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黎剣のゼスト  作者: 幻人
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第3話 吸血鬼の国 <6th 王都立つ>

 


 翌朝。ハヤトは起床し普段着を着ている。

 ハヤトはクラウスと同じ部屋で寝ていたがクラウスの姿はどこにもない。

 ハヤトはベッドの隣にある机の椅子に腰掛けている。

 右手には紺色の高価なペンを持ち左手で白い紙を押さえている。

 ハヤトは手紙を書いていた。

 部屋の扉からノックをする音が聞こえる。


「入るよーハヤト」


 セーラはハヤトの返事を聞かずそのまま部屋に入った。


 ――クラウスがいないなぁ。


 机にいるハヤトを見つけるとセーラはハヤトの後ろに立った。


「何書いてるの?」


「手紙だ」


 セーラはハヤトの書き方を見て少し驚く。


 ――へぇ、ハヤトって几帳面なんだ。


 手紙の文体に誤字はなく文字の大きさは均等で見やすい。

 ハヤトは字を書く事に慣れているのだ。

 セーラに見られながらハヤトは手紙を書き続けた。

 手紙の頭には『エーゲ陸軍少佐 ユーグ・スラングス殿』と英字で書かれてある。


「少佐に送る手紙?」


「あぁ。近況報告をな」


 セーラは内容を見てはいけないと思い目線を左に反らした。

 机の左には別の紙があった。紙には見たこともない文字が書かれてある。

 セーラはそれを東洋の文字だと判断した。


「そっちのは誰に送るの?」


 セーラは顎で左の紙を指す。ハヤトはペンを止め左に顔を向けた。


「それは知り合いに送るにヤツだ」


 ハヤトはスラングスへの手紙を書き終えペンを置いた。

 彼は椅子の前足を上げ両腕を左右に伸ばす。

 顔を後ろに反らすと後頭部がセーラの腹部に当たった。


「うんぁ? 何か良い匂いがするなぁ」


 ハヤトは思わず口を出してしまった。

 セーラはお腹にある顔を動かそうとせずただ照れている。


「そうお?」


 セーラは後ろに足を下げ身体を後ろに向けた。彼女の顔は赤くなっている。

 ハヤトは2つの手紙をそれぞれの封筒に入れる。

 封筒を羽織の内側にしまうと椅子から立ち上がった。

 彼はセーラの肩に手を当てる。


「よし、じゃあ飯食いに行こうぜ」


「そだね」


 セーラは頷くとハヤトと共に部屋を後にした。



 朝食を済ませたハヤトは竜に会うため左の庭園を目指していた。

 食堂を出た時、セーラはソニアに呼ばれハヤトと別れる。


 ハヤトが広間に出ると王宮の入り口から1人の女性が現れた。

 女性は赤髪で戦士のような身なりをしている。

 赤髪の女性は真っ直ぐ謁見の間を目指しハヤトと正面からすれ違った。

 すれ違って数歩歩いた時、ハヤトの全身に衝撃が走った。

 肌からはピリピリするような痛みが発生し脈が早まり呼吸が少し苦しくなっている。


 ――何だ今の……


 ハヤトは足を止めると顔を後ろに向けた。

 後ろでは女性が足を止め半身をハヤトに向けている。

 女性はすました顔でハヤトを見ていた。それを見てハヤトも半身を女性に向ける。

 2人は顔を合わせ沈黙している。最初に沈黙を破ったのは女性だった。


「何かしら?」


 ハヤトは顔を横に向ける。


「……いや、何でもない。失礼した」


 女性に何も聞かずハヤトはその場を去っていく。彼は歩きながら鼻で笑っていた。


 ――随分とおっかねぇ奴がいたもんだ。久しぶりにヤバイのに会ったな。


 ハヤトはかなり強い者と遭遇した時、身体に異変を感じる体質である。

 別に彼に限った事ではないが

 実際ハヤトの身体が反応する相手は相当の手練れなのだ。

 女性は立ち去っていくハヤトを眺めている。


 ――今の剣士、全く気配が無かった。何者なの?


 女性がそのまま立っていると後ろから兵士が声を掛けてくる。


「いかがなさいました? クレア様」


「……いえ、何でもないです」


 首を横に振ると女性は兵士と共に謁見の間に向かった。



 王宮の左の庭園。ハヤトは竜の元に辿り着く。

 ハヤトが来ると竜は一度羽を広げすぐに羽を畳んだ。竜はハヤトを歓迎している。

 竜は頭を下げた。

 竜が頭を下げるのは相手を敬愛している行動で滅多に見る事ができない。

 ハヤトは竜の頭を撫でる。竜は目を閉じ口をパクパクさせて喜んでいる。


「ごめんなぁ。俺もう行かないといけないんだ」


 竜は『分かった』と言わんばかりに低く長い鳴き声をする。

 セーラとソニアはその光景を宮殿のテラスから眺めていた。


「あそこまで竜を懐かせるとは…… アヤツ何者じゃ?」


「そうですね……」


 セーラはソニアに対し緊張している。頬には冷汗が流れ顔色は真っ青だ。

 何故こんな状態になったかと言うと、それは食堂を出た後の事だ。



 ハヤトと別れた後、セーラはソニアと宮殿の中を歩いていた。


 ――何でこの人、ハヤトじゃなくて私を誘うの?

   やっぱり何かする気なのかな……


 セーラは吸血鬼であるドラクロ人に恐怖を抱いている。

 そのため、ソニアが自分に何かするのだと思っていた。


「ちと、お主に聞きたい事があってのう。連れ出してすまないな」


「だっ、だじょぶです。それで、話とは何でしょうか?」


「ハヤトの事なのだが、何故東洋の異人である彼が

 エーゲの外交官になっているのか気になってのう。

 セーラはその理由を知らないか?」


 ――何だハヤトの事か…… それなら本人に聞けばいいのに。


 セーラは心を落ち着かせてハヤトの目的を語る。


「知っていますが、あまり口外しないでくださいね?

 ハヤトは自分の国を救う為にゼストを目指しているんです。

 そのために今はエーゲの外交官をやっている、という事なんです」


「ゼスト!? アヤツがか?」


「はい。私はハヤトの護衛ですから

 彼がゼストになるまで一緒にいるつもりです」



 ソニアは口元に手を当てながら中庭にいるハヤトに目を向け考え込む。


 ――なるほど、国を救う為にゼストか。ブルーノと一緒だのう。

   まっ、あの者なら容易にゼストになれるだろう。

   だが気になる。


『して、ハヤトを外交官にした人物は誰なんじゃ?』


『スラングス少佐ですよ。一応、マティアス様もその1人ですが

 その前にハヤトを軍人として迎え入れたのは少佐です』


『スラングス…… 聞いた事がない名前だのう』


 ――エーゲにはハヤトを見抜くような良い人材はいないはずじゃ。

   童が知らないという事は

   ハヤト同様他国から流れ込んできた者という事か。


 ソニアは熱心にハヤトと竜に目を向けている。

 一方隣にいるセーラは貧血寸前状態に陥っていた。

 すると、後ろから突然クラウスが現れる。


「おっ、皆揃っているねぇ」


 セーラはクラウスに身体を向け少し元気を取り戻す。


「クラウス! どこ行ってたの? 皆心配してたんだよ」


「ハッハッ、申し訳ない。ちょっと気になる情報を手に入れたんでね」


「これから調査に向かう学者の?」


「いや違う」


 クラウスはそのまま説明しようとしたが皆には関係ないと判断し口を閉じた。


 ――私は口が軽いからな。余計な事を言って、皆を不安にさせる訳にはいかない。


 クラウスは一度目を閉じ自らを落ち着かせた。


「では、ハヤトの元に参ろうか」


 ソニアはセーラとクラウスを連れハヤトの所に向かう。

 ハヤトは皆の存在に気付き竜と別れた。

 ハヤト達は合流した。

 向こうでは竜が寂しそうな目をハヤトに向けている。


「別れの挨拶は終わったのか?」


「あぁ。待たせたな、それじゃ行くとするか」



竜との別れのシーンが短いので考えた方がいいかも。

この回は何回も書き直しているので支離滅裂かもしれません。

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