68.お兄ちゃん?
試験が終了し、焼け野原となった試験場から出ると、周囲から視線が集まるのを感じた。
『おい、さっきの見てたかよ!
あいつ、ヤベェぞ……』
『近寄らないでおこうぜ。』
(……あれぇ、なんかしたっけな〜。)
[本気で言ってるのなら、正気を疑います。]
(あれ!?作戦の立案者ってメモだったよね!?)
唐突に唯一の相棒に裏切られた僕は、悲しみのあまりその場に崩れ落ち––––なんてことはせず、いつもの調子で試験場をでようとする。
(まあ、ここで何かしても逆効果だって過去の経験が証明してるし……)
注目されるのは苦手なんだけどなぁ、なんて思いながら、案内に従ってやっとのことで貴族学院を出る。
「そうえばエミー大丈夫だったかな……
一応直撃じゃなくて地面を狙ったから、爆発のダメージだけで済んでるはずだけど……こんなことなら急いで出てくるんじゃなかったなぁ。」
後悔はしているが、今あそこに戻っても注目を浴びるだけだ。
また次会った時に絶対謝ろうと、心に決めたレクトだった。
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夕方。
もはや我が家なのでは?と最近思ってきているほど長くお世話になっているお屋敷に帰ると、まずはお兄ちゃんが抱きついてきた。
「おかえりレクト〜!
試験は大丈夫だったか?」
「お、レクト、本当に帰って来たんだな。
こいつがレクトの気配とか言い出したからもしかしてとは思ってたが。」
その後も続々とお世話になった人達が出てきて試験のことを労わってくれた。
しかし僕は、このまま和気藹々として今日を終えるわけにはいかない。
みんなに言葉を返して目指したのは1人。
そう、お兄ちゃんだ。
「お兄ちゃん、ちょっといいかな?」
「レ、レクト?どうかしたのか?」
お兄ちゃんは僕に呼ばれて笑顔で振り返ったが、すぐに顔が引き攣る。
なんでだろうなぁ。
別に何もしてないんだけどなぁ。
「お兄ちゃん、あの杖、何?」
「あ、ああ。あの杖のことか。
あれは僕が昨日徹夜して作った……」
「なるほど、元凶はお兄ちゃんで間違い無いんだね?」
「元凶って、一体なにを……」
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遠い未来、アートはこのことをこう話す。
『レクトがあんなに僕に怒ってるのを見たのは、あれが初めてだった。
ん?あれをもう一度?……死んでも嫌だね!』




