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可愛い君♂に恋する私は「男装」していると言い出せない。〜男の娘と男装女子はすれ違いすぎる。〜  作者: かたたな


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都合のいい恋(クラウ視点)



 心の奥底で。

 暗い感情が沸き上がる。気持ちが昂ってなのか唇が震えた。それでも確認したくて言葉を絞り出す。



「ボクが…『騎士になって』って言ったら、なってくれるの?」

「うん。就きたい職も特にないし。」


 

 ボクがそれを願えば、叶えると言い出す彼。それが、ボクにとってどれ程のものか彼は知らない。



「なるなら、もっと真面目にテスト頑張らないと。」

「リーシュ…君。本気?」

「本気だよ。クラウさんがなって欲しいって思ってくれるなら、もっとやる気出すよ」


 ボクの胸はバクバクと騒がしい。


「クラウさんが卒業しても私と仲良くしてくれるなら…王都にいたほうが楽しいし……?」


 楽しそうに卒業後の事を思い浮かべてる仕草をする彼。つい、手が出て…彼の手を握った。すると心配そうな目を向けてくる。「なに?」とでも言いたげな表情。手を握ったというのにその表情には動揺のひとつも見えない。今のボクの状況を知ったら、その表情を変えられるのだろうか?


 彼の手を自分のカーディガンの中に滑り込ませ、ブラウス越しにバクバクとうるさい胸を押し付ける。


 こうすれば、どんな状態か伝わるはず。



「リーシュ君、今、ボクさ…すっごくドキドキしてる。わかる?」



 体の熱が引かなくて、顔を見るだけで近づきたくなってしまう。可愛い女の子が好きって思ってたし、公言していた。なのに、男相手にこんな気持ちになるなんて。自分でも不思議で…でも、心地良い。



「わかる…けど。どうしたの?苦しい、とか?」



 しかし、胸に押し付ける彼の手は、ピクリとも動かさない。更に近づくと若干後ろに仰け反るようにして困惑するように距離を取ろうとする。


 その仕草に、冷静になった。


 何も知らない彼に、自分の気持ちを押し付けてはダメだ。


 初めて見えた自分の衝動。それに抗う事を嫌がる自分がいて。パッと手を離し、距離をとった。すぐに笑顔を作って自分の気持ちを誤魔化す。



「風邪でも引いたかな。」

「ぁ…うん…確かに熱いね、大丈夫?」

「少し疲れただけかもだし…一通りテストの範囲は教え終わったから、そろそろ帰るよ。じゃー、また明日ね!」

「え、待って…!ノート忘れてる!!」

「貸したげる!」



 彼の声を背に、咄嗟に鞄を持って教室を飛び出した。風邪引いたかもなんて言っておきながら全速力とか、自分でも意味がわからない。




「はぁ、はぁ、はぁ」



 走ってるせいで息が苦しいのに、止まるなんてできない。


 止まってしまったら、行き場のない気持ちが溢れてしまいそうだったから。


 そのまま一度も休まず走って、…とにかく走って。寮の自室に駆け込んだ。ベッドにドーンと飛び込むと、鞄が雑に床に落ちる。いつもならこんなこと絶対にしない。でも今は何かに気を使う余裕がない。


 正気ではないんだ、ボクは。


 シーツの冷たさが火照った肌に触れる。走ったお陰で余分な力は使いきったけど、ぜんぜん冷静にはなれない。



 水でも被りたい気分だ。



 体、熱い。


 あぁ…


 まさかボクが、男の子相手に…!



 ベッドの上でゴロゴロ転がりながら、叫びそうになる。だから急いで枕に顔面押し付けて「わあーーーーーー!!ボクのバカーーーーーー!!」と声を出した。




 …






 しばらくして、荒くなった息を整える。すると机の上に置きっぱなしにしていた家からの手紙が視界に入った。



 父上の言葉が、頭に響くように思い出された。


 剣を捨ててから、反抗するように女の子のように着飾るボク。それを見て…暫く経った頃に言われた言葉だ。



「お前は剣の才はなく、興味は可愛いものばかり。…しかし、聖女様の広めたBLという文化のお陰だ。同性の結婚も認められる今、剣の才ある男を婿にすれば問題ない。その婿を王家に推薦すれば地位も保てるだろう。後継者については…そうだな。親戚の女性を呼び寄せ、秘密裏に子を…。」



 父上は王族や聖女様の護衛を務められる人物を求めている。それが、王家に代々仕える我が家の義務だと言うように。


 それがまさか、ボクに『婿』を!なんて言い出すとか…思いもしなかった。


 父上は、聖女様の影響をだいぶ真に受けてしまったんだ。



◇ ◇ ◇



今日は頑張れば6話投稿出来るかもしれません!時間は未定ですが、夜に投稿が多くなるかな??と思います。よろしくお願いします。

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