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転生魔女は悠々自適に世界を旅する  作者: 黛ちまた
水上都市は予想外がいっぱい

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水上都市でのお留守番対策

 地図を作りたいファゴットが、あっちに行きたいこっちに行きたいと騒ぐ。それを私とエレン、シルルが却下する。

 我らは寿命があるようでないようなものだから、コヴァルシャには何度も来ることになると思う。

 故郷の森はフュリンガー領内にある。そのフュリンガー領に隣接する領は二つ。フュリンガー領主と仲の悪いニルアインワと、友好な関係のコヴァルシャ。そうなると必然的に私達が通る道はコヴァルシャになると思う。何回も来ることになるだろうから、地図作りを焦る必要はないと思うんだよねー。それでも作りたいんだろうけど。

 聞けばニルアインワは大して特色のない領地みたいだから、領主が良い人にでもならない限り訪れることはなさそう。

 それとは別に冬をコヴァルシャで越そうと思ってるから、早めに場所を確保しておきたかったりもする。


「コヴァルシャには春になるまで滞在するから、その間に色んな場所の地図を作ればいいよ」

〈本当か?〉

「本当だよ」


 フュリンガーでは魔女馬車キャンピングカーがあるからと気にしてなかったけど、依頼でコヴァルシャから離れた場所で馬車を召喚したくなった時のことを考えて、他の冒険者がそうしているように天幕を買おうと思ってる。そうすれば数日コヴァルシャを離れて、馬車で移動したり召喚したりしても大丈夫になるから。

 折良く貿易都市に行くのだから、天幕も色んなものが売ってるに違いない。っていうか売ってるといいな。

 フュリンガーの第三城壁内に並んでいた天幕を思い出す。見事に同じ色ばっかりだったなぁ…自然に溶け込む緑色しかないのだろうか…。


「天幕を買おうかなと思ってるんだよね」

〈天幕? 馬車があるのにか?〉


 シルルの表情も曇る。


「馬車を移動先で召喚すると、せっかくの場所取りが無駄になっちゃうでしょ。この冬はコヴァルシャで越すつもりだし」


 意外とキャンプでの場所取り重要なんですよ。フュリンガーでは空き場所が少なくてなんとか確保できたって感じだったし、第二城壁内に移動するのにも時間がかかったんだよね。天狼に乗ってたから早いは早いんだけれども。


「馬車のことを考えると受けられる依頼も限られちゃいそうだから、今後のことも考えて天幕はありだね」


 シルルとファゴットも納得してくれたみたい。天幕を設置すれば領都から離れた場所にも行けると分かって、ファゴットの機嫌が良くなった。なんて現金。

 ご機嫌になったファゴットは馬車を走らせるため、御者台に戻って行った。

 ちなみに天幕を張ったあとにもう一つ課題があるんだよね。


 魔女通販のカタログを本棚から取り出す。カタログは毎年更新されるらしいので、春になったら新しいのがくると思われる。

 エレンとシルルがカタログを覗き込む。


「何か必要なの?」

「うん、天幕で留守番してくれるもの?」

「そっか、他の冒険者達は誰か一人は留守番してるね」

「そうそう」


 ファンタジーゲームのようにパーティーは四人までという縛りもないんだよね、当然ながら。ソロの人もいれば、八人くらいのパーティーもいる。

 でもうちは日帰り以外は皆で一緒に行動が基本。


 カタログを最初から最後まで見たけど、お留守番をしてくれそうなものはなかった。ニッチすぎる要望だったか。


「うーん、ないなぁ」

「フュリンガーでやったみたいに魔導石を置いて防御しておけばいいんじゃない?」

「あ、そっか」


 別に他の冒険者と交流するわけじゃないから、それでいいのか。


「おぉ、問題解決」


 思わず拍手。

 珍しくエレンがドヤ顔をする。


「それぐらいなら街に売ってる魔導石で事足りそうだね」

「いけるんじゃないかな。念の為大きめのものにしておけば安心だし」

「そうしようー」


 冒険者として難しい依頼を受けたいとか冒険したいとか、そういう欲求はないんだけど、旅というものは何があるか分からないもの。備えあれば憂いなしって奴ですよ。




 窓からコヴァルシャの領都が見えた。フュリンガーと違って防壁に囲まれておらず、その代わりに水路に囲われていた。その水路の幅があまりにも太いものだから、スモール版モンサンミッシェルみたい。

 一番高い所が領主の館なんだろうなー。うーん、早くカメラ欲しいな。コヴァルシャで依頼頑張るぞ!


 領都に入るための列に並ぶ。前回と同じく馬車で。ズルしてごめんね。

 前回同様、なんだこの巨大かぼちゃとか言われてる。かぼちゃの馬車可愛いと思うんだけどなー。シンデレラはこっちの世界に広まってないのかな。魔女や賢者で作家デビューした人とかいそうだけど。識字率の問題とか?

 御者台のファゴットから、あと五人程だと教えられたので、ローブを羽織り、馬車を降りる。

 本来は自動車サイズの天狼だと大きすぎるので、狼よりは大きめぐらいになってもらって、跨る。

 四匹の天狼と幼女。なんともファンタジーな組み合わせ!


「次の者、前へ」


 兵士さん達に身分証明書であるギルドリングを見せる。リングを魔道具に翳すと私の冒険者ギルドでの功績とか、登録時の情報が見れるらしい。そういえば、秘匿したい情報があれば冒険者ギルドで設定できるとフュリンガーで登録した時に言われたなぁ。

 私とエレンの情報を確認した兵士さんが「よし、入都を許可する」と言った。会釈してから領都に入るための大きな跳ね橋を渡る。

 ここではお母さんの名前は言われなかったな。あれはフュリンガー限定なのかも? お母さんの威光を当てにする気はないので別に構わないけど。


 天狼に跨ってると大人の男性くらいの目線になるので、色々と見渡せる。八歳児の目線だとほとんどを見上げるようなので、天狼様々ですよー。

 セキュリティ的にも効果抜群。人攫いといえど天狼四匹に突っ込んでくる命知らずはいないだろうし、窃盗被害にも遭いにくい。


 それにしてもなんて鮮やかな街なんだろう。跳ね橋を渡ってすぐに目に飛び込んできたのは、赤く塗られた建物達。遠くに目をやると青く塗られた建物が並んでいた。区画ごとに建物の色を変えているのかな。


「ヴェネツィアだと島ごとに区画整理みたいなのをしてたみたいだけど、ここもそうなのかもね」


 なるほどー。

 色と区画が紐付けば迷子にならなさそう。


「看板があるよ、見てみよう」


 エレンが指差した先を見ると、看板らしきものがあった。

 近付いてみると看板には領都の区画が色分けされて記されていた。

 赤い区画は冒険者ギルドや武器防具を扱う店、食料品店、道具屋なんかがあるようだった。橋を渡った先に冒険者用のキャンプエリアがあるみたいなので、まずそこに向かおう。

 良い場所が空いてるといいなー。キャンプエリアには共用のトイレ、煮炊きができる水場がある。その周辺は人気なので空いてないと思う。魔女馬車がある私達が使うことはないので、ものすごい奥地じゃなければいいくらいのものだけど。


 橋を渡ってキャンプエリアに到着。さすが貿易都市。ここを拠点にしてる冒険者は多いんだろう。かなりの数の天幕が設営されてる。フュリンガーよりも規模は大きいかもしれない。それから緑以外の天幕もあって、テンション上がった。

 あるじゃない、緑以外の天幕! 良かったー!

 あとでエレンに何色がいいか相談せねば。


 程よい場所が空いていたから、そこに魔女馬車を召喚する。周りの冒険者達の驚く声がしたけど、そこは気付かないふり。

 扉を開いて中に入るとシルルが待っていた。ローブを脱いで渡すと、後から入ってきた天狼達の足をシルルがキレイに拭いていく。土足厳禁ですからね。

 フェルトのルームシューズを履いて、短時間ではあるものの手洗いとうがいを済ませる。


 ファゴットが視界の端でそわそわしてるので、むくつけき男にし、防御魔法をかけておく。キトラにお供をお願いしようとしたら嫌がられた。他の天狼達も嫌がったので、むくつけきファゴットが単体でお出かけ。

 一時間だけという制限つきでも楽しそうにお出かけする。約束を守ることは自分を守ることだと分かっているから、無茶はしないんだよね。


 ホットのヤギミルクを飲みながら、天幕について話す。


「エレンはさ、天幕何色がいい? 私は青がいいなぁって思ってるんだけど」

「私も青がいい」


 即決。青に決まりました。

 キャンプエリアで青の天幕を見たので、存在は確認した! あとはここで売ってるかどうかだね。


「明日ギルドに行きつつ、天幕を見に行こう」

「そうしよう」


 シルルの視線に気付く。


「勿論、食材も見てくるからね」


 そう言うとシルルが笑顔になった。

 フュリンガーで食料を買ったけど、日々消費しますからね。

 貿易都市だし、見たことない食材があるのではと期待する私達なのだった。


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