65話 温泉入ったら次はサウナっしょ!
レティシア温泉
開業から一ヶ月
「うわぁ……」
りなが目の前の光景を見る
湯気。
観光客。
屋台。
旅人。
行列。
一ヶ月前までただの山だった場所とは思えなかった
「マジで観光地になってる……」
「レティシア様ー!」
フィリアが走ってくる
「本日も大盛況です!!」
「知ってる〜」
「本日の宿泊予約、
三ヶ月先まで埋まっております!」
「早すぎん!?」
「ガチです!」
「そこはガチなんだ」
フィリアは満面の笑みだった
場所が変わる
温泉宿
「はぁ〜……」
「極楽だ……」
「帰りたくない……」
「ここに住みたい……」
温泉客達が溶けていた
「ダメ人間製造機になってる」
りなが引く
「レティシア様」
フィリアが首を傾げる
「温泉を超えるものはないのでしょうか」
沈黙
りなが固まる
「……ある」
「えっ」
「あるんですか!?」
「ある」
りなは真顔だった
「サウナ」
全員首を傾げる
「さうな?」
「めっちゃ暑い部屋」
「はい」
「そこで汗かく」
「はい」
「その後冷たい水入る」
沈黙
「拷問では?」
エミリアが真顔だった
「違うんだって!!」
「意味が分かりません」
「ウチも説明は苦手」
「雑です」
その瞬間だった
黄金の光
「早っ」
『創造神スキル起動』
『新規創造候補を解放』
『サウナ』
『サウナストーン』
『ロウリュ』
『サウナハット』
『ととのい椅子』
「知らん単語が増えたなぁ」
場所が変わる
数日後
レティシア温泉
新施設完成
「完成早っ」
「陛下がやる気でしたので」
エミリアが即答する
「便利な言葉だなぁ」
りなは建物を見上げた
その横では既に行列が出来ている
「なんで完成前から並んでんの?」
「噂です」
「噂だけで?」
「噂だけで」
この国怖い
「では!」
フィリアが拳を握る
「挑戦です!!」
女性用サウナ
「あっつ!!」
「レティシア様暑いです!!」
「そういう場所だから!!」
「暑いです!!」
「知ってる!!」
フィリアは数分で真っ赤になった
「レティシア様……」
「ん?」
「溶けそうです……」
「まだ序盤なんだよなぁ」
「嘘です!!」
エミリアは意外と平然としていた
「エミリア強くね?」
「意地です」
「意地だった」
数分後
「限界です!!」
フィリアが飛び出した
「今だ!」
りなが指を差す
「水風呂!!」
「ひゃぁぁぁぁ!?」
バシャァァァン!!
フィリアが固まる
沈黙
「……」
「……」
「フィリア?」
フィリアがゆっくり振り返る
「レティシア様」
「ん?」
「気持ちいいです……」
「っしょ?」
「ガチです」
「だよね〜」
場所が変わる
ロビー
「はぁ〜……」
「気持ちよかったぁ〜」
「不思議な体験でした……」
りなたちが戻る
そして。
固まった
「……え」
ロビー中に騎士達が転がっていた
「もう無理……」
「立てん……」
「水を……」
完全に屍だった
「なにこれ」
その中心では。
騎士団長がソファに沈んでいた
「おぉ……レティシア様か……」
「何があったんすか」
「勝負だ」
「は?」
「サウナ勝負だ」
意味が分からなかった
「最後まで残った奴が勝ち」
「なんで?」
「騎士だからだ」
「意味が分からん」
騎士団長が遠い目をする
「途中までは良かった」
「うん」
「だが」
「うん」
「誰かがロウリュを追加した」
沈黙
「アホだ」
「アホだった」
周囲の騎士達も頷いた
「隊長がやりました……」
「お前かよ!!」
「盛り上がってしまってな……」
「サウナで盛り上がるな!!」
騎士達が力なく呟く
「隊長……」
「次は勝ちます……」
「次がある前提なの!?」
フィリアが小声で呟く
「レティシア様」
「ん?」
「男性側だけ妙に楽しそうです」
「わかる」
その時だった
「レティシア様!!」
新しい騎士が駆け込んでくる
「第二回サウナ大会の開催許可を!!」
「反省しろォ!!」
ロビー中にりなのツッコミが響いた
帰り際
りなはサウナ施設を見る
温泉。
サウナ。
屋台。
観光客。
笑顔。
そしてサウナ大会の参加受付を始める騎士達
「……ほんと」
りなが苦笑する
「大丈夫かよこの国……」




