文化祭への意気込み(クラウ視点)
ボクっぽい…なんて言われてしまったら、このブレスレットに愛着がわいてしまう。
だからつい、本音がポロリとこぼれた。
「これ…ボクが欲しいな…」
言ってしまってから、ハッ! と我に返った。
文化祭の売り物なのに、すっごいワガママ言った! 慌てて取り消そうとしたけど、リーシュ君がニコッと笑って、まるでそれが当たり前のように言葉を続けてくれる。
「クラウさんが貰ってくれる?」
「えっ、いいの!?か、買うし!」
声が弾んで、思わず目を丸くする。リーシュ君は優しく頷く。
「もちろん、でも、これは贈らせて。」
そう答えてくれた。
その笑顔があまりにも温かくて、ボクの胸はドキドキでいっぱいになる。
彼が「手を出して?」と言うから、震える指先をそっと差し出す。リーシュ君がブレスレットをボクの腕に結び始める。細い糸を丁寧に結ぶ彼の指先が肌に触れるたび、身体がポカポカと温かくなる。真剣に糸を結ぶ彼の横顔を見ていると思ってしまう。
これって、絶対ボクのこと好きだよね!!だって、ブレスレットとか身に付けるものを贈るって…そういうことでしょ?
その瞬間、マルーナさんの声が静かに響いた。
「では、私が付与魔法をかけて差し上げましょうか?」
マルーナさんの微笑みは、どこか意地悪く見える。リーシュ君が作ったブレスレットに、彼女が魔法をかける…? なぜか、胸の奥で小さな棘が刺さったような感覚。決してマルーナさんが嫌いなわけではないのに、なんだか嫌だな…と思ってしまった。
「リーシュ君が作ってくれたブレスレットだから、せっかくならリーシュ君に魔法をお願いしようかな?マルーナさんは…これから占いで大変だし…その力は温存した方がいいし…」
マルーナさんがそれを聞いて、くすくすと笑う。ボクの心を見透かしたような視線。リーシュ君は少し驚いた顔でボクを見て首を傾げた。
「付与魔法そんなに得意じゃないよ? 」
「大丈夫! たとえどんな魔法になっても、特別な記念になるよ。」
笑顔で答えると、リーシュ君は「じゃあ」と少し緊張した表情でブレスレットに手をかざす。ほのかに光る魔法の粒子が糸に溶け込む。簡単な付与魔法かもしれないけど、ボクにはそれが世界で一番大切なものに思えた。
魔法を終えたリーシュ君が、ふっと笑い、売り物のブレスレットが入った箱を持ち直す。
「ブレスレットを商品棚に並べたら、売り場担当の時間まで自由だから。クラウさん、早速文化祭を一緒に回ろう。」
「うん!」
そう言うと、リーシュ君はおまじない売り場の棚へ向かった。
約束した文化祭、リーシュ君と一緒に過ごせる! ブレスレットにそっと触れると、彼の指先の温もりがよみがえる。
マルーナさんは、ボクたちのやり取りを静かに見つめ、ミステリアスな微笑みを浮かべた。
「クラウ様。探るのではなく、率直にお気持ちを伝えてみてはいかがですか?」
「伝えるって…。」
マルーナさんの視線、全部見透かしてるみたいに言うけれど…。
「保証してくれるの?」
「絶対なんて言えません。でも、妙な言葉を選ぶと拗れることは知っていますわ。言葉は伝わらなければ意味がありませんもの。」
「そんなこと言ったって…出来たら苦労しない…」
そこへ再びリーシュ君がやって来た。マルーナさんへ視線を向けると「健闘を祈ります」とひと言呟き、優雅な所作で手を振り、送り出してくれた。
彼と一緒に教室を出る。
文化祭の喧騒が一気に押し寄せてきて、校庭には屋台の準備をする生徒たちの笑い声や、料理の香ばしい匂いが漂う。どこか遠くで軽やかな音楽が流れ気持ちはどんどん盛り上がっていく。
ブレスレットにそっと触れ、胸の奥で渦巻くモヤモヤが少しずつ薄れていくのを感じた。
この文化祭で。
彼の気持ちを確かめる。
ボクに気持ちが無かったとしても。色仕掛けで落とすのみ。
◇ ◇ ◇
今更、投稿ペース間違えた事に気がつく。夜にいっぱい投稿するつもりでした。今日、多めに投稿して、明日4話投稿にすれば問題ないかな(・_・;)!




