不自然な好きな人。
文化祭の翌日
寮の自室で目覚めた私は、今もふわふわと夢見心地だった。
「へへっ」
ベッドの上で、昨日の出来事を噛み締める。
夢の中での出来事。
付与魔法の影響がないか聞いて、彼はハッキリと「ない」と答えた。その後に言われた「もっと好きになって。」の言葉。
彼は私の気持ちを全ては知っていないと思う。だけど、私が親友だと思っているくらいは知っているだろう。
ということは…私が彼を親友以上に好きになってもいい。ということだよね?
これ以上好きになっていいという許可を貰った!
もし、私の気持ちを察していたとすれば、それはもう生涯添い遂げるほどの大きなものを求められているよね!!
覚悟が足りなかった。
ということですよね!!
「私の気持ち、もっと伝えてもいいのかな?家格の問題はあるけれど、在学中は…アリなのかもしれない。ううん、卒業しても彼が婚約者を定めるまでは。」
そう思うと、早くクラウに会いたくて準備を始めた。
朝の準備が整うまで、緩んだ顔がなかなか直らない。いつもの顔を作るのに苦労した。こんな幸せな苦労ならいくらでもしたいけれど。
学園へ続く石畳の道を歩きながら、私は制服の襟をそっと指で緩めた。朝の冷たい風が頬を撫でても、やはり昨夜のクラウとのやり取りが離れない。
「夢になってしまったけど、幸せな夢だったな。」
少しふわふわした気分で学園の門をくぐった。
あれは夢。
何もなかった。
二人だけの秘密。
そうして教室へ行き、クラウが来るのを待った…のだけど。
「遅いな…。」
そう思っていたら先生が来てしまった。先生は昨日の文化祭の後片付けについて話し始める。
まさか休み?
心配で、なんとなく教室の入り口に視線を向けると、見覚えのあるピンクの髪色の生徒が視界に入る。それは、もちろんクラウで、入り口に一番近い席に座り、真面目に教壇に立つ先生をみていた。
いつの間に…。
授業が終わったら、何があったか聞いてみよう。
って思っていたら授業が終わると同時に姿を消していた。それは、私がお化けでも見ていたのか?と思うほど一瞬の出来事で、授業が始まると現れて、終わると消えている。
…器用だな。
しかし、これではいつまでたっても話ができない。だから、授業の終わりを告げる鐘が鳴る瞬間。動きだして捕まえることにした。
そしてその時。
授業中にクラウの位置を確認し、終わると同時に動き出す。そんな私の動きに驚いたような表情を見せ、私とは反対方向に走り出すクラウ。
やっぱり、私を避けてるんだ。
逃がすまいと追いかけると、クラウはわざわざ人通りの多い廊下へ駆け込んだ。
彼から絶対に捕まらないぞ!という明確な意思を感じる逃げっぷり。
「何で逃げるの!」
「待って!今はそっとしておいてってばぁ~!」
逃げ足は早いし、王都育ちなだけあって人混みに慣れている。学園の生徒達の人並みに紛れると一瞬で見失ってしまった。
「なんで…」
悔しい。
私は、そのままとぼとぼと教室に戻ることとなった。
何で避けるんだろう。
いい雰囲気だったのに。
昨日のこと…後悔してる?
教室に戻ると、何かの答えを求めてマルーナさんのところへ向かった。ちょうど、他の生徒と話し終え、次の授業の準備をしていたマルーナさん。
「マルーナさん…クラウが…。」
「あらあら。どうぞ、こちらに。」
マルーナさんは隣に座るように諭してくれて、素直に座る。机に突っ伏すと、頭をゴンッ!とぶつけた。痛い。痛いけど避けられたショックで頭が上がらない。
「なんで避けられてるの??」という言葉で頭の中はいっぱいだった。
◇ ◇ ◇
まだ投稿できました。あと1話、今日中に投稿できそうです。




