第614話:出歯亀
☆間宮 零人sides☆
「パピスタ…!? なんでここに!?」
「あ! マミヤレイト!?」
デモニカル・カフェの利用客の中に、パピスタ・シモンズ、ルーシー王女がご来店してやがった!
と、とんでもないバッティングしちまった。
まずいぞ、俺のすぐ後ろの部屋にはリベルタのお巡りが鎮座してる!
しかも彼女たちのすぐ傍にはアーロン…!
あのワン公がパピスタの正体バラそうもんなら、アイツまじで終わるぞ!
「クーン、クーン! あはは、お姉さんなでなでするの上手だねぇ~」
「はうう…なんて、触り心地なのでしょう!
クランの子たちがこの店を推す理由が分かりましたわ~」
あれ? 王女さまはアーロンに夢中…しかもアーロンの方も彼女に身を任せている。
どうなってやがる…?
すぐ近くにパピスタがいるのに、アーロンの野郎気づいてないのか?
「マミヤレイト! こ、こっち!」
「あっ、ちょ…なんだなんだ!?」
☆☆☆
「あ、危なかったわ…! まさかアンタがあんな所から出てくるなんて…」
パピスタに引きずられ、お店の外へ出た。
手首をものすごい力で握られている。
「危ないのはお前の馬鹿力だ。
いい加減手離せよ! 痛いって!」
「ああ!? 誰がデカケツよ!」
「ひと言も言ってないんだけど!?」
ツッコミつつ、解放された手を慰める。
まあいい。さて、さっきのはどんなカラクリなのか、きっちり説明してもらおうかな。
「マミヤレイト、あんたリベルタと一緒なんじゃなかったの? 店の中に居なかったから帰ったと思ったのに」
「なんで知ってんだ…俺らはバックヤードに居たんだよ。
アーロンのヤツが俺に思いっきり甘えてきやがったからな」
「アーロン…? ああ、二ツ犬ね。
その様子だとアンタもあの子がこの店にいたこと知らなかったみたいね」
パピスタはハアと、ため息を吐いて店の壁に寄りかかった。
今日のカッコ、わりとおめかししてるな。
頭にサングラスまで乗せちゃって…まるでこないだ着替えさせたザベっさんみたいだ。
ルーシーさんと出かけるために、わざわざ気合い入れてきたのか?
…いや、そんなの当たり前か!
王女さまの前でダサい格好なんて出来るわけないやん!
「あいつ、パピスタに会いたがってたけど、もしかしてまだ正体気づいてない感じ?」
ともかく、本題に入ろう。
俺の問いに、パピスタは首を縦に振った。
「ええそうよ…。お店に入る前、アーロンの姿が見えたから、とっさに目元をサングラスで隠したの。あの子が鈍感で助かったわ」
「え、そんなんで欺けたの!?」
俺なんか帽子で存在を目立たなくしてたのに、速攻でバレたんだぞ!
どこで買ったんだそのグラサン…。
「それにしてもあの子、なんでこんな店でニンゲンの見世物みたいなことしてるのかしら」
「アーロンははぐれた主人とやらを探すために、ここでバイトしてんだと。よく今まで鉢合わさなかったな…」
アーロンがいつレガリアに来たのかは知らんが、同じ街で暮らしてて一回もエンカウントしないのもすごい確率だ。
「まあ、アタシは2区に用事なんてないしね。
今日はお武家ムスメに連れられてきたのよ」
「そうか。とにかく、お前はもう家帰れ。
今この店にいる面子がどんだけヤバいかぐらい分かんだろ?」
「え、ええ…それはもちろん分かってるけど。
ちなみに、アンタはこれからどうするの?」
ジッと、何かを期待するような眼差し。
なぜか少しだけ、そわそわしている。
「俺もリベルタ連れてトンズラするよ。
せっかく今日は男同士でツルんでるんだし、もっと楽しいことしなきゃな」
「え、男…? 待って、マミヤレイ「あ、パイセンここに居たんスね」」
その時、ちょうど迎えに行こうかと思った奴が外に出てきてくれた。
よっしゃ、今度は俺が連れ回す番だぜ。
「おろ? なんだパピスタさんも居たんスか。
お呼びじゃない姫サマが来てた時点で、もしかしたらアンタも…とは思いましたが。
まったく、揃いも揃って出歯亀してくれちゃって」
リベルタは心底ウザそうに、店の中でアーロン戯れてるルーシーさんに視線を投げた。
あれ、なんか若干怒ってるように見えるのは気のせいか…?
「…リベルタ。今すぐマミヤレイトの誤解を解きなさい」
「!」
「は? 『誤解』って?」
パピスタがいきなり変なこと言い出した。
そしてその瞬間、リベルタの目つきが急に変わった。
☆パピスタ・シモンズsides☆
「なんだリベルタ。誤解って?」
「……」
アタシの言葉でリベルタは押し黙った。
キョトンとしているマミヤレイトの様子を見るかぎり、やはり分かっていないみたいね。
「ふう、仕方ないッスね…もう少しあとで言うつもりでしたが。パイセン、よーく聞いてください。実は僕…」
「お、おう?」
リベルタはずいっと、彼に顔を近づけた。
…って、いきなり何してんのよ!?
「身体を動かしたくてウズウズしてるんスよ。
どこか良い感じの運動場でも知りませんか?」
「ハア!?」
「お、運動か、良いね~!
そんなら早く言ってくれりゃいいのに。
もちろん知ってるぜ! ついてこいや!」
一気に上機嫌になったマミヤレイトは、鼻歌を混じえて明後日の方向へ歩き出した。
そして彼に誘われたリベルタは、アタシとすれ違いざまに、耳元へ口を近づけてきた。
(せっかくパイセンとデートしてんだから、余計なこと言ってシラケさせんじゃねえッスよ)
「…ッ!?」
「それじゃ、僕ら行くんで。アンタは姫サマしくよろッス」
振り向いた『彼』の唇から、小さく舌が伸びていた。
こんにちは、黒河ハルです。
貴重なお時間を消費して読んでくださり、とても嬉しいです!
リベルタの秘密とは?
分かりやすいですね笑
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何卒、なにとぞっ!底辺作家めにお慈悲を…!!




