第7話
―コールドウェル辺境伯領 リハンメル 冒険者ギルド―
「お二人ともお疲れ様でした。こちらが報酬となります」
受付で袋が渡される。
金貨20枚に銀貨6枚。
かなりの大金だな。
「こちらが冒険者カードとなります。
再発行には料金が必要ですので、紛失などにはお気をつけください」
「わかりました。
……えーと、なんでAランクなんですか…?
俺、ランク昇格試験とか受けてないような…」
「SSランクモンスターの討伐に貢献したとの事なので、Aランク相当の実力があると判断されました。
特例というやつです」
「俺のためにわざわざありがとうございます」
―コールドウェル辺境伯領 リハンメル 中央広場―
報酬と冒険者カードの受け取りを終えた後、俺はイリアと街中を散策することにした。
「報酬は折半でいいかしら?」
「構いませんよ」
そう言って金貨10枚と銀貨3枚を受け取る。
「そうだ。
これ、装備と武器代です。受け取ってください」
そう言って金貨3枚を渡す。
「別に要らないわよ。そもそも返ってくると思ってなかったし」
「いえ、受け取ってください。俺としてもここで貸しを作るのは嫌なので…」
「…それだけ言うなら、まぁ…わかったわ」
そう言ってイリアさんは渋々受け取った。
「どこか行きたい所はある?案内するわよ」
「魔道具を買いに行きたいんですが、良いですかね?」
「良いわよ。行きたいところも別にないしね」
俺達は、魔道具店へと向かった。
―――――――
―コールドウェル辺境伯領 北の森―
魔道具店で目的の物を購入した後、俺は性能テストのために北の森へと向かった。
購入した物は転移の魔道具のペアを1つ。
一つは剣に装着し、一つはブレスレットとして購入した。
これで目的の事は出来るはずだ。
「それで、試してみたい事って何よ?」
「まぁ、今から実践しますので見ててください」
少し話していると、森の奥から1体のゴブリンがやってきた。
「ちょうど良くモンスターが来たので実験台にしましょうか」
そう言って俺は剣を槍のように投げ、ゴブリンを一匹串刺しにする。
「このように、遠くの敵を倒すために剣を投擲したとします」
「戦略としてはありだけど……、それをやると武器を失うから却って危険よ?」
「えぇ、そこで転移の魔道具です。
俺の読みが正しければ…!」
俺は魔道具に魔力を込め、発動させる。
すると、次の瞬間、手の中に剣が戻ってきた。
「よし!うまくいった」
「転移の魔道具をそうやって使うなんて……魔道具の仕組みを詳しく理解していないとできない発想よ。
すごいじゃない!どこで習ったの?」
イリアさんが少し驚いたような様子で聞いてくる。
「実家がコールドウェル家なもので、幸い、普通の人より詳しく学ぶ機会があったんですよ」
「コールドウェル家って、あの魔術の名門と有名な辺境伯家の…?」
イリアさんがかなり驚いた様子で聞いてくる。
「えぇ。私は落ちこぼれだったので、もう勘当されましたが」
「……ごめんなさい。辛いことを聞いてしまったかしら…」
なんだか重い空気になってしまったな。
なんとかせねば。
「構いませんよ。俺はあの家の事嫌いでしたし。
…さて!もう一つの試したい事があるんですが、見てもらってもいいですかね?」
「えぇ、もちろん!」
「と言っても、使える場面が限られるのでモンスターを探しましょうか」
「…何をする気?」
イリアさんが怪訝な顔で聞いてくる。
「まぁ、さっきの応用ですよ」
俺達は、森の奥へと向かった。
―――――
森の中を少し歩くと、一匹のワイバーンが空を飛んでいた。
「あれがちょうど良いですね。飛行種ですし」
「…魔導剣士じゃない純粋な剣士って、碌な遠距離攻撃手段がなかったと思うのだけれど……何をする気?」
「遠距離攻撃手段がなくても、近距離に持ち込めばいいんですよ。
まず、こうして剣を空高く投げます。」
そう言って俺は剣を槍投げの要領で剣をワイバーンの上方に高く投げる。
「ちょっと、何を?!」
「まぁ、見ててくださいよ」
そう言って俺は魔道具に魔力を込め、発動させる。
そして次の瞬間、視界が変わる。
周りを見渡してみると眼下には驚いている様子のワイバーンが見え、俺の手元には剣が握られている。
よし、うまいこと空中に転移できたな。
「〈天墜〉!」
空中で真下に剣を突き立て、剣に全身の体重を乗せる。
そしてそのまま一気に落下し、ワイバーンの体を突き刺し、縦一文字を描く。
「…っと、どうです?」
着地の時に地面に深く突き刺さった剣を引き抜きながらイリアさんに感想を聞く。
「空中に投げた剣に自身を転移させ、落下のエネルギーをそのまま攻撃に使う技ね…」
「その通りです」
「強いとは思うけど、流石に危険すぎるわよ…」
イリアさんが少し呆れたような様子で言う。
「まぁ、常用するような技ではありませんよね」
「まぁ、センスは悪くないわよ。
それで、もう空が暗くなってきたけど、これからどうするの?」
「とりあえずどこかの宿を取ろうと思います」
「いい宿を知ってるわ。案内してあげるからついて来なさい」
「そこまでしていただけるんですか?ありがとうございます!」
「…同じパーティなんだから当たり前よ」
「あはは、そういえばそうでしたね」
俺は、イリアさんと共に宿へと向かった。




