第百五話 進化
黒幕との圧倒的な力の差。
それでもユウトは諦めません。
そして今、彼の身に大きな変化が訪れようとしていました。
「えっ?」
ユウトの思考が止まる。
進化?
何だそれ。
聞いてない。
いや今まで成長はしてきた。
スライム。
ホーンウルフ。
その先の時も。
だが今回の補佐機構は違った。
◇
《進化を開始します》
◇
「ちょっ――」
その瞬間だった。
膨大な力が身体の奥から溢れ出す。
「がぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
激痛。
全身が軋む。
骨が鳴る。
筋肉が震える。
身体そのものが作り変えられていく。
◇
『ユウト!?』
『主!?』
シエルとシアが叫ぶ。
だがその声すら遠い。
世界が白く染まる。
意識が沈む。
◇
◇
弱かった
届かなかった
守れなかった
◇
◇
その言葉だけが頭を巡る。
◇
そして補佐機構の声が響いた。
◇
《終焉竜幼体》
《成長限界を確認》
《進化を開始》
《新たな個体へ移行します》
◇
光が溢れる。
大地が震える。
空気が唸る。
その異変に戦場全体が止まった。
黒幕ですら動きを止める。
「何だ……?」
初めてだった。
黒幕が理解できないものに遭遇したのは。
白銀龍が目を見開く。
黒龍が息を呑む。
レオンは言葉を失う。
そして光の中心から巨大な影が現れた。
今までより大きい。
今までより威圧的。
今までより圧倒的。
だがまだ光が邪魔で見えない。
輪郭だけ。
その姿を見て。
シエルが呟いた。
『まさか……』
シアも信じられない顔をしていた。
『そんな……』
そして光の中から。
ゆっくりと目が開く。
◇
黄金の瞳。
◇
その瞬間黒幕の背筋に初めて悪寒が走った。
「な……」
言葉が出ない。
ただ本能だけが叫んでいた。
危険だと。
圧倒的に。
絶対に。
関わってはいけない存在だと。
光はまだ消えない。
だが誰もが理解した。
何かが生まれたのだと。
第百五話をお読みいただきありがとうございました!
黒幕との戦いの中で、自らの無力さを痛感したユウト。
しかしその絶望の先で、補佐機構は新たな可能性を示しました。
進化。
それが何を意味するのか。
そしてユウトはどのような姿へ変わるのか。
次回、その答えが明かされます。
それではまた次回!




