75.磁魔鉄
「あ、そうえばこの性悪ゲーム……じゃなくて、サプライズイベントってもうクリア出来るのか。
アルマ……さん、鍵ちょうだい。」
「無理してさん付けしなくてもいいよ。
私のことは立場関係なく気軽にアルマと呼んで。」
今までは周りが年上ばかりだったから自然に敬語を使っていたが、目の前の僕と変わらないくらいの背丈をしているアルマを見ていると、貴族だと言うことを忘れて素で喋ってしまいそうになる。
だがまあ、アルマが良いというなら遠慮なく喋らせてもらおう。
これまでの会話でそういう性格ではないっていうのはわかってるからね。
「それでこの鍵はどうすればいいんだろ?」
そう言いながら受け取った、僕の鍵と同じくレ––910と彫られている鍵を天井の光にかざして見てみるが、とくにさっきの鍵と特別変わったところは見当たらない。
試しに見比べてみようと僕の持っている鍵をその鍵に近づける。
するといきなり鍵が『ピクッ』と動き、勢いよく引き寄せられた。
「ちょ、わっ!?」
引き合う力は意外にも強く、僕は思わず鍵から手を離す。
その瞬間二つの鍵は磁石のようにくっつき、『カチッ』という音と共に一つの鍵になった。
「……何これ?」
「おそらく磁魔鉄という、魔力を流すと磁力を発する特殊な金属だね。
一個ずつ魔力の波長が違うから、他の磁魔鉄にはくっつかないっていう性質を利用して、お互いの居場所を知らせるお守りとしての利用が1番有名だね。」
「……よくわからなかったけど、とりあえず鍵が完成したってことでいいの?」
「いいんじゃないかな。他にやれることもないし、それに……」
アルマはそう言いながらマップアプリのような役割をしている元白紙の紙を取り出すと、僕を示す赤い点とはまた別のばつ印を指差した。
「このばつ印はさっきから一度も動いていない。
つまりここが、このサプライズイベント?の目的地の可能性が高い。
とりあえずは一度ここに行ってみればわかるんじゃないかな?」
「そうだね、そうしようかな。」
そう言って立ち上がると、当たり前のようにアルマも立ち上がる。
「……なんとなく予想はついてたけど、アルマは本当に僕についてくるつもりなの?」
「まあアナウンスを聞いている限りだと、君が私のルームメイトになる可能性が高そうだからね。
今のうちに仲良くなっておいて損はないだろう?」
自分の意図を何も隠さず話すのは、いっそ清々しいと言うかなんと言うか……
しかしまあ、こちらとしてもなんのデメリットもない話だ。
「まあいいや。
今更だけど僕はレクト、これからよろしくね!」
「こちらこそ、これからよろしくね。」
そうして2人は、地図に従って歩き出した。




