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スター・スフィア-異世界冒険はおしゃべり宝石と共に-  作者: 黒河ハル


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第103話:外骨鎧《エグゾ・アーマー》

看守室へ到着後、部屋の様子を伺うと、俺にしては珍しく運良く、中に誰も居なかった

ドアには鍵が掛けられていたが、転移(テレポート)能力の前では無意味だ


シトロンさんと手を繋いで、向こう側へ移動した


ブン!


看守室の中は、書斎机と壁にたくさんの鍵が掛けられているシンプルな造りの部屋だった

こんなあっさり侵入できちまって…

セキュリティガバガバ過ぎやしないか?



「おお…!

まさかこんな魔法が存在するとは…!

これは究極魔法にすら存在しない魔法だぞっ」


「それより、鍵だよ鍵!

めっちゃいっぱいあるんだけど、どれ?」



初めての転移(テレポート)に少しはしゃぎ気味になったシトロンさんを諌めて、目的の物を探す

…鍵50個以上もあるんだけど

よっぽど用心深い野郎だなアイツ



「……あったぞ。この鍵だ。

見ろ、鍵に小さく『マモノ』と刻まれている」


「ホントだ!

よし!早く部屋を出よう」



彼女のおかげでスムーズに目標物を回収することができた

…なんとか試合まで間に合いそうだな



「それじゃあ、鍵も無事ゲットしましたし、ここで一旦別れますかね。

シトロンさんは先に武器部屋へ戻ってもらって良いよ」



アシュリーから借りた懐中時計を確認すると次ラウンド開始まで残り5分を切っていた

本格的に急がないとヤバい時間だ



「私は構わないが、お前は独りで戻れるのか?

ここから北エリアまで複雑なルートだぞ。

それに時間の猶予もあまり…」


「おいおい、今使って見せたろ?

俺はエネルギーを使って転移(テレポート)で移動できるんだ」


「そんな離れた距離でも発動できるのか?」


「もちろん!

ただ、そろそろエネルギーの残量がヤバいから、あとはあんまり無駄にできないけどね…

じゃ!またあとで!」


ブン!


手に入れた鍵を握りしめ、俺は控え室に作っておいた座標へ飛んだ



☆☆☆



ブン!


控え室へ転移すると、目の前に金髪が現れた!

お互いに驚いて尻もちをつく



「きゃあっ!?

ちょっと!いきなり驚かさないでよ!」


「わりぃ!それより俺の服は!?

急がないと…って、なんでお前持ってるんだ?」


「…へ?あっ!

な、何もしてないわよ!?」



フレイは何故か慌てた様子で、バサッと俺の服を投げてよこした


ちょ…!?

買ったばっかなんだから乱暴するなよ…


急いで服を脱いで元のタキシードへ着替えていると、アシュリーが独り言のように呟いた



「あ〜あ…

()レイト君の服の匂い、嗅ぎたかったなぁー」


「は?匂い?」


「アシュリー!?

バカぁ!!何で言うのよ!」



真っ赤になったフレイがアシュリーの頭をポコポコ叩き始める

まさかフレイ…俺の服を…?



「フレイ」


「え?」


「…ゴメン、さすがにそれはちょっと…」


「レイト!?ま、待って違うの!

私はただ、アンタが脱ぎ散らかして行ったから畳もうと…」



所々破れてしまってるとはいえ、俺は結構この服を気に入っていた

それをお前は…



「確かにこの服良い匂いがする生地だけど、俺の服だから…その、お前にはあげられないな」


「へっ…?」


「お前だって良いドレス作ってもらったんだから、そっちを大事にしろって。

せっかく似合ってるんだし」


「あ…ありがとう??」



フレイは訳が分からないといった顔でお礼を言った

…なんか微妙に会話が噛み合ってないような気がするけど

とにかく今は時間が無い


着替えを完了させ、子分を呼んだ

アシュリーにも手招きする



「アニキ!」


「ホラ!早く手枷嵌めろ!

武器部屋へ急ぐぞ!」


「うっす!!」


「それとアシュリー!

あとは頼んだぜ!

必ず作戦を成功させよう!」


「はい!

レイト君、シュバルツァーさん、ご武運を!」



☆☆☆



武器部屋まで全速力で走り抜ける


さっきみたいに転移(テレポート)使えばすぐなんだけど、エネルギーを少しでも節約するためにこれまで通り足で向かった


途中警備からは怪訝な顔をされたが、子分が引き連れてるおかげで、単に試合に遅刻しそうなだけだと思ってくれたようだ


実際その通りなんだけど



「ハァ、ハァ…何とか、間に合ったすね」


「ああ…おい。

お前は地上の王都に家はあるのか?」



膝に手をやり、汗を拭う子分へ尋ねると、豆鉄砲を食らったような顔をする



「へ…?

ええ…まあ…、ボロいアパートですけど」


「それなら安心した。

この作戦が終わったら冒険者ギルドに来い。

分かったな?」


「ええ!?

なんで冒険者ギルドなんですか?」


「…〝分かった〟な?」


「ハイ!!」



声のトーンを落として確認すると、子分は気を付けをして元気よく返事した

そうそう、それでいい



「おっしゃ!作戦開始だフレイ!

準備はいいか?」


「ええ、もちろんよ。

私たちを巻き込んだことを〝あいつ〟に後悔させてやりましょう!」



お互いの両拳をぶつけ、武器部屋のドアを開けた



☆☆☆



「4-706ペア。

試合開始まで間もなくだ。

早急に武器を選択されたし」



部屋には大柄の門番…というかシトロンさんが待っていた


先ほど看守室へ向かう途中、彼女に聞いたところ、どうやら鎧は『外骨鎧(エグゾ・アーマー)』と呼ばれる魔導兵器(アルテマ)の一種らしい


これを着れば非力な人でも『鋼鉄人形(ゴーレム)』に匹敵する力を得ることができるんだとか


竜の国(ドライグ)』から密輸入したとも聞いている


そして武器を選択して、彼女に手錠を解錠してもらう際、シトロンさんは兜で覆われた顔を近づけて小声で耳打ちしてきた



(マミヤ。

魔物サイドの門が開くまで多少時間がある。

分かるな?今回は『挨拶』が入る。

そのあいだに攻撃する箇所を確認せよ)


(大丈夫。

大体の位置は2ラウンド目に目星付けたからな。

あんたも『その時』が来たらすぐ地上へ逃げろよ)


(それは承服しかねる。

怪我人が多く出るかもしれん作戦だ。

私は最後まで残る)


(…フフ、分かったよ。

でもあんたには地上でやってもらいたいことがあるんだ。

こんな所で死ぬなよ?)


(当然だ)



医者らしい発言だ

こんな立派な鎧を装備してるし、彼女の心配は無用だろう


両手の自由を得て、俺とフレイはアリーナの門をくぐり抜けた


これが最後のラウンドだ

アリーナの観客どもと、俺の相棒を奪ったあのクソ野郎に…目に物見せてやる!!




こんにちは、黒河ハルです。

貴重なお時間を消費して読んでくださり、とても嬉しいです!


いよいよ、次話でルカとセリーヌの救出作戦が決行されます!

いったい何話目になったらカジノ編が終わるのか!


「続きを読ませろ!」と思った方は、ぜひブックマーク、並びに下の☆を『5つ星』お願いします!

何卒、なにとぞっ!底辺作家めにお慈悲を…!!


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