彼の恋愛対象って…(クラウ視点)
幸せな思い出に浸っていたいのに、どうしても邪魔な雑音が頭を離れない。
この部屋にいても、学校での出来事が追いかけてくる。
次第に周囲がうるさくなって……。今日も「クラウさんとリーシュ君は恋人よね? あれ? 婚約者だっけ?」なんて、彼のいない所で無責任に絡まれた。
その話は、前にも否定したはずなのに別の誰かがまたそう言ってくる。ボクらの関係を茶化すのは本当にやめて欲しい…と心底思うのだけど、周りは茶化してるなんて思ってないのだろう。そう思っているから言っているだけなのだから。
「はぁ〜…」
ため息をつきながら今日の事を思い出し、考えた。新しい悩みの種が今日、更に増えた。恋人などと間違われたボクは、いつも通り否定した…のだけど。
「はぁ~? ボクは男だし…強いて言うなら『可愛い』が恋人なの。それに、彼だって男相手に興味出ないでしょ?」
「そうでもないと思うよ?リーシュ君はさ、去年男の子と親しかったよね?妙に距離近くてさ。クラウさんはそうでも、リーシュ君が好きな可能性ない?」
いや、また彼がボクを好きなんじゃないかって話?ボクが男友達に告白された事を知ってるからそんなことを言うのかもしれない。そういうの、すぐ噂で広まるから。
…って、
…え?
リーシュ君が男の子と親しかった??
「あぁ、聖女様の流行りが残ってた時?私も見かけたかも。」
「そうそう!相手の男の子爽やかで体格もよくて。良い雰囲気の時は目の保養だった~。相手の男の子が甘えるように寄り添うとさ、照れたように笑って肩が触れあって…キャー!!」
聖女様ブームが残る頃って…、確か…ボクがリーシュ君に話しかける前の話?なにそれ、ボクが触ると嫌がるくせに。まぁ…あの時は触りすぎた自覚はあるんだけどさ…反省してるけどさ。
あー…でも。
初めて話しかけたあの時、膝抱えて落ち込んでたっけ??その男の子と上手くいかなかったから落ち込んでた…とか?
…
なんか…
ムカムカしてきた。
教室で勝手に話し始める女子達から視線を逸らして、鞄に付いた可愛い兎ちゃんのマスコットを眺める。可愛いものがいつもボクを癒してくれる。
…はずなのに。
そのモヤモヤが消えなくて、手のなかでコロコロと転がしながらリーシュ君の事を考えた。もし、彼が男性を好きだとしても。ボクみたいな…いわゆる女性的な奴は選ばれないのだろう。
そう考えると更にムカムカが増した。
「ねぇ、クラウさん。リーシュ君に、男と女どっちが好きか聞いてきてよ!」
「い、や、だ。」
「えーー!なんで、気になるよね!聖女様のお陰で恋愛の選択肢が広くなった時代だよ?同性の結婚だって許されたんだから、色んな可能性があり得るんだよー!」
…
今日あったそんな会話を思い出して、ベッドの上で目を閉じた。
「気になる。リーシュ君の恋愛対象…もし、本当に男でも対象になるなら…ボクのことも好きだったり…。」
ポツリと呟いた言葉で、また胸がムズムズする。枕をぎゅうぎゅうと抱き締めて悶える。
「ボクってモテるからなー、まいったなー。なんちゃってー。」
しかし、そう呟いてすぐに「体格のいい爽やかな男の子」と彼の話を思い出して、スンッと気分が沈む。上がったり沈んだり…なんなんだよ…。
「本人に聞ければ一発なのにな…」
でも、なんて話を切り出せばいいの?こんな話。いや、今までのボクなら気軽に聞けたはずだ。最近のボクはどうしたのだろう。彼を前にすると、聞きたいことが聞けないことがある。
他人の恋愛対象なんて、考えたところで解決しない。それなのに、妙に考えて疲れてしまった。
今日は、明日の準備をすると早々に寝てしまうことにした。
◇ ◇ ◇
明日も21時15分頃、投稿いたします\(^o^)/




