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『平成ギャルが公爵令嬢に転生したら、貴族社会がマジでだるすぎた件』  作者: qp46


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7話 マジもんのプリンセスじゃん!

 最近、

 少しだけ。


 この世界が“マジサゲ”なだけじゃなくなってきていた。


「レティシア様〜! ラメ追加で届きました〜!」


「待って、それ絶対アゲじゃん!」


 屋敷の空気も変わった。


 前は静かで、

張り詰めてて、

誰も笑わなかったのに。


 今では使用人たちが、

普通に“盛り”について会話している。


(……慣れって怖)


 りなは紅茶を飲みながら思う。


 そんな時だった。


「レティシア様」


 メイド長が部屋へ入ってくる。


 その表情は、

いつもよりさらに真面目だった。


「本日は王城での社交会となります」


「うへぇ……」


「さらに今回は――」


 メイド長が一度息を吸う。


「王女殿下もご出席されます」


「……王女?」


「はい。この国で唯一の姫君でございます」


 りなは数秒固まった後、

目を輝かせた。


「え、マジもんのプリンセスじゃん!」


「ま、まじ……?」


 メイド長がいつもの顔になる。


 “また知らない言葉だ”という顔だ。


   ◇◇◇


 王城。


 豪華なシャンデリア。


 大量の貴族。


 静かな音楽。


 そして。


(……空気重っ)


 りなはげんなりした。


 誰もが笑顔を貼り付けている。


 でも本当に楽しそうな人は、

ほとんどいない。


(やっぱこの社交界、下げなんだよな〜)


 そんなことを考えていると。


 会場がざわついた。


「王女殿下のおなりです」


 一斉に頭を下げる貴族たち。


 りなもなんとなく視線を向けて――


「……え」


 思わず声が漏れた。


 綺麗だった。


 透き通るような銀髪。


 宝石みたいな青い瞳。


 小柄で可愛らしい雰囲気。


 まるで絵本から出てきたみたいな、

本物のお姫様。


(いや待って)


 りなの脳内で、

別の感情が爆発する。


(素材、強すぎん???)


 絶対盛ったらヤバい。


 そう確信した。


 王女――フィリアは、

周囲の貴族たちに囲まれながら、

困ったように笑っている。


「本日もお美しいです、王女殿下」


「そのドレス、とてもお似合いで……」


 だが全員、

距離が遠い。


 まるで“王女”という存在を扱っているみたいだった。


 そんな中。


 フィリアと、

りなの目が合った。


「……!」


 王女が少し驚いた顔をする。


 理由は簡単だった。


 りなの格好が、

この社交界で明らかに浮いていたからだ。


 キラキラしたネイル。


 少し盛った目元。


 そして堂々とした態度。


 完全に異物。


 だが。


 フィリアは、

なぜか目を逸らさなかった。


 むしろ。


 じっと見ていた。


「……?」


 りなが首を傾げる。


 すると。


 王女が小さな声で言った。


「あ、あの……」


「ん?」


「その爪……すごく可愛いです」


 周囲が凍った。


 だがりなは笑う。


「っしょ?」


 そして。


 王女フィリアは、

生まれて初めて。


 “友達になれそうな相手”を見つけた。

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