第百三話 許せない
終焉竜。
その言葉が、ユウトの怒りに火をつけます。
研究所編もいよいよ佳境です。
「終焉竜へ辿り着ける」
黒幕の言葉が夜空へ響く。
その瞬間だった。
ユウトの表情が消えた。
ユウトの中で沢山の思いや記憶が繰り返されていた。
ワイルドオーガから始まり、多くの犠牲者を目の当たりにしてきた。
時に苦渋の決断もしてきた。それも全部この実験のせいで。
今のユウトの感情は怒りやそんな生易しいものではない。
もっと冷たい感情。
「お前さ」
静かな声。
黒幕が視線を向ける。
「何でしょう?」
「終焉竜を何だと思ってるんだ?」
◇
一瞬。
◇
空気が変わった。
黒幕は笑う。
「究極です!完成です!生命の到達点です!!」
即答だった。
その答えに。
ユウトは拳を握る。
「違うだろ」
「違いません」
黒幕は断言する。
「終焉竜こそ全ての頂点!だから私は――」
「違うって言ってんだろ」
低い声。
レオンが振り返る。
シエルも
シアも
ユウトを見ていた。
今までとは違う。
ふざけていない。
笑っていない。
ただ怒っていた。
「勝手に決めるな」
「終焉竜はお前の研究じゃない」
「お前の夢でもない」
「お前の道具でもない」
黒幕の笑みが僅かに消える。
だがすぐに戻った。
「なるほど」
「君は終焉竜に特別な感情を抱いているのですね」
「違う」
ユウトが首を振る。
「お前が気に入らないだけだ」
それは本音だった。
◇
No.1
被験体達
黒い霧
犠牲になった人達
全てが脳裏を過る。
◇
「だから」
ユウトが前へ出る。
一歩。
また一歩。
シエルが気付く。
『ユウト』
止める声。
だがユウトは止まらない。
「そろそろ黙らせる」
黒幕が笑った。
「面白い!なら来なさい」
その瞬間。
シエルとシアの表情が変わる。
『待ちなさい!』
『主!?』
だが遅い。
ユウトは地面を蹴っていた。
一直線に黒幕へ向かって怒りを乗せた拳を振り上げる。
第百三話をお読みいただきありがとうございました!
黒幕の目的がついに語られました。
終焉竜へ辿り着くこと。
その言葉はユウトにとって見過ごせるものではありませんでした。
怒りを抱えたまま飛び出したユウト。
次回、ついに主人公が戦場の中心へ飛び込みます。
それではまた次回!




