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第17話

―オルレアン王国 王都トゥーラ 闘技場 待機室―


 成り行きでクレアと剣魔祭に出ることになってから数日。

 ついに剣魔祭の開催日が訪れた。

 もう別の組の試合が行われているようで、闘技場の地下にある待機室からも観客の熱気や歓声が伝わってくる。


「緊張するか?」


 待機室で縮こまっているクレアに声をかける。


「えぇ、少しですが。

 お兄様は緊張しないのですか?」

「…うーん、あんまりかな。

 こういうのもなんか慣れちゃったし…。

 それに相手を殺したら失格なんだから命は平気だろ?」

「それはそうですが…」


 クレアがなんとなく不服そうな顔をしている。

 前世(MMO時代)は数少ないPVPの場だったからよく通ったもんだ。

 そんなことを話していたら、どうやら俺達の番が来たようで、係員が知らせてきた。


「さて、行こうか、クレア」

「わかりました。前衛は任せてもよろしいですか?」

「もちろんだ。

 支援頼んだぞ」


―――――――

―オルレアン王国 王都トゥーラ 闘技場 1回戦―


「さて、1回戦第4試合は……バルド兄弟対コールドウェル兄妹!」


 闘技場に出ると、歓声と熱気が上から降ってくる。

 観客席を見た感じ、客層は貴族多めと言った感じだろうか。

 イリアさんとノエルの姿も見える。

 さて、目の前に意識を向けるとしよう。


「お、随分と弱そうなのがきたっすね兄貴!」

「あぁ、こりゃすぐに終わっちまいそうだなぁ?」


 ゲラゲラと二人組の男の冒険者が笑っている。

 おそらく兄貴分の方がメイス持ちの戦士で、弟分のほうが斧槍持ちの戦士だろう。

 両者ともかなりいかつい。

 煽りにはまぁ、反応しなくてもいいだろう。


「試合開始!」


 開始の合図がされると同時に相手が飛びかかってくる。

 俺は迎撃体勢を取り、手始めに足に一撃を――


「〈神意結界アブソリュート・ウォール〉」


 ――と思ったら、クレアの方が一足早かったようだ。

 目の前には薄く光る結界が競技場を完全に2つに分断する様に展開されている。


「結界か…?にしては範囲が広すぎる……。

 …兄貴のメイスでこれ破れませんか?」

「クソっ!硬すぎてまるでだめだ!

 …出てこい卑怯者!正々堂々と戦え!」


 クレアの結界が破れないのか悔し紛れの言葉を吐いている。


「いきなり最高位の結界か……。

 初戦でこれは流石にやりすぎだろ、クレア」

「そんなことをありません。

 お兄様の戦い方が危なっかしいだけです」


 少し悪戯っぽい笑みで答えてくる。


「にしても限度が……まぁいいや、ありがたく使わせてもらうよ」


 そう言って俺は相手にジリジリと近寄っていく。


「おっ、なんだ?正々堂々と相手する気になったか?」

「そうかもね?〈瞬天〉」


 俺は力強く踏み込み、高速移動で一気に結界の外に出る。

 そして、二人組の背後に回る。


「な、こいついつの間に?!」

「クソっ!逃げようにも結界に挟まれて!」

「〈烈波斬〉」


 間髪入れずに連続で峰打ちで斬撃を叩き込み、波状となった斬撃で二人組は耐えきれず気絶した。


「しょ、勝者、コールドウェル兄妹!」

「なんだか呆気なかったですね。お兄様」

「まぁ…お前が強いからな」

「お兄様もですよ」


 そんな感じで2回戦、3回戦、準決勝と勝ち進んで行き…ついに、決勝戦となった。


――――――――

―オルレアン王国 王都トゥーラ 闘技場 決勝戦―


「さぁ、ついに剣魔祭も決勝戦となりました!

 記念すべきラストバトルを飾るのは…ロザリア・カーディナル対コールドウェル兄妹!」


 相手を見てみると、どうやらペアはおらず単独のようだ。

 また、吸血鬼なようで、大きな蝙蝠の翼が背中から生えており、銀色に光り輝くロングヘアーに、ルビーのように赤い眼を持っている。

 しかし、かなり幼く見えるな。

 10歳前後だろうか?

 ずっと薄く微笑んだままこちらを見つめて、なにか話すにはなさそうに見える。


「試合開始!」

「〈召喚:グリフォン〉」


 開始の合図がされると同時に即座に少女が召喚魔法を発動する。

 発動と同時に巨大な魔法陣が出現。

 そしてそこから、大鷲の頭部と翼、獅子の体を持つ、巨大な怪物が現れた。


「グリフォン…!?召喚魔法か…!

 〈虚空一閃〉ッ!」


 足を狙って横一文字に斬撃を放つが、(すんで)の所で跳ね上がって避けられる。


「〈神意結界アブソリュート・ウォール〉!」


 クレアが結界を張る。

 これで時間稼ぎくらいは…


「おっと、それは面白くないからなしじゃ。

 〈召喚:レーヴァテイン〉」


 少女はそう言ったかと思うと、魔法陣から赤く光り輝く剣を取り出し、結界に向かって一薙ぎした。

 

 そして次の瞬間、ガラスが割れるような音と共に結界が破壊された。


「嘘…?!」


 クレアは驚いて目を丸くしている。

 最高位の結界をいとも簡単に破るとは……これは相当な強敵だな…。

 色々考える前に、まず目の前の飛びかかってきているグリフィンをなんとかしなければ。


「〈断天〉ッ!」


 俺は、グリフィンの胴体に向かって力強く一閃を放った。

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