82.初授業
長らくお待たせしてごめんなさい。
これからなるべく投稿頻度戻していきたいと思います。
異質な魔力が去り、教室にあった霧は全て消えていく。
そのことを確認した僕は、心の底から安堵すると共に、ようやく自分がとんでもない量の冷や汗をかいていることに気がついた。
(なんだったの、あれ……)
[………………記憶のエラーを観測––––しばらく活動を停止します。]
しかもおかしなことは続けて起こるもので、メモが"えらー"を観測したと言って、完全に活動を停止した。
どうしていきなり?とメモに質問してみても、いつもと違って返答は返ってこず、結局メモに関しては待つしかないという結論に至った。
(とりあえずレミーにあの異質な魔力について共有しないと––––)
「あら、揃ってるわね。」
(っ!そうえばこれから授業だった……)
焦りで立ちあがろうとしてしまったが、教師らしき女性が教室に入ってきたのを見てなんとか思いとどまる。
だがまだ立ち上がってはいなかったはずなのに、入ってきた女性は僕に視線を向けていた。
「そこの赤髪のお坊ちゃん。」
「っはい!なんでしょうか?」
(なに!?僕なんかやったっけ!?)
焦る思考を反映するかのように、返事の声がいつもより大きくなる。
このままじゃマズイかも!?––––とメモ抜きで必死に対応を考ている僕に、女性が放った言葉は……
「後ろで寝ている子を起こしてくれるかしら。」
「それは––––って、え?わ、わかりました!」
よくよく考えればレクトが怒られる要素などないのだが、今のレクトにそんなことを考える余裕はない。
そうしてレクトは、授業が終わった後にやっとその事実に気がつくのだった。
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「これからこの教室で5年間、あなた達に魔法を教える、光魔法師のエマよぉ。
このまま自己紹介したいのだけど、あいにく自己紹介の時間は取れなかったのよねぇ。
というわけで、早速授業に入っていくわよぉ。」
号令が終わり、緊張で固まっている生徒達にエマ先生はにっこりと微笑むと、穏やかな口調で話し始める。
「まぁ緊張せずに聞きなさいねぇ。
今日教えるのは魔法の基礎中の基礎、魔法起源についての勉強よぉ。
これを知っている子は手を挙げてねぇ。」
エマ先生がそう言うと、教室のほとんどの生徒が恐る恐る手を挙げる。
挙げていないのは一部の面倒くさそうにしている生徒達と、本当にわからない僕だけだ。
「はぁいおろしてぇ。
ほとんどの子は知っているみたいだけど、わからない子もちらほらいるみたいねぇ。
じゃあ復習も兼ねて少し学んでみようかしらぁ。」
エマ先生は慣れた手つきでクラスにプリントを配布すると、手元で魔法陣を展開しながら説明を始めた。
「まず魔法っていうのは"神から授かった力を魔力を使って行使すること"なのは知ってるわよねぇ。
じゃあさっき手を挙げてた、次席のレミーちゃん!
その"魔力"っていうのはどこに存在していると思う?」
レミーは突然の指名に驚いた様子だったが、すぐに落ち着きを取り戻して淡々と説明を始める。
「大気中です。昔は人の中にあると思われていましたが、人間の魔力吸収器官が働いて、大気の魔力を魔力貯蔵器官に運ばれていると言うことを、初代ニクストリア国王 スズキ・ユウトが証明しています。」
「おぉ、全て合ってるわぁ。いきなりなのにありがとうねぇ。」
僕はそうえばそうだったな、と思いつつ、メモに頼りっきりだった魔法の知識を再度頭に詰め直す。
その後も授業を聞いていると、どうやら魔力が自然に回復するのもこの魔力吸収器官が一定周期で活動するかららしく、学ぶことばかりの授業だった。
「はぁい、今回はこれでおしまいにするわよぉ。
今日はこの後寮に戻ることになると思うけど、しばらくしたらこの後に実技も入ってくるから忘れないようにねぇ。」
「「「「わかりました。」」」」
そんな言葉と共に授業終了を告げるチャイムが鳴り、僕にとって初めての授業は終わった。




