第15話
―コールドウェル辺境伯領 北の森―
「この辺りのモンスターだと物足りなくなってきたっすね…」
クレアの一件から数週間後、オーク討伐の依頼を終わらせた帰りに、ノエルがふと文句をこぼした。
「まぁ、ノエルほどの実力だとそう感じるかもな」
「それに、安全に稼げるというのも魅力ですしね」
クレアがそう返す。
「それはそうっすけど………もう少し手応えが欲しいというか…。
なんだか、このままやってると鈍っちゃいそうで」
「あー…」
ノエルの意見にもなんとなく共感できる。
実力を維持・向上させるためには適切な強さの敵と戦う必要がある。
正直、この辺りの敵は皆にとって弱すぎるだろう。
どうにか解決法はないものか…
「…王都に行ってみたらどうかしら?」
イリアさんが提案してくる。
「王都ですか?」
「えぇ、あそこならここよりも施設やイベントとかも色々整ってるし、丁度いいかなと思って」
「王都…!気になるっす!」
「それじゃあ、行ってみようか」
そういう経緯で、王都に行く事となった。
―――――――
―コールドウェル辺境伯領 リハンメル 乗合馬車発着所―
4人で発着所に行ってみると、1人の中年男性が数人の群衆に説明をしている様子が見えた。
説明している人に話を聞いてみよう。
「あのー…一体なんの騒ぎですか?」
中年男性に聞いてみると、どうやら乗合馬車の御者の人だったようで、俺達に説明してくれた。
「もしかして王都に行きたい人かい?
悪いけど、当面の間は王都への乗合馬車は運行できないから他を当たってくれ」
申し訳なさそうに御者は説明をしている。
「なぜ運行できないんですか?
なにかトラブルでも?」
「あぁ、昨日、王都への街道沿いにオークキング達が住み着いちゃってね。
騎士団にも討伐が難しいようだし、困ってるんだ」
「そうなんですか……。
ちなみに冒険者ギルドへ依頼は出しましたか?」
「これから出すところだが……それがどうかしたかい?」
「ならその依頼、俺達が直接受注しても構いませんか?」
「それはいいが…お前さん達、冒険者ランクは大丈夫かい?」
「えぇ、Sランク一人にAランク2人、Bランク一人ですので、平気かと」
「なら大丈夫そうだな。
じゃあ、上に話を通してくるから詰所までついてきてくれ」
「わかりました!」
俺達は御者の詰所に行く事となった。
―――――――
「いやー、君達が受注してくれて助かったよ!」
御者の詰所で直接依頼を受注した後、俺達は即日出発することとなった。
「いえいえ。
しかし、無料で乗せていただけるなんて、本当に良いんですか?」
「構わないさ。
討伐してもらうんだから、このくらい当然だろ?
それに、直接受注な分、手数料が省けてお得だしな」
そんな雑談をしながら、ゆっくりと馬車は進んでゆく。
―――――――
―コールドウェル辺境伯領 東の森―
「…っと、着いたぞ!
ここが件の場所だ」
しばらく馬車で揺れていると、例の場所についたようだ。
「ここがオークキングが住み着いた場所ですか?」
「いや、もう少し先の方だ。
安全のためにこの位置で降ろさせてもらった」
「わかりました。
ここまで運んでいただきありがとうございます」
「このくらい当たり前よ!
お前さん達も頑張れよ!」
エールを送られながら馬車を離れる。
「じゃあ、二手に分けてオークキングを探そうか。
ノエルと俺、クレアとイリアさんで別れよう」
「わかりましたっす!」
「えぇ、わかったわ」
「じゃあ、俺達は右側の方を担当するから、二人は左側を…」
「…!お兄様!後ろに!」
「?!」
そんな感じで役割分担を話していると、森の中からいきなりオークキングが襲ってきた。
オークキングは両手に持った大剣を勢いよくこちらに振り下ろしてくる。
「あれをまともに食らったら終わりだな…。
…なら無効化するしかない!
〈天地両断〉ッ!」
オークキングの腕目がけて、地から天へと縦に一気に振り上げ、見事片腕を切り落とす事に成功した。
「ガァッ…!」
どうやら効いているようだ。
ここで追い打ちを…!
「ノエル!クレア!」
「わかってるっすよ…!〈震天大槌〉!」
ノエルは翼で大きく飛び上がり、そのまま落下の勢いを利用して、オークキングに斧を振り下ろした。
「グアァァッ…!」
「弾き飛ばされたっ…!?」
だが、剣で受け止めた後、弾き飛ばされ、オークキングの体に直撃はしなかった。
だが、両方の件の刀身が折れ、衝撃の余波でよろけてコケたようだ。
「体勢を崩した今だ!クレア!」
「わかりました。〈白光爆〉」
発動と共に、眩い閃光と無数の光の筋が放射状に広がり、オークキングの体を貫いてゆく。
そして、最終的にはオークキングは沈黙した。
「終わったな。
牙は採取しておいて…他はまあ丸ごとマジックバッグに入れとくか」
「なにか手伝うことはあるかしら?」
イリアさんが聞いてくる。
「特にはありません。馬車に戻って報告してきましょうか」
「そうね」
俺達は、御者に討伐結果を伝えに行った。




