79.首席発表
短めです。
「続いて国王陛下よりお祝いの言葉が届いていますので、私が代読いたします。
今年も葉桜が舞う季節となり……」
学院長の心打たれる言葉で始まった入学式は、次第に長々しい退屈な物へと変わっていった。
しばらくすると寝不足のためか眠そうにウトウトしている人も多くなり、僕も例外ではない。
(そもそも入学式が5時間続くのがおかしいんだと思うんだけど。)
[同意します。]
眠気を誤魔化すためにメモと会話しながら時間を潰していると、隣のアルマが小声で話しかけてきた。
「レクト、昨日聞きそびれたんだけど、今年の首席ってレクトであっているよね?」
「首席……?多分違うと思うよ。」
こちらも小声で返すとアルマは少し驚いた反応をした。
「私が3位で、レミーは次席って言っていたから、てっきり実技試験で暴れていたレクトが首席だと思ってたよ。」
「へぇ、レミーってそんなに頭良いんだ。」
もちろん僕には首席での合格通知なんて届いていないし、オルフェル家の皆さんが抗議してくれなかったら、そもそもこの列の一個後ろに座っているシルバーランクに入っていた成績だ。
「まぁあと少しでわかるから我慢しようかな。」
「ん?どういうこと?」
僕が不思議そうに首を傾げると、アルマはまたもや驚いたように言った。
「これも知らないのかい?
この入学式のラストには、首席発表と首席からの一言っていう、この学院に代々伝わる重大イベントがあるんだよ。
そこで学年でのトップが誰なのかが決まるんだ。」
その首席発表という単語をアルマが発した時、周りのだらりとした雰囲気が引き締まるのを感じた。
おそらく貴族達にとっては、派閥争いやらコネ作りなどの政治絡みの事に使える、なんとしても手に入れたい称号なのだろう。
(まぁなににせよ僕には関係のないことかな。)
それから1時間。
先代学院長を讃えようだの、魔塔からのお言葉やらの退屈な時間が終わり、ようやく首席発表の時が訪れた。
魔塔 魔法の研究をすることに生涯をかける、どこの国にも属さない独立機関。




