76.お部屋の中は
「いまさらだが最後の爆発はなんだったんだい?」
ばつ印の地点に向かうために、色々と話しながら3階に続く階段を登っていると、さっきの戦いの話題が持ち上がった。
「あれはね、即爆っていうオリジナル魔法だよ。魔力によって威力を変えられるから結構便利なんだよ〜。」
「なるほど、オリジナル魔法か。基礎魔法なら教えを乞おうとかと思ったんだけど、火属性じゃ私は覚えられないな。」
この魔法の開発者––––もちろんアート––––の話によれば、この魔法は一応火属性と地属性の複合魔法らしく、火属性と風属性しか使えないと言う設定で通している僕は、本当はこの魔法を使えない。
だが今見てもらった通りパッと見はただの火属性魔法なので、おそらく学校側にバレることはない!……多分。
ともかくそんな話をしている間に僕たちは、ばつ印の地点––––《レ––910号室》扉前までたどり着いた。
「《レ––910号室》ここであってそうだね。」
「ほらレクト、鍵を使うんだ。」
アルマに急かされつつも慎重に扉に鍵を差し込む。
すると予想通り『ガチャッ』という音が鳴り、扉が開いた。
「やっっっと休める……魔力が枯渇気味だったから結構きつかったんだよ。」
「道中でもずっとキツいって言ってたもんね〜。」
アルマは扉が開いたと同時に中に駆け込み、用意されていた2段ベットの下にダイブする。
そうして気持ちよさそうに目を細めているアルマとは違って、やはり僕は部屋の内装に疑問を呈していた。
「部屋の中まで豪華……本当にどこからお金を持ってきてるの?」
「そんなに言うほどかい?これくらいなら下町の上級宿と変わらないくらいだろう。」
「その宿ってBランク冒険者の1日の稼ぎでやっと泊まれるくらいのところなんだけど……」
ちなみにこの部屋に来るまでに僕が平民でBランクの冒険者だと言うのはもう言ってある。
だがまあアルマは平民だということに関しては既にわかっていたらしい。
アルマが言うには、平民の合格者が出たという噂があり、明らかに貴族っぽくない格好をしているレクトがいたのでもしかしたら––––ということだった。
しかしBランクというのは知らなかったらしく、聞いた時はかなり驚いていた。
(まあともかく、このサプライズイベントを無事乗り切れて良かったかな!)
レクトはまだ知らない。
あの時、即爆を使った場面を、魔動自動記録機––––つまり防犯カメラが捉えていたこと。
そしてその映像を見る時、即爆の仕組みを理解できてしまった人が、1人だけいたということを。
即爆 指定した場所を瞬時に爆発させる魔法。込める魔力によって爆発の威力・範囲を調整することができる。
レクトがアートと雑談している際に、「魔物との戦闘で即座に距離を取れる魔法があったらいいんだけど……」と悩みを打ち明けると、翌日にアートが創り上げた。




