第百一話 完成形への執着
白銀龍と黒龍。
伝承に語られる存在が戦場に現れました。
しかし黒幕もまた、異常な進化を続けています。
「完成形が」
黒幕の声が夜空へ響く
黒い霧がさらに膨れ上がる
空が黒く染まる
大地が震える
その異様な光景にレオンは言葉を失っていた。
「白銀龍と黒龍……」
「それだけでも伝説なのに……」
「なんで私はこんな場所にいるんだ……」
現実逃避だった。
『壊れたっすね』
『壊れたわね』
二体の竜が同意した。
「聞こえてるぞ」
レオンが反論する。
少しだけ元気になった。
その時だった。
◇
ゴォォォォォォッ!!
◇
黒い霧が一気に爆発する
黒幕の身体が変化する
増殖した腕が融合する
巨大な翼がさらに広がる
全身を覆う鱗
伸びる角
人でもない
竜でもない
怪物
それが最も相応しかった。
◇
「気持ち悪っ」
ユウトが即答した。
『主、本人の前っす』
『聞こえているわよ』
シエルまで言った。
「だから聞こえるように言ってるんだって」
ブレない。
黒幕の額に青筋が浮かぶ。
「変態呼ばわりだけでなく……気持ち悪いとは」
「いや事実だろ」
ユウトが真顔で返した。
黒幕の理性がまた削れた。
だが次の瞬間シエルの表情が変わる。
『来る!』
黒幕が消えた。
◇
ドォォォォォォン!!
◇
白銀龍の巨体が吹き飛ぶ。
「なっ!?」
ユウトが目を見開く。
シエルだぞ。
さっきまで圧倒していた白銀龍だ。
その身体が地面を削りながら後退する。
続けて黒龍へ襲い掛かる。
◇
ガァァァァァン!!
◇
シアの巨体も吹き飛ばされた。
『っすぅ!?』
黒龍が転がる。
大地が割れる。
衝撃で周囲の木々が薙ぎ倒された。
◇
静寂。
◇
誰も言葉を発せない。
白銀龍
黒龍
その二体が押されている。
「ようやく」
黒幕が笑った。
「ようやく辿り着いた」
歓喜に震える声。
「これが私の完成形です」
その姿を見てユウトは拳を握った。
嫌な予感しかしない。
このままでは本当にまずい。
第百一話をお読みいただきありがとうございました!
白銀龍と黒龍が姿を現してもなお、黒幕は進化を止めませんでした。
むしろ彼はその力を見て歓喜しています。
そして完成形へ辿り着いた黒幕は、ついに二体の竜を押し始めました。
研究所編もいよいよ最終局面です。
それではまた次回!




