第百四話 届かない
終焉竜。
その言葉はユウトの怒りに火をつけました。
そしてついに、彼自身が戦場へ飛び込みます。
一直線。
ユウトは黒幕へ向かって駆ける。
怒りを込めた拳。
迷いはない。
「うぉぉぉぉぉぉっ!!」
全力の一撃。
だが黒幕は避けなかった。
受け止めた。
片手で。
「なっ……!?」
ユウトの目が見開かれる。
「悪くありません」
黒幕が笑う。
「ですが」
その瞬間。
◇
ドゴォォォォォン!!
◇
拳が腹へ突き刺さった。
「がっ……!」
息が止まる。
身体が浮く。
次の瞬間。
大地へ叩きつけられた。
土煙。
激痛。
視界が揺れる。
『主!』『ユウト!』
シアとシエルの声。
だが。
立つ。
ユウトは立ち上がった。
「まだだ……!」
地面を蹴る。
もう一度。
もう一度だけ。
今度は蹴り。
拳。
連撃。
だが全て受け止められる。
届かない。
全く。
「遅い」
黒幕の声。
その直後。
◇
ドゴォォォォォン!!
◇
再び吹き飛ばされる。
木々を薙ぎ倒し。
岩へ激突した。
身体が動かない。
痛い。
苦しい。
悔しい。
それ以上に。
情けなかった。
視界の先。
シエルが戦っている。
シアが戦っている。
傷付きながら。
必死に。
それなのに自分は何も出来ない。
◇
◇
弱い
◇
まただ
◇
何も出来ない
◇
守られてばかりだ
◇
◇
No.1
◇
被験体達
◇
犠牲になった人達
◇
◇
何一つ救えなかった
◇
何一つ届かなかった
◇
◇
悔しい
◇
悔しい
◇
悔しい
◇
その時だった。
◇
頭の中に。
◇
聞き慣れた声が響く。
◇
《個体名ユウト》
◇
補佐機構。
◇
だがいつもと違う。
どこか厳かだった。
《成長限界に到達しました》
◇
「……は?」
ユウトの思考が止まる。
◇
《進化条件を達成》
《進化を推奨します》
◇
「えっ?」
第百四話をお読みいただきありがとうございました!
怒りのまま飛び出したユウトでしたが、黒幕との力の差はあまりにも大きなものでした。
それでも立ち上がろうとするのは、彼が諦めの悪い性格だからなのかもしれません。
そして補佐機構が告げた言葉。
その意味が何を示すのか――。
次回、大きな転機が訪れます。
それではまた次回!




