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スター・スフィア-異世界冒険はおしゃべり宝石と共に-  作者: 黒河ハル


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第99話:惚れたオンナ

「ミツケタ!ソノオンナカラハナレロ!!」


「え!?」


「チッ!見つかったか!

蛇女(ラミア)!戦闘再開だ!」


ドォン!


組み合いながら蛇女(ラミア)へ細かい作戦を伝えている最中、もう一体の対戦相手の蛇頭(ナーガ)が突っ込んできた!


思ったより索敵が速い

戦闘力あるなこの魔物…



「ニンゲン!

オレサマト勝負ヲシロ!」


「なんとか聞き取れる口調になったな…

お前、蛇女(ラミア)から話を聞いてないのか?

俺たちは…」


「ダマレ!

オマエ、オレサマノオンナヲ誑カシタ!

ユルサナイ!!」


「はあ!?」



こいついきなり何の話を…?



「第1ラウンドガ終ワッテカラ、ズットオマエノ話バカリ!

ダカラ、オマエハ悪イニンゲン!

オレノオンナニ近ヅクノハユルサナイ!!」


「なるほど…」



そういうことか!

だから蛇頭(ナーガ)はさっきから俺を目の敵にしてたわけか

下手に言い訳して誤解を解くより、望み通り戦って相手をした方がちゃんと話を聞いてくれそうだな



「ねぇ、あいつ何て言ってるの?

アンタは分かるみたいだけど、アタシには『シャーシャー』しか聴こえないんだけど…」



蛇女(ラミア)は俺に魔力(マナ)で形作った爪を向け、睨み合う演技をしながら、静かに質問してきた

同じ蛇同士なのに、言葉が分からないってのもおかしいね



「いや、お前らがまさか恋人同士だとは思わなかったよ。

どうやらあいつ、俺がお前のこと奪ってると勘違いして嫉妬してるっぽいぜ」


「はあ!?冗談じゃないわ!

あんなブサイクと付き合ってなんか…」


「とにかく、あれは俺が適当に相手するから、お前は邪魔にならない程度に攻撃してくれ。

行くぞオラァァァ!!!」


「あっ、ちょっと聞きなさいよ!?」



錆びた剣を強く握り、大口から覗かせた牙で威嚇するヘビ野郎へ斬り掛かる

惚れた女のために闘う男…

そういうヤツ、嫌いじゃないぜ!



「シャアアアア!!!」


「うおおおお!!」


ガキャアアン!!


長い下半身をくねらせ、硬い鱗で俺の剣を受け止めた!


金属と鱗が擦れ、火花を生み出す



「はぁっ!!」


ドゴッ!


「シャアア!?」



下半身へ回し蹴りを当ててバランスを崩させる

すかさず座標をヤツの頭部付近に作成した


ブン!


「消エ…!?」


ブン!


「フッ!!」



蛇頭(ナーガ)からしてみれば、いきなり目の前に俺の下半身が映っただろう

野郎の反応よりも早く、俺の膝が顔面にクリーンヒットする


バゴォッ!


「ギャッ!?」


「その程度か!」



怯んだ上体に向け、剣を横から一閃させる

入るッ!



「シャアッ!!」


ガブッ!!


「な、なにっ!?」



コイツ!?

剣を…口で受け止めやがった!

どんな離れ業だよ…!

素手で白刃取りするよりとんでもねぇ!


牙はしっかりと刀身を砕いており、もはや得物としての機能を果たさない状態になってしまった


だけど…そんな無茶したら…!


パキッ…


「フシュルル…ッ!!

フシュー…フシュー…!」


「お前、その牙…

何でそこまでして…」



ボロボロとはいえ、噛み付いたのは金属だ

蛇頭(ナーガ)の鋭い牙も砕け、口腔内は血で満ちていた

なんてヤツだ…!



「オレ達ヲ攫ッタ『ジョナサン』言ッタ…

ニンゲンヲ100人殺セバ、首輪ヲ外シテ自由ニシテヤルッテ!

ダカラオレサマ、負ケナイ。

オマエノ助ケハイラナイ…!

オレダケノ(ちから)デ、オレノオンナ、ココカラ助ケル…!」


「お前…」


「ねぇちょっと!

いい加減話を聞きなさいよ!

アタシはコイツと付き合って…」



いつの間にか横に来た蛇女(ラミア)が、怒りながら何かを言おうとしている

しかし、目の前の〝男〟の言葉を無視するわけにはいかなかった



蛇女(ラミア)

俺たちを100人殺したら自由にしてやるってジョナサンの奴から説明されたのか?」


「もう!だから聞きなさいってば!

ひゃく…?

ああ、そんなこともほざいてたわね。

あんな嘘を信じる馬鹿は居ないと思うけど」


「そうか…」



しかし蛇頭(ナーガ)はそれを信じて、今まで闘ってきたってのか…

あのクソ野郎…ッ!

命を何だと思ってやがる…!



「おい蛇頭(ナーガ)

てめえの女を愛する気持ち、痛いほど伝わってきたぜ。

だが、俺も相棒と仲間を助けるために、こんなところで死ぬわけにはいかないんだ。

お前の意地と俺の意地、はっきり白黒付けようじゃねぇか!」


「望ムトコロダ!」


「ちょっと!?

いま本気で闘ったら…」



俺と蛇頭(ナーガ)はお互いに右手を固めて、鉄拳を形成した

そして、同じタイミング、同じ角度から拳を相手に向かわせる



「シャアアアア!!!」


「あああああ!!!」


バゴンッ!!


蛇頭(ナーガ)の拳は俺の頬に、俺の拳は牙がもげて傷ついた口元へそれぞれ突き刺さる


…重い拳だ…

ガルドのマッチョどもなんかよりよっぽどに…

これが、譲れない想いってヤツか


頭部を揺らされた衝撃か、足元がフラつく

それは蛇頭(ナーガ)も同様のようで、地に着いた下半身に比べて、上半身が揺れている


ゴン…


気づけば俺と蛇頭(ナーガ)は額を突き合わせていた

…まだだ!


背筋に力を入れ、上体を反らす

蛇頭(ナーガ)も同じように頭を振り上げ、俺と似た体勢になった



「これで終いだぁッ!!」


「シャアアッ!!」


ゴォン!!


痛みより先に、星がチカチカと飛んだ

なんつー、石頭だ…

ヤ…バ…


ドサリ…


前方へ倒れる形で地面に伏せると、目の前に同じく倒れ込んだ蛇頭(ナーガ)の顔が視界に入った

その鋭い瞳孔は、俺を真っ直ぐに見つめている



「ニンゲン…オマエ…ノ、勝チダ。

オレサマ…オンナヲ守レナイ。

頼ム、代ワリニオマエ、アイツ、守ッテクレ」


「へへ…バカ言うんじゃないよ…

俺は爬虫類が苦手なんだ…

守りたきゃ、惚れたお前があの女を守れ。

それがスジってもんだろ…」



死力を尽くし、お互いにもうボロボロだ

身体に力が入らねぇ…

蛇頭(ナーガ)は悔しそうに目を閉じた



「…………デモ、オレサマ、モウ…」


蛇女(ラミア)と一緒に、お前も俺たちの手伝いをしてくれ…」


「…エ…?」


「ジョナサンの野郎にきっちりお灸を据えてやらなきゃ気がすまねぇだろ?

次のラウンドには、その首輪…必ず外してやる。

だから、俺の…〝蒼の旅団〟の仲間になれ」


「……オマエ、ニンゲン…?マルデ…」


ビィィィ!!!


蛇頭(ナーガ)の言葉に被さるように、ラウンド終了を告げる音がアリーナ内へ鳴り響いた


何とか、今回も時間いっぱいまで闘えたか…


すると、蛇頭(ナーガ)は血みどろの口元を歪ませ、愉しそうに(わら)った



「ヒヒ…オマエ、マルデ×××ダナ…」






こんにちは、黒河ハルです。

貴重なお時間を消費して読んでくださり、とても嬉しいです!


せっかくの剣と魔法の世界なのに、汗臭い、殴り合いの対決になることが多いのがウチの作品です笑

次話でとうとう100話目突入です!


「続きを読ませろ!」と思った方は、ぜひブックマーク、並びに下の☆を『5つ星』お願いします!

何卒、なにとぞっ!底辺作家めにお慈悲を…!!


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