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【5/5完結予定】可愛い君♂に恋する私は「男装」していると言い出せない。〜男の娘と男装女子はすれ違いすぎる。〜  作者: かたたな


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2年生の文化祭は何をやる?



 もうすぐ2度目の文化祭を迎える。


 私たちのクラスも、その準備が始まっていた。ざわざわと騒がしい教室の様子からも、みんなのワクワクが伝わってくる。


 クラス委員長が前に出ると、そんな生徒達に声をかけ上手く進行していく。


 今年こそ、ちゃんと楽しみたい!


 そう思い挑むクラス会議。

 …しかし、出し物を決めるクラス会議は難航していた。カフェや料理、演劇や魔法のパフォーマンスなど。色々案が出るけれど、それらに特別感はなく、このクラスらしさがない?というような。みんなピンと来ていないし、絶対コレをやりたい!と主張する生徒もいない。


 その時、一人の女子生徒にスポットライトが当たった。


「そういえば、マルーナさんって占い出来たよね?占いの館とかどう?」

「あら、いいのでしょうか?本格的にできるなら嬉しいですわ。」


 マルーナさんの優雅な声が教室に響く。彼女の占いは仲間内でも評判らしい。本人も乗り気の様子で微笑んでいる。


 でも、それではマルーナさんが文化祭を楽しめないんじゃ…。


 去年の自分を思い出して、それがどうしても気になってしまった。あまり発言しないつもりだったけど、勇気を振り絞って控えめに手を上げる。


「マルーナさんの占い、とても良い案だと思う。けど、1人の負担が大きすぎるから…他にも何かあったほうがいいよね。マルーナさんが休憩取る間、何か他に見れる物があった方が…さ。」


 教室の視線が私に集まり、居心地が悪い。そうしていると委員長が穏やかに聞いてくる。


「そうですね…リーシュ君は何かのアイディアがありますか?」


 そ、そうなるよね?

 さっきまで何も案を出していなかったし、採用されるかは別として自分の意見を言わなければ…と考えを巡らせる。そこで、ふと思い付いた案を素直に伝えることにした。


「私の故郷に、糸を編んで作る願掛けの『おまじない』があるんだ。ブレスレットみたいな。みんなの土地とか家に伝わる『おまじない』があるんじゃないかと思うんだ。」


 すると、クラス委員長が私の意図を上手く汲み取ってくれる。


「なるほど。占いと、おまじない小物の販売ということですね。」

「小物作りなら皆で参加できるし、物さえ作ってしまえば当日は売るだけだから運営も楽かも~♪私それがいい~、婚約者と文化祭楽しみたいもの♪」


 私の意見に好感を持ってくれる生徒がいてホッとする。理由はアレだけど、私も文化祭を楽しみたい気持ちは同じ。


「私も『おまじない』を1つ知っているわ。お姉様と幼い頃作りましたの。とても可愛い野花で作る小物ですわ。」

「じゃあさ、付与魔法付けちゃう?この前魔法の授業で習ったし。」

「いいかも、授業の成果も出せるよね!」

「魔法苦手な奴はどうする?」

「部屋の装飾担当かな。おまじない小物作りならみんな何かしらやれるよ。あ、ほら占い師結果に難癖付けるヤツがいた事を考えて護衛役も必要だし。」


 話は一気に盛り上がり、あっという間に『占いとおまじないの館』に決定した。


 主役はマルーナさんの占い。

 今日は、私や他の「おまじない」を知っている子たちが売り物とする小物の試作品を用意して、他のクラスメイトに作り方を教える事になった。

 細かい作業が向かない人達は装飾グループに。クラウさんはその内装を決める為に装飾グループに入った。


 (クラウさんと別グループか…ちょっと残念。)


 だけど、それでもいいのかもしれない。私の不純な恋心が離れることでバレにくくなる。うっかり感情が溢れて関係を壊すリスクも減るのだから。

 そう考えてから、学園の資材置き場に向かい、持ってきた色とりどりの糸。この6本の糸を編んで、おまじないブレスレットの試作品を作り始める。


 鼻歌を歌いながら、糸をリズミカルに編んでいく。


「その歌、変わった歌ですわね。」


 ふと、マルーナさんの声。振り返ると、彼女が興味深そうに私の手元を見ていた。


「これを編む時に、みんな歌うんだよ。贈った相手の幸せを願う歌。」

「まぁ、素敵。さっき、リーシュ様は私を気遣って発言して下さいましたね。ありがとうございます。」

「…去年、私はあまり文化祭を楽しむ時間がなかったから、つい。余計なお世話かもしれないけれど。」


 マルーナさんは、貴族のお嬢様らしい優雅な仕草で私の隣に椅子を引き寄せて座る。彼女の落ち着いた雰囲気に、つい本音が漏れる。


「私は、占いの実績が作れますから。文化祭が楽しめなくとも問題ございませんわ。」

「…余計なことしちゃった?」


 少し焦ると、マルーナさんはフフッと上品に笑った。


「いいえ、私は占いをしますが『じゃあ、皆様は一体なにをするのかしら?』と言って空気を悪くしてしまうところでした。リーシュ様の発言により、円滑に話し合いが進みましたわ。」

「ははっ。よかった。」


 ホッとしながら、糸を編み続ける。マルーナさんが私の手元をじっと心なしか楽しそうに眺める。


「綺麗ですわね?これは家族や恋人に贈るものですの?」

「基本的にはそうだよ。でも、家族のいない仲間もいるから仲間同士でもたまに贈り合うんだ。」

「まぁまぁ。」


 私は試作品作りに集中する中、内装など、他の生徒達で意見をまとめる。作業が進み、サンプルがほぼ完成。長さを確認しようと、マルーナさんに声をかけた。


「長さどうかな、腕を少し貸してくれる?」

「ええ、どうぞ。」


 彼女は上品に微笑んで、綺麗な右手を差し出してくれた。ブレスレットを合わせてみると、少し短い。マルーナさんも首を傾げて手元を覗き込む。


「もう少し長い方が…。でもみんなに見せる試作品としてはこれでいいか。」


 そう話していると、突然、マルーナさんが私の顔をじっと見て、ふいに耳元に顔を近づけてきた。内緒話のような囁き声。


「リーシュ様は何でも出来るように見えて不器用で、少し見込みが甘いですわね。」


 その言葉は、まるで私の男装の甘さを指摘しているみたいで、背筋が凍った。でも、平静を装って微笑み返す。


「そうかもしれない。」

「あら、それでいて隠し上手。」


 マルーナさんの眼差しは、まるで私の心を覗き込むよう。


「それも占い?」

「ふふ、相手を観察し、探るのは占いの基本ですわ。思い込みって、本当に厄介ですわね?こうして見れば分かるものですのに。ですが、今は『深く察していない。』としましょう。最初に貴方の本当の姿を知るのが私では可愛そうだもの。」



 それはまるで「貴方が男装しているのを知っている。」とでも言うようだった。




 ◇ ◇ ◇

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