73.通路での攻防
タイトル思いつかなかった……
「大流。」
そう少年が唱えると共に空中で魔法陣が煌めき、大量の水が僕に向かって放出される。
「わ、水晶鏡!」
その攻撃は考える間もなく一瞬で目の前まで迫る。
咄嗟に水晶鏡で壁を作る判断ができたのは、メモに無駄と言われていた試験前の冒険者活動での経験のおかげだろう。
(とは言っても、この水流いつまで続くの?
水晶鏡って元は反射鏡だから消費魔力がバカにならないし、それに加えて鏡魔法がバレないように幻鏡で魔力壁に偽装し続けないといけないし……)
「水切っ!?」
そんなことを考えている時、突如後ろから衝撃がはしる。
驚いて後ろを見ると、青髪の少年が苦しい顔で飛び退いているところだった。
「水球。」
「映鏡!」
一瞬混乱しかけた頭をなんとか戻し、距離をとるための牽制として放ったであろう水球を、冷静に映した風球で相殺する。
(危なっ!水流に乗ってくるなんて完全に想定外だった……
だけど、なんか自爆してくれたっぽいから––––とにかく追撃!)
「映鏡!」
身体強化、風纏、加速を映して一気に距離を詰め、冒険者活動で培った身のこなしでを使って、対応が追いついていない相手を徐々に階段の方へ追いやっていく。
(どんどん表情が苦しくなってる。多分そろそろ……)
そしてあと一歩で落ちてしまう––––というところで、予想通り相手は反撃を仕掛けてきた。
「水棘。」
「想定済み––––魔力壁!」
しかし完璧に読み切ったと思ったその魔法は、僕ではなく相手の足裏から突き出し、相手のことを天井近くまで跳躍させた。
「上からならっ––––滝壺!」
「っ反射鏡!」
僕が上に向かって魔法を展開したのとほぼ同時に、上から滝のような勢いで水が落ちてくる。
その水は跳ね返したと同時に凄い音を立ててぶつかり合い、通路を少しづつ浸水させ始めた。
「水切!」
(着地と同時に下からも同時攻撃……これは防ぎようがないかもね。
……防ぎよう|は、だけどね。)
相手の水の刃は速さを増して僕に迫る。
そして直撃しそうになった瞬間––––僕の足元で小さな爆発が起き、僕を相手がいる方と反対の通路に吹き飛ばした。
「なっ!?」
「残念だったね––––映鏡!」
この一撃に全魔力をかけていたであろう相手は、勢い余って空振り、盛大に転んだ。
そして立ちあがろうとしている相手に風球でトドメを刺し、水浸しになった通路でやっと一息吐くのであった。
水球などはショーで写したものでなく、アート達に別で写させてもらったものを使っています。
大流 魔法陣を展開したところから、魔力の許す限り水を吹き出し続ける魔法。
勢いなどは込める魔力で変わる。
水切 水の刃を手元に出現させ、水で体を押し出して相手を切り裂く魔法。
大雑把にいうと加速と水刃を掛け合わせたような魔法。




