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スター・スフィア-異世界冒険はおしゃべり宝石と共に-  作者: 黒河ハル


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第101話:自首


「おかえりなさい。

レイト君、シュバルツァーさん」



控え室へ戻ると、犬人(アイヌ)の女、アシュリーがまたもや牢屋の中で体育座りで待っていた

…そこ気に入ったのか?



「おつかれー。

あいつらの様子どうだった?」


「お元気でしたよ。

さすがにセンチュリー様からは睨まれてしまいましたが…

みんな、貴方の名前を出したらちゃんと話を聞いてくれました。

よほど信頼されているんですね」


「そっか…ありがとう」



お礼を言うとアシュリーはペコリと礼をした


まともな連絡手段がないので、人づてに作戦を伝えなければならない

まぁ作戦といっても、あいつらの役割は時期が来たら暴れてもらうだけだけど



「じゃあ、アニキ。

俺、急いで装備取ってくるんで」


「ああ」



男は俺たちの手枷を外したあと、小走りでその場を後にした

…よく考えたら、あいつの服を剥ぎ取っても良かったかな



「どこか行くのですか?」



キョトンとしたアシュリーが質問する

魔物を助けるための鍵が看守長室へあること、今から俺がその部屋へ潜入することを伝えた



「なるほど…

もっと早く場所が分かっていれば、こちらで入手出来たのかもしれませんが…」


「いいよ、それくらいは俺がやる。

あ、ちなみにあいつらの牢屋の鍵は開けてくれた?」


「はい。

そちらもご指示通りに皆さまの扉を開けておきました。

いつでもレイト君に合流できますよ」



アシュリーは首に下げている鍵型アクセサリーを手に取った


彼女には伝言と情報共有の他に、もう1つミッションを与えていた

彼女が持っている魔導具(アーティファクト)、『黒の鍵』を使用してもらい、仲間の牢屋の解錠を依頼したのだ

解錠(アンロック)』の魔法が封じ込めれた特殊なアイテムだ

セリーヌが欲しがりそう



「便利そうよね、それ。

ダンジョンに眠る宝箱でもほとんど開けられるんでしょ?」


「フフ、そうですね。

しかし、『裏市場(ブラック・マーケット)』で売られていたとはいえ本当に高い買い物でしたよ。

私のお給料2年分もしましたから」



フレイがため息混じりに言うと、アシュリーは苦笑いした

なんでも、ジョナサンの秘密部屋を調べるため、彼の事務室や家に忍び込む時用にその鍵を購入したのだとか


ずいぶん思い切った買い物だぜ



「あ、鍵穴があるのでしたら、私の鍵で魔物の首輪を解錠できませんかね?」



ごもっともな意見だ

しかし、彼からこう聞いている



「聞いた話だと、もし規格外の鍵を無理やり差し込んでしまうと、爆発してしまうらしいんだ。

いくらその鍵でもリスク考えるとちょっとね…」


「…なるほど、それは迂闊に触るわけにはいきませんね。

しかし、その鍵の在処は分かるとして、どれが首輪の鍵か見分けはつくのですか?」



そんなもん簡単だ

俺は笑顔で答える



「看守長いたらボコボコにして聞き出すよ」


「「………」」



女性陣の反応が微妙だった

え、だってその方が確実じゃない?



「アンタ…

もしそれが周りにバレたらどうするのよ?

レイトもだけど、それ以上にルカ達が危ないわよ」


「看守室は看守長以外出入り出来ないんだろ?

それならバレるわけないじゃん」


「だから、そいつが騒ぎ出してバレたらどうすんのって言ってんの!

冒険者ならもう少し頭使いなさい!」


「なにおう!?

そんならお前だって傭兵らしくマトモな案1個くらい出してみろよ!」


「なによ!」


「なんだよ!」


「え!?お、おふたりとも!?」



俺とフレイはおデコをぶつけてメンチを切り合った

なんだよ再会した時はすごく可愛かったのに、生意気だな!



「何を騒いでいる」


「「「!?」」」



フレイととっ組み合うと、牢屋の外から話しかけられた!

目を向けるとそこには、ピンク色のド派手な髪をしたギャルが…

え、誰?



「あっ…!うそ…『シトロン』!?

どうしてここへ!?」


「お前こそなぜここに居る?アシュリー」



…知り合い?

シトロンと呼ばれたその女性は、不機嫌そうに腕を組んでいる

軽装の鎧に細剣を腰に差している

まさか、警備か…!?



「4-706、マミヤ・レイト並びにフレデリカ・シュバルツァー。

私はシトロン・ワーグ。

お前たち、身体は大事ないか?」


「その喋り方…あなたまさか『裏医者(ブラック・ドク)』!?」


「……その名で私を呼ぶな」



不機嫌そうな表情がますます険しくなる…

ピンク色の髪なんて可愛いヘアースタイルのわりに、取っ付きにくい雰囲気だ

まさか、鎧の中にこんな美人が入ってたなんて…


…って、あれ?

鎧の時より身長が低い…

どうなってんだ?



「まさか、私が接触する前にこちらに来るとは…

レイト君、いつの間に彼女をたらしこんだんです?」


「はあ!?

いや、こっちが聞きたいよ!

アシュリーが呼んだんじゃなかったの?」


「いえ、私はレイト君のお仲間さんの控え室を順に駆け回っていたので、そこまでの余裕は…」



アシュリーじゃなかったのか

じゃあ誰が俺たちのことを…?



「話はシルヴィアからある程度聞いている。

まさか純粋なあの子がこの裏の世界へ迷い込むとは思いもよらなかったが」


「「あ…」」



俺とフレイは顔を見合わせた

そうか…あいつは皆の中でいちばん試合順序が早かった

そして、この人の正体にもいち早く気付いたのか



「…てことは、アンタも協力してくれるのか?」


「当然だ。昔のよしみというやつさ。

それに『シード』とやらのクスリに関しても、詳しく調べる必要がある。

聖の国(グラーヴ)』の研究を悪用した薬なのだろう?」



なんだ、既にそこまで聞いてたのか…

ナイスだぜ、シルヴィア



「もしやあの大人しそうなメガネっ子ですか?

そういえば、あの子はやけに落ち着いているとは思いましたが、そういう事でしたか…」


「…アシュリー。

もう一度質問するが、なぜお前がここにいる?

ここはディーラーが足を踏み入れて良い場所では無い」



ピンクの髪をなびかせ、アシュリーへ問う

その視線は刺すように鋭い…

この二人、あんまり仲良くないのかな?



「私はあの人を…

グエル様を助けるためにここへ来たのです。

かつて栄えたカジノを取り戻すために…」


「……まさか、その為にこの者達を巻き込んだのか?」



ますます彼女の眉間にシワが寄った

その低い声にアシュリーはビクッと肩を震わせた

いかん!

慌てて彼女たちの間へ割り込む



「ま、待ってくれ!

俺たちは確かにいきなり連れて来られたけど、アシュリーと目的は一致してるんだ!

俺の仲間とそのグエルって奴は、同じ場所へ監禁されている…

だから、協力することにしてるんだよ」


「だからといって、一般人を巻き込んで良い理由にはならん。

表の人間が裏の世界の土を踏むことは、本来あってはならない」



ピシャリと女は一蹴する

なんとか言い返そうと、言葉を探していると、誰かに肩を掴まれた



「レイト君、ありがとう。

ですが、シトロンの言う通りです。

私は上へ脱出後、自首する腹積もりなんです。

あなた達を巻き込んだ『落とし前』は付けます」


「アシュリー…」



そこまでの覚悟か

ヘラヘラしてはいるが、罪の意識はちゃんと感じていたのだろう

ふん、『落とし前』か…

俺は肩の手を握りしめた



「アシュリー!」


「は、はい?」


「自首なんて逃げは俺が許さない。

脱出したら覚悟しとけ。

酒場で『〝蒼の旅団〟全員奢り刑』に処してやる」


「え…?」


「良い考えね、レイト。

囚われているウチのネコ娘なんてかなり酒豪だから、5万G(ジル)程度じゃ足りないわよ?

スカンピンを覚悟しときなさいね」


「あ…」



俺の考えた処刑にフレイが賛同してくれた


そうだそうだ

俺たちを巻き込んだんだから、それくらいの罪滅ぼしをしてもらわないとな


2人でアシュリーをジッと見つめると、困ったように笑った



「あ…はは、お安い御用ですよ。

何杯でもご馳走して、皆さんを酔い潰してあげましょう!」


「よーし、フレイ。言質は取ったな?

美味い酒の為にいっちょ気合い入れていくか!」


「バッチリ聞き届けたわ。

会計の時のアシュリーの顔が楽しみね!」


「…ありがとう…ございます…グスッ」



当の本人の彼女は少し涙ぐんでいるようだった

へっ、泣いたってもう遅いからな






こんにちは、黒河ハルです。

貴重なお時間を消費して読んでくださり、とても嬉しいです!


ブラック・ドクが仲間になった!

早く裏カジノ編を終わらせたいです笑


「続きを読ませろ!」と思った方は、ぜひブックマーク、並びに下の☆を『5つ星』お願いします!

何卒、なにとぞっ!底辺作家めにお慈悲を…!!


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