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可愛い君♂に恋する私は「男装」していると言い出せない。〜男の娘と男装女子はすれ違いすぎる。〜  作者: かたたな


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【オマケ】魔術師の花②


 兄として、何か言葉をかけなければ…。弟の辛そうな表情はこっちまで悲しくなる。


「俺は…自分を責めろとは言ってない。お前は今を生きているのか心配なだけだ」

「今を生きるって…」

「今の婚約者と今を生きているか。」


 伝えたい事を上手く言葉に出来ていない気がする。だけど、俺の拙い言葉にも何か察したらしい。クーシュは魔法でその花を包み、一輪摘み取った。


「兄さん…僕は、大切な妻を、結果として蔑ろにしてしまった事を深く後悔していたんだ。だから来世では平凡に、平穏に暮らしたいと願った。僕の手を必死で握る妻に『来世でまた会おう。今度こそ幸せにする』って言った」

「そうか」


 クーシュは花を見つめながら深く考えていた。顎に手を当てて深く息を吐くその仕草は弟の考える時の癖だ。


「…僕の前世の記憶、この花に託すことにする」

「そうか」

「もし、僕がまた婚約者を蔑ろにするようなことがあったら…この花を僕に渡して欲しい。そうしたら、また前世の記憶を取り戻すから。それまでは…頑張ってみようかな。過去を忘れて…平凡なクーシュとして婚約者と生きてみようかな」


 不安そうにコチラを見るクーシュ。俺はそんな弟の頭を撫でた。


「お前なら大丈夫。賢いからな」

「ありがとう、兄さん」


 花を見つめ、そして額に当てると何かが面白かったらしい…弟は笑い出した。


「僕が願ったのは…平凡な日々だから。前世の記憶なんて無い方が良い。自分で平凡を願ったのに…記憶を手放せなかったの笑える」


 笑い終えると花を前に目を閉じた。その瞬間、彼の周囲がキラキラと輝くように見える。


「あぁ、あとさ。緊急事態で『優秀な魔術師』が必要になった時も、この花を渡してくれていいよ」


 そう言う弟の言葉にに鼻で笑ってみせる。


「俺が全て解決する。クーシュの出る幕はない」

「ははっ、言ってくれるね」

「お前の兄だからな。弟を守るのは当然だ」

「兄さんってさ、何でも『兄だから』で片付けようとしてない?」


 くっくっと、あまり子供っぽくない笑い方をする弟。


「兄なのは事実だ。俺が、母上に『弟が欲しい』と暴れて駄々をこねて願った弟なんだ」

「そっか。こんな前世の記憶持ちのおっさんが弟で申し訳ない気分だ」


 俺は、何をそんな申し訳ないと思うのか分からなかった。


「前世の記憶持ちの弟なんてカッコいいじゃないか。しかも凄い人の兄だ。偉い人に兄ってだけで偉ぶれる、スゴイだろ。」

「………本当に…この花は見る目があるね。」


 花が光に包まれてから、光が散る。今となっては何の変哲もない花となったソレを弟は差し出してくる。それを素直に受け取った。すると、クーシュはニコニコといつものように笑う。


「お腹すいたね。家に帰ろう兄さん」

「そうだな」

「あ、溝にハマらないでよ?」


 そうして周囲を俺の代わりに警戒しながら歩いていくクーシュ。彼の中の前世の記憶が無くなったかは俺には分からない。しかし「この体は…」なんて言わなくなった。




 数日後。




 自室でその花を眺めていると、訓練の予定を話に来た母上が驚いた表情でコチラを見た。


「それ、どうしたの?」

「…優秀な魔術師から預かった」


 俺はそれだけ言って、窓辺の花瓶に花を飾った。その窓からはクーシュが婚約者と仲睦まじく花を眺める姿があった。


 今は2人で花の世話をして、その花が咲いた事を喜んでいる。2人で新しい花を作ろうとしているそうだ。


 そうした作業の合間にも頬を赤らめながら、必死に愛を伝えている姿は微笑ましい。弟の婚約者はその言葉に耳を傾け幸せそうにクーシュを見つめる。


 この前に、彼女は弟の癖を見て俺だけに聞こえるように言った。弟はその時、新しい花の改良を考えて本を読んでいた時だ。顎に手を当てて、深く息を吐く…その癖だ。


「彼のあの仕草、何故かとても腹が立ちますの」

「嫌なのか?」


 そう言えば、弟の婚約者は困惑するように眉を下げてこう言っていた。


「腹が立つのに…とても愛しいのです。その考え事より、私を夢中にさせたいわって…対抗心?がわいてしまって…変ですよね」

「いいんじゃないか」


 彼女も、前世の欠片を残しているのかもしれない。…と、何も分からないが俺は思う。


 いつか、この花の美しさに前世の記憶に触れてしまうかもしれない。夫婦喧嘩をして、俺が弟にこの花を贈る日が来るかもしれない。もしそうなっても、今を生きた記憶のある彼らなら大丈夫だろう。


 俺も、弟を見習い自分の婚約者に寄り添い大切にするよう心がけた。




◆オマケ終わり◆

終わりました!もし、最後まで読んで下さった方がいたなら本当に感謝でいっぱいです。ありがとう御座いました!!

もし良ければ☆評価など頂けますと更に頑張れます。よろしくお願いします。

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