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第12話

―コールドウェル辺境伯領 リハンメル―


 リハンメルに着き、馬車を降りるともう辺りがすっかり暗くなっていた。

 クレアの一件は御者に手紙を渡して伝えた。


「ごめんねぇ、もう一部屋しかないのよ。…それでも構わないかい?」


 今夜の宿を取ろう…そう思って宿屋に向かったら

女将さんにそう言われてしまった。


 まずい…まずいぞ……

 一部屋に男1人の女3人なんて、女性からしたら絶対に避けたい状態だろう。


「…どうします?別の宿探します?」

「この時間だともうほぼ埋まってると思うわよ」

「そうですよねぇ………本当、どうしたものか…」


 最悪、俺だけ野宿でもするか…


「…別に同じ部屋でも良いわよ?」


 イリアさんが申し出てくる。


「無理しなくても良いですよ…?」

「無理なんかしてないわよ!」


 イリアさんが少し語気を強めに言ってくる。

 


「そうですよ!あたしは同じ部屋でも全く構いませんよ?」

「私も別に身内ですし…」

「君らまで……。

 わかったよ、女将さん。一部屋お願いします」


 ということで、ここは俺が折れることで決着がついた。


「あいよ、銀貨2枚ね。

 …モテモテだねぇ、あんちゃん」


 女将さんが小声で冷やかしてくる。


「やめてくださいって…」


―――――――


「武器の手入れも終わったし、そろそろ寝るかぁ…」


 窓を確認してみると、もうすっかり暗闇だ。


「さて、おやすみ…」


 布団を捲り、横になる。

 そして、目を閉じようとした次の瞬間、足元でなにかごそごそと動く感触があった。


「なんだ…?」


 恐怖半分疑念半分で注視していると、次の瞬間何者かが飛びかかってきた!


「1人で寝ようだなんてそっけないっすよ!旦那様!」

「ノエル?!」

「あたしらはもう夫婦なんすよ…?

 なら一緒のベットで寝るのが筋ってもんじゃないんすか?」


 ニヤリとした顔でこちらにジリジリと迫ってくる。

 というか、距離感が近すぎる。

 相手の体温が伝わってくるほどの距離だ。

 あと、体の一部が押し付けられている。

 柔らかい。


「…俺はまだ伴侶にすると認めた覚えはないが」

「酷いっすよ旦那様!あたしを見捨てるんすか…?」


 わざとらしい涙目でこちらを見つめてくる。

 こいつ、こちらが断りにくいのをわかってやがる。


「冗談もほどほどにしておきなさい」


 どこからか現れたイリアさんは、俺からノエルを強引に引き剥がした。


「助かりましたよ…ありがとうございます」

「別に、困ってそうだったから助けただけよ。

 …仲いいのね。あなた達」


 どこか不満がありそうな目でこちらを見てくる。


「フレンドリーに接してもらえるのは嬉しいですが、あのレベルになるといい迷惑ですよほんと…」

「…大変そうね」


 どこか同情するような様子だ。

 多分気遣ってくれてるのだろう。


「……うるさいので静かにしてもらっても良いですか?」


 そんなことを話していたら、クレアが起き上がって文句を言ってきた。

 起こしてしまっただろうか。これは申し訳ない。


「起こしちゃったか…すまん。

 ほら、早く戻れノエル」

「はーい…」


 渋々といった様子で戻っていく。


「さて、今度は本当に寝るか…」


 そんなこんなで、夜は更けていった。


―――――――


―コールドウェル辺境伯領 リハンメル 冒険者ギルド―


「お帰りなさい!ギルバートさん、イリアさん。

 本日はどんなご要件で?」

「報酬の受け取りとパーティーメンバーの冒険者登録です」

「承知しました。

 まずはこちらが報酬です」


 そう言って袋が渡される。

 今回もかなりの大金だな。

 というか…


「あれ?満額なんですね。減額されるものだと思っていましたが」

「はい。「依頼した目的は達成されたので問題ない」とのことです」

「そうなんですね。ありがとうございます」

「次に冒険者登録ですが…そちらのお二人ですか?」

「そうっすよ!」


 そんなこんなで冒険者登録が進んでいった。


―――――――


「これで冒険者登録は完了となります。

 お二人とも推薦状などはお持ちでないとのことですので、Fランクからの作成となります」

「わかりました。ありがとうございます」

「あっ、そういえばギルバートさん宛の召喚状を預かっているのですが…」

「召喚状…?誰からです?」

「コールドウェル辺境伯家からです」

「あー…」

「こちらをどうぞ」


 受付のお姉さんが召喚状を手渡してくる。

 これ絶対クレアの件だろ。

 しかも召喚状ってことはおそらく現当主(親父)直々にってことだし…

 また一波乱ありそうだ。


「お兄様、どんな事が書いてありましたか?」

「郊外の本邸まで来いってよ」

「…すみません。私のせいで」


 クレアが謝ってくる。

 こいつも大変だな。

 俺が解放してやらねば。


「良いんだよ。直接あいつをぶちのめしてやろうじゃないか」

「…お兄様は強いですね」


 クレアは遠い目をしながら言う。

 こいつの心労を無くすためにも、早いことなんとかせねば。


 俺達は、本邸に向かうため北門へと向かった。

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