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可愛い君♂に恋する私は「男装」していると言い出せない。〜男の娘と男装女子はすれ違いすぎる。〜  作者: かたたな


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相手の気持ちを測るには(クラウ視点)



 恋心と欲求を自覚してから。


 文化祭の準備をしながら「リーシュ君がボクを恋愛対象として見れるのか。」をまずは判断することにした。


 しかし、判断が難航してる。


 ふと、目が合った時。軽く手を振ってくれる。もしかして!?と思っても「いや、友達だし…」と考え直す。


 ある時は、女の子と話している時より、ボクと話している時の方が楽しそうかも…とか。どうしてもボクの主観でしか判断できなかった。第三者に聞いてしまえば、ボクの気持ちが脚色されて学園中に噂として広まるだろう。



 再び自室で自問自答していた。


 自室のベッドの上で、ぐちゃぐちゃになったシーツがボクの心の乱れを映しているみたい。枕に顔を押し付けたまま、深く息を吐いた。


 ただでさえ、脈ありか知るのも難しいのに。ボクらは男同士。いくら流行りがあったとは言え、その素質を持つ者は少ない。その少ない中で、更に好みがある。なんて難易度が高いんだろう。


 更に問題はあって。


「上手く…アピールもできない…」


 惚れさせればいい!って思ったのに。今までしてた軽いスキンシップや、軽く言ってた事が全く言えなくなってしまった。教科書の貸し借りで指先が触れただけで熱くなる。近づくだけでも意識してダメ。朝、挨拶できただけでフワフワする。


 仲を深める作戦なんかも考えた。


 デートに誘うとか、ご飯に誘うとか、話す時間を多く作るとか。だけど、考えれば考えるほど…。



「くそー…、全部やり尽くしてるじゃんかぁ〜」




 全部やった上で今の距離!!


 という事実に直面していた。


 追い討ちをかけるのは、リーシュ君に「親友」と強調して言ってしまった過去。あの時はただ、同性の友達が嬉しかった。また男に好かれても困るから…と牽制の意味もあった。



「ほんっっっっと最悪。自分から男とは付き合えないって言って『好きになっちゃった♪』は虫がよすぎるしーーー!」



 ベッドの上で意味もなくゴロゴロ転がり、シーツを握りしめた。でも、頭の片隅で冷静な自分が囁く。



「残るは…色仕掛けくらい?」



 しかし、色仕掛けとは??男のボクがリーシュ君に出来る色仕掛けなどあるのだろうか?女性ならば男性に対して腕を組むフリをして胸を当てるとかあるだろうけど。


 ベッドから降りると、姿見の前に立ってみる。



「色仕掛けって…どうやるんだ?」



 衣服を少しずらして肩を少し出してみる。白い自慢の肌が見えるけれど…色気があるかと言われると?それに、疎遠になるのは避けたい。自然にやらなければならない。


「偶然を装って、体を触らせて反応みるとか!」


 考えた瞬間。

 この前の出来事が思い出される。胸の高鳴りを伝えるために手を取り押し付けたこと。


「ガッツリ触らせて引かれてたじゃんかー!」


 なんで、アピールできる項目を全てやってしまっているんだ。手詰まりじゃないか!!項垂れて、少し乱れた服を整えてからベッドに座る。



「それに、色仕掛けして相手が乗り気になったらその先って…」



 頭の中で、聖女様の流行りで男同士が陰で絡んでた光景を思い出す。偶然見たその光景に、ただ慌てて知らないふりをして通りすぎたけど。


「まずは…自分にできる事をしてみる?自分が彼を受け入れられるか…試してみるべき?」 


 彼がボクの気持ちを受け入れたとして、ボクが彼を満足させられないなら離れてしまうだけ。

 まずは、知識と準備が必要かも知れない。ベッドの端に座り、深呼吸した。


 部屋は静かで、窓の外から聞こえる虫の声だけが響く。少し落ち着こうと、枕元の水差しからコップに水を注ぎ、一口飲む。冷たい水が喉を通り、ほんの少し冷静になれた。


 それから机の引き出しを開け、分厚い本を取り出す。表紙には「人体の神秘と健康」と書かれているが、実は…かな〜り濃厚な恋人たちの接触について書かれている。


 これは、同性愛が流行った当初。若者が知識もなく無駄に体を傷つけないように…と国から支給されたもの。

 その頃、中等部三年生だったボクは、父上に呼び出されコレを渡された。剣を捨ててから、反抗してたから「こういうの興味無いんだけど?」と父上を睨み付けて突っ返したのだけど。高等部入学にあたり寮の掃除や持ち物を従者に頼んだ時、荷物に紛れていたのだ。


 それをこの瞬間、ボクは心底感謝してる。


「…こ、ここかな…『親密な関係における安全な準備』…」 


 本には、初心者向けに丁寧なガイドが書かれている。異性はもちろん、同性の場合も。


 恐る恐るページをめくり男性同士の項目を探した。目を細めながら、時折本を閉じそうになる衝動を抑えた。


「ぁ…わ、…指の動かし方!?…ふぁ、なんて具体的な図…!エッチな本じゃん!」  


 既に挫けそう。挫けたい。


 でも、ボクもちゃんと…愛したい。それに叶うなら愛されたい。 …まだ叶うとは限らない恋だけど。



「よし!」



 意を決して立ち上がり、街へ買い物に出掛けた。


 学園から可能な限り離れた店まで行って、寮の門限ギリギリに帰って来る。顔を隠すようにして買ったこの『液体』は色々と深く接する時に必要らしい。これを手にした瞬間から、恥ずかしくて仕方なかった。


 ボクを知らない人から見たら、女の子がそういうのを選んでいると思っただろう。周囲の男の目線が痛いのなんの。


 女の子って、こういうの大変だ…。


 それに寮に入った所で寮母さんに見つかって「こんな時間まで珍しいわね。でも元気なお顔見れて安心したわ。」なんて言われてしまった。悪いことをした訳でもないのに居心地悪さがあって上手く笑顔を返せたか分からない。



 しかし、部屋に帰ってくると妙な達成感があった。



 ボクの手には、とろっとした液体が入った透明な瓶。それは妙に大人な雰囲気を醸し出している。



 よ、よし。しっかり作法を学んで、リーシュ君を惚れさせるんだ!

 


 ◇ ◇ ◇



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