親友の凄いところ。
この場の空気は、付与魔法を誰が担当するか…という話題へ上手く流れていった。
「クラウ、付与魔法できたっけー?」
「ボク、魔法使えなくってさー。魔力はあるのに全然発動しなーい。」
好奇心旺盛な親友の視線は、そのクラスメイトによって逸らされた。その男子生徒からは、ある程度クラウさんと親しい雰囲気を感じる。
「クラウは勉強できるのに魔法使えないのはもったいないな。」
「まぁ、ボクは可愛いし? 勉強できて可愛ければ十分じゃん?」
堂々と自慢げに胸を張る姿に、みんなが盛り上がる。でも…その言い方はなんだか納得出来ない。だってクラウさんはそれだけじゃないって知っている。なのに「可愛い」と「勉強」だけみたいな言い草と、それを笑っている光景がなんだか嫌だった。
だからつい…
お節介だとも思うけど、口が動いていた。
「クラウさんはそれだけじゃないよ? 可愛いくて、勉強できて。教えるのも凄く上手いんだ。とても分かりやすい。ノートも凄く綺麗に纏められていて纏め上手。髪型も自由自在でおしゃれでしょ?センスの塊。王都の流行にも詳しくて話題が豊富で人を飽きさせないし、話しやすい…気遣いできて…それに何より、意見をズバッと言えるところは格好いい。去年の文化祭で助けて貰ったことがあって…」
言葉が止まらない。
そんな私に、クラスメイトは「それでそれでー?」とか「まだまだ!」と更に引き出そうとしてくる。そうして乗せられるまま、クラウさんのいいところを頭に浮かんだものを次々と出していった。しかし、盛り上がる教室の雰囲気とは違い、言われる本人は真っ赤な顔で手をブンブン振って叫んだ。
「ストーーーーップ! なに!?すっごい、はっずいんだけど!!褒めても飴しか出ないんだけど!」
教室はドッと笑い声で溢れた。クラウさんは両手で顔を覆い、耳まで真っ赤になっている。いつも自信満々な彼がこんな照れるなんて珍しい。そしてマルーナさんの助言『素直に』を思い出すと更に気持ちが溢れた。
「でも、本当にかっこよかったんだ!多分あの時からかな…クラウさんの事、もっと友達以上に特別に感じ始めたんだ…」
「え、ま、待ってリーシュ君、まじで。ちょっ、落ち着いて」
「落ち着いてられない…でも、なんて言葉にしたら良いだろう。」
編んでいたブレスレットを置くと、椅子から立ち上がりクラウさんの元へ気持ちを整理しながら踏み出す。ここで「好き」なんて言える訳もない。私は彼の男友達だから。
だけど、みんなに私が彼をどれだけ凄い!って思っているか伝えたいと思った。
クラスメイトが「まさか、みんなの前で告白か!?」「きゃー!」とからかう声がするけれど、今は自分の気持ちを正しく表現するための言葉を探すのに必死。そして言葉を重ねるほどクラウさんの顔がどんどん赤くなっていった彼の顔を側で覗き込んで、やっと1つのしっくりと来た言葉が出てきた。
「そうだ!やっとしっくりくる言葉を見つけた。」
「り、リーシュ君!ここ…教室!みんな、見てるからぁ!!」
適切な言葉が閃いて、嬉しくて…クラウさんの手を握る。すると、クラウさんはアワアワと慌てている。だけど、振りほどきはしなかった。
「上司にするならクラウさんみたいな人が良い!そんな感じ。理想の上司。」
…
その言葉を発した途端、きゃーきゃー聞こえていた周囲の声がスンッ!と静まり返った。クラウさんも私に手を握られながらポカンとしている。
「じょ………上司………??」
「うん!どこまでもついていきたい!」
「へ!?」
「好き」以外の言葉で、自分の気持ちをみんなに分かりやすいように言葉に出来てスッキリした。私は、満足感からとても良い笑顔になっていたと思う。
すると、力なく彼の手が離れ、ふらふらと近くの机に突っ伏した。
「リーシュ君…ほんと…もう。なんなのぉ。」
「何って…?」
その彼の声は小さかった。
素直に伝えたのに…逆効果だったんじゃ…。き、気持ち悪かったかな!?
こっそりマルーナさんを見ると、静かに微笑んでいた。
何の笑顔なの?
◇ ◇ ◇
明日からクラウ視点が暫く続きます。今日は5話投稿できました。明日も4話は投稿したい!と考えてます。反応下さる方、読んで下さる方、本当にありがとうございます。




