な力を込めて。
『これは』
黄金の瞳が光る。
『No.1の分だ』
黒幕の顔が凍り付いた。
そしてユウトの拳が振り抜かれる。
◇
ドゴォォォォォォォォォォォン!!
◇
第百七話をお読みいただきありがとうございました!
完成形へ辿り着いたと信じていた黒幕。
しかし進化したユウトを前に、その自信は音を立てて崩れていきます。
そしてユウトが放った一撃。
その拳に込められた想いとは――。
次回、研究所編最大の決着が訪れます。
それではまた次回!




