喧嘩?
マスコットを探して…体を探られ、凄くモヤモヤした気持ちが増してゆく。
「リーシュ君、顔真っ赤で可愛すぎるよ~」
「…やめてって言ったのに。」
いつもより低い声がポツリと出てしまう。乱れた制服を整えて、鞄を持ち直す。多分、不貞腐れたように聞こえてしまったと思う。けど、今は優しい言葉で伝えられる気がしない。
「マスコットは…後で鞄に付ける。…少し訓練場寄ってから行くから今日は先に教室いってて。」
この体に残ったゾワゾワとした不快感。これを少し運動して解消したくなった。
「え、怒ってる??そんなに嫌だった?ごめん。」
「…うん。また、後で。」
「え、う、うん。また…後で。」
彼の顔を見る余裕もなく、私は訓練所まで走った。走るだけでも少し気持ちがマシになっていく。
訓練所に駆け込んでからは木剣を振り回したり無駄に受け身の練習をしたり…。何か別の感覚で上書きするように体を動かしていた。
クラウさんは悪気ない。でも…あの触り方は…気を付けてもらいたい。
最後に大きく息を吐くと、だいぶスッキリとした。
ちゃんと話せばクラウさんは分かってくれるはず。…多分。
上着の内ポケットから兎ちゃんマスコットを取り出し、鞄の目立つ位置に付けた。朝日にキラキラ光るマスコットを見て、頬が緩む。
「…さっきの私は、感じ悪かったよね。ちゃんと謝って…嫌なことは嫌と伝えよう。」
授業開始の鐘がなり終わる前に教室へ滑り込んだ。1時限の授業中は、勉強に集中すべきなのに「なんて話を切り出したら良いか…」と、そればかりか考えてしまった。
「ごめん」と言わなければ。
授業中にクラウさんの姿を探すと、彼は窓際で心なしかしょんぼりした様子で外を眺めていた。
…
…
「それでは今日の授業はここまでです。」
先生が授業の終わりを知らせ移動を始めた瞬間に私はクラウさんの座る席へと向かう。
「クラウさん。」
声をかけると、ハッと振り返るクラウさん。目が合うと、すぐに笑顔に戻るが、いつもよりぎこちなく見えた。
「り、リーシュ君! やぁ!…。元気?」
「少し元気になった。」
「そう?えと、さっきは」
「うん、さっきはごめん。急に怒って離れちゃって。」
クラウさんは少し視線を外し、机の上に乗せた指を見た。
「や、やっぱ怒ってた…よね?」
「うん…くすぐったいの苦手なんだ。…あと、恥ずかしくて。」
「そ、そう、だよね。本当に反省してます。ごめんなさい。」
椅子に座るクラウさんは、そのまましおしお~っと花が萎れるように頭を下げた。
「さっきは突然怒ってごめん。嫌な気分にさせたよね。だけど今後はくすぐったいのやめて欲しくて。」
「今後?」
「え?うん。今後はやめてくれたらなって。クラウさんも、もし、私が嫌なことやってしまったら教えて欲しい。友達の嫌なこと気づかないって嫌だから。」
そう話終えると、クラウの瞳がぶわっ!と潤んだ。
「よかった~!!もう遊んでくれないかと思ったよぉ~!!」
クラウさんは、感極まったように両手を広げ、今にも私を抱き締める…というところでピタリと止まった。
「うわぁ!!リーシュ君はこういうの嫌いなのに、ボクはまた!!ごめんなさい!!」
両手を広げながらポロポロと涙を溢し始めるクラウさん。その様子を、どうなだめようか…と少し悩んでから彼の頭を撫でた。
「気を使わせてごめん。ありがとう、約束守ってくれて。」
「うわぁぁ!!良いに決まってるじゃん!ボクだって友達の嫌なことしたくないよおおおお!」
溢れる涙を、持っていたハンカチで拭ってあげると、謎の仲直りにクラスメイトからパチパチと拍手された。
その後、少し互いに嫌なこととか話た。より良い友人としてあるために。
そんな騒動を起こした後なのに、私たちはその日の内にいつもの空気を取り戻した。
◇ ◇ ◇
今日は休日なので4話くらい投稿出来たら良いな…と思ってます。ストックあるとすぐ投稿したくなってしまう。GWまでもつかな。GW中に完結させて他の小説も全年齢版リメイクしたい。




