第19話
―オルレアン王国 王都トゥーラ 闘技場 受付―
「優勝おめでとうございます!
こちらが賞金となります。お受け取りください」
そう言って受付の人は、袋で金貨100枚を渡してきた。
かなりの大金だな。
どう使ったもんか。
「ありがとうございます」
一礼し受付を去る。
―オルレアン王国 王都トゥーラ 中央広場―
「折半でいいか?クレア」
「ほぼお兄様が戦闘をしてたのですから、半分は流石に受け取れません」
「いや、クレアの支援に助けられた点が大きいからな。受け取ってくれ」
「お兄様がそこまで言うなら……わかりました」
不服そうな顔でクレアが受け取る。
若干頬を膨らませていて可愛い。
そんなことを話していると、どうやらイリアさんとノエルがこちらに近寄ってきた。
「おめでとう、ギルバート、クレア
優勝するなんて流石ね」
「あんな化物を倒すなんて、すごいっすよ!」
「ありがとう、2人共」
「ありがとうございます。イリアさん、ノエルさん」
「それにしても、あんな事ができたなんて…クレアはすごいっすね!」
そんな感じで和気あいあいと話していると、後ろから聞き覚えのある声に話しかけられた。
「のう…少し良いか?」
「はい、なんでしょうか?」
とりあえず振り返ってみると、そこには大きな蝙蝠の翼を持つ、銀髪のロングヘアーに、赤眼の少女がいた。
近くでよく見てみると顔もかなり整っており、外見は10代前半に見える。
「あ、決勝戦の時の……何かご要件でも?」
「その………妾を仲間に入れてくれんか?」
「…どうしてです?」
何がどうなって仲間に入れて欲しいとなるのだろう。
初対面だぞ…?
「そんなに嫌なのか…?」
若干涙目で聞いてくる。
ぐっ…、そんな顔されると断りにくいな…。
というか、こんな子供っぽい雰囲気の人だっけ…?
もっと強そうに見えたけど…。
「断るって意味じゃありませんから‥…。
なんで仲間に入りたいかの理由を聞きたいんです」
「あぁ、そういうことか。よかった…」
少女は胸を撫で下ろした様な様子で、語り始めた。
「妾は1000年近く生きてきた。だから多くの人を見てきた。
だが、妾に引けを取らない実力を持つ奴は始めてなんじゃ」
ん…?なんかどっかで聞いたような流れだな…
「だから妾はお主のその強さの秘訣がとても気になるんじゃ。
だから、近くで観察させて欲しいのじゃ」
「まぁ構いませんが…一応こちらにとってのメリットを聞いても良いですか?」
「妾が加入することでパーティー全体の戦闘力が上がる」
自分の実力には自信があるのか、胸を張って答えている。
まぁ、戦闘力が増えるに越したことはないからな。
いいだろう。
「わかりました、構いませんよ。
皆もそれでいいか?」
「構わないわよ」
「異論はありません」
「旦那様が決めたことなら文句はないっす!」
よかった。皆も大丈夫なようだ。
「ということで、パーティへの加入を認めます」
少女の目が輝く。
そして少しして落ち着きを取り戻す。
「じゃあ、軽く自己紹介でもしておこうかの。
妾はロザリア・カーディナルという。
職業は【大召喚士】じゃ」
「私はイリア・グリムヴァルド。
職業は【大魔術師】と【剣豪】よ」
「クレア・コールドウェルと申します。
職業は【大聖女】です」
「ノエル・ヴァンキッシュっす!
あたしの職業は【雷炎帝】っす!」
「最後に、俺はギルバート・コールドウェル。
職業は【剣士】だ」
「ほう!最高位の職業が勢揃いとは…豪華なパーティーじゃのう……」
ロザリアは驚いた様な様子で話を聞いている。
「じゃあ、もう空も暗いですし、宿に向かいましょうか」
「また同じ部屋で寝ましょうよ!旦那様!」
「いや、流石にそれは…」
「私は別に構わないわよ?。
それに、一回も二回も同じよ」
「そうじゃそうじゃ。
男と女が同じ部屋で寝ようとも、大したことは起こらないもんじゃよ」
「いや、そういうことじゃなくて…」
和気あいあいとした雰囲気で、俺達は宿に向かった。
―――――――
―オルレアン王国 王都トゥーラ 宿屋―
宿の代金も払い、晩飯も済ませて、皆が寝静まった頃、俺は1人で防具の手入れをしていた。
「ま、こんなもんか…」
大体の汚れを落とし終わって、少し休憩をしようと思った時、ロザリアが話しかけてきた。
「几帳面じゃな、お主」
「まぁ、冒険者にとっては命綱なので。
…というか、寝ないんですか?」
「……怖いのじゃ」
小声で何か言ったようだがなんだろうか?
「なんて?」
「雷が怖いから寝られないのじゃ!」
顔を真っ赤にしてロザリアは言ってくる。
「えぇ……あなた、仮にも1000年生きてるんでしょ…?」
「1000年生きてても怖いものは怖いのじゃ……。
それに、吸血鬼は一万年は生きるから、妾はまだ若いのじゃぞ?」
「人間で言う所の10歳くらいですか…ならまぁ納得できなくもないですが…」
「だからその…お主のベッドで一緒に寝ても良いか?」
涙目で訴えてくる。
顔は可愛いから断りにくいな…
「…わかりましたよ。
はい、これで良いんですか?」
「感謝するのじゃ!」
そんな感じで夜は更けていった。




