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転生魔女は悠々自適に世界を旅する  作者: 黛ちまた
水上都市は予想外がいっぱい

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天幕ゲットー!

 コヴァルシャの領都名はウィシュカというらしい。フュリンガーは領名も領都名と同じだったけど、コヴァルシャは違うんだって。博識なエレン曰く、元々はもっと東にある街が領都で、そっちはコヴァルシャという名前。

 領主が領地を一大貿易都市にすると決め、領内全土を大改造した結果作られたのがここ、ウィシュカ。以降はウィシュカがコヴァルシャの領都となったのだそう。

 百年規模の大改革なのでは?


「昔は水害による被害も多くて大変だったみたいだよ」

「その水害を逆転の発想で水路にしたってこと?」

「そうそう」

「凄いねー」

「いつの時代もそういう凄い人が改革していくんだろうね」


 うんうんと頷く。

 そういった一握りの人の功績で歴史は変わったりするんだろうなぁ。


 天狼に乗ってエレンと雑談をしながら冒険者ギルドに向かう。

 赤い建造物が建ち並ぶ中、その中でもひときわ大きな建物があった。入り口の上にかけられた看板を見る。ここが冒険者ギルドらしい。

 中に入ると天狼だし、幼女だしで奇異なものを見る目を向けられたけど、段々気にならなくなってきた。慣れってすごい。


 受付には男性もいた。フュリンガーにも男性はいたけど、女性に対応してもらうことのほうが多かったな。


「失礼します」


 声をかけると、一瞬だけ受付の男性が驚いた顔をした。でもすぐに笑顔になった。さすがプロ。


「冒険者ギルドへようこそ。ご登録ですか?」

「登録は別の都市で済んでいます。しばらく拠点をこちらに移すことにしました」


 冒険者ギルドに登録すると、登録した領が拠点扱いとなるんだそう。だから別の領に行ったらそこを拠点とするよう情報の更新をするんだって。なのでこれから私達の拠点はウィシュカです。

 指名依頼したい時にお目当ての冒険者が何処のエリアにいるか把握するのかな、と思料。


「そうでしたか。ようこそ、ウィシュカへ。そちらの魔道具にリングかブレスレットを翳していただけますか?」

「はい」


 受付の台にはいくつかの魔道具が置かれている。水晶にリングを翳す。私が終わったらエレンがブレスレットを翳した。

 この水晶は前世のPCみたいな扱いなのかな。


「キリエさんとエレンさんですね。改めてウィシュカの冒険者ギルドへようこそ」


 依頼掲示板の場所だとか、キャンプエリアはどこだとか(既に確保しちゃっててスミマセン)、領都内の区画について説明してもらった。

 お礼を言って受付から離れたあと、掲示板を見る。

 えーと、我らの冒険者ランクはDなので、Dランクの依頼書はどれかなー。

 おー、Dランクともなるとやっぱり戦闘が主になるんだなぁ。あとは護衛の仕事なんかもあるみたい。まだ旅が始まったばかりの私達からすると、別の領をまたがっての依頼は尚早だね。土地勘というか、地図が頭に入ってない。エレンは入ってるかもしれないけど。


「魔物討伐が多いね」

「そうだね」

「買い出しとかが終わったら受ける感じでいいよね」

「うん、大丈夫」


 ひと通り依頼書を確認したので、冒険者ギルドを出る。

 天幕ですよ、天幕。

 冒険者向けの雑貨屋さんにいざ行かん。


 それにしても周辺の建物が赤ばっかりだから、なんか落ち着かない。


「赤はテンション上がったり、攻撃的になるんだっけ?」

「青なら穏やかな気持ちになりそうだけど、赤はそうかもね」


 目的の雑貨屋さんに到着。

 天狼達には子犬サイズになってもらってお店に入る。


 フュリンガーにもこういうお店はあったけど入ったことがなかったから、新鮮な気持ち。

 棚に並んでる道具はアウトドア用品って感じだ。ランクが上の冒険者ならマジックバッグを持ってたりして、大きめの道具なんかも持てるんだろうけど。それとも荷物を持つのが専門の冒険者もいたりするのかな?

 荷物持ちの不遇な冒険者が実はー、って感じで無双するラノベとかコミックで見かけたけど。


「何が必要なんだい」


 品揃えを眺めていたら、お店の人に声をかけられてしまった。冷やかしに見えたのなら申し訳ない。


「すみません、こういったお店は初めてなので気になってしまって。今日は天幕を探しに来ました」

「魔女なら天幕もいらないんじゃないのか?」


 店長さんは私達が魔女だと分かったみたい。

 よーく知ってるねー。


「そうなんですが、キャンプエリアの場所が……」

「あぁ、良い場所は奪い合いだからな」


 皆まで言わずとも分かっていただけて助かります。


「天幕のサイズや形状に希望はあるか?」

「大きさは馬車くらいのものがいいんですが、ありますか?」

「あと、色は青がいいんです」

「馬車くらいってなると、天幕としちゃあ大きめだな。建てるのにもコツがいるが」

「頑張ります」


 ファゴットにむくつけき男になってもらおう!


 店長さんが持ってきてくれた天幕は、三角錐タイプではなく四角くて、運動会で使うような奴。それから色は深縹こきはなだ。うん、私的にはいい!


「エレンはどう?」

「うん、良い色だね」


 エレンのOKももらったので、その天幕にした。


「ありがとよ。おまけに魔導石をつけておいてやろう」

「え、いいんですか?」

「この天幕は色が色なだけに高くて売れなくてな、こっちとしては持て余してたんだよ。それを買ってくれた礼だ」


 そうだった、青って高いんだった。

 でも我ら青が良かったし、後悔はない。


 買った天幕と魔導石をマジックバッグに入れる。


「他にはなんか必要なものはないのか?」

「あと必要なのは食材なんです」

「なるほど、それならこの先の商業エリアにあるバステの店に行くといい。鮮度もよく、珍しいものを扱っておるからな、オススメだ。オレもそこで買ってるよ」

「バステのお店ですね、ありがとうございます」


 商業エリアのどのへんにあるのか教えてもらって、お店を出た。

 見た目ちょっと強面だったけど、良い人だった。


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