56話 略すのって意外とむずくね?
聖教国エルマーリ
「さすティア様〜!」
「やめなさいその略し方!!」
子供達が笑いながら走っていく
セレスティアが頭を抱えた
◇◇◇
公爵家
いつもの茶会
今日はフィリアとエミリア、
そしてセレスティアの姿もあった
「――ということがありまして……」
セレスティアが遠い目をする
「大変じゃん」
りなががお茶を飲む
「あー、それ私もだわ」
「え?」
「こないだ、
“さすがレティシア様”を略して」
「“さすレテですわ!”って言われた」
沈黙
「……はぁ」
「……はぁ」
二人同時にため息を吐いた
「浸透していますね!」
フィリアだけ目を輝かせていた
「お前は嬉しそうだな」
◇◇◇
「なら!」
りながが突然立ち上がる
「逆にこっちから略してやろーぜ!」
「略してやる」
セレスティアが不安そうに復唱する
「しっくりくる略語作れば勝ちっしょ!」
「何に勝つのですか」
「ノリ!」
「またノリ……」
◇◇◇
「例えばさ〜」
りながが考え込む
「“それは違う”なら」
「それ違?」
「うーん」
「なんか違いますね」
「違うな」
◇◇◇
「了解しましたは略すと“り”ですよね?」
フィリアが得意げに言う
「それは自然だな」
「では!」
フィリアが勢いよく続ける
「“すみません”を略して」
「す!」
沈黙
「…………お酢ですね」
フィリアが自分で突っ込んだ
「だね」
「ですね」
りなとセレスティアが静かに頷いた
◇◇◇
「アイドルの王子だから……」
フィリアが真剣に考える
「アイ王子?」
沈黙
「なんか変ですね」
「変だな」
「弱いです」
「略語に強い弱いあるんだ」
◇◇◇
「むぅ……」
フィリアが悩み始める
「意外と難しいです」
「まあ自然に生まれるもんだしね〜」
りなががお茶を飲む
「無理に略すと、
なんか違和感あるっていうか」
セレスティアも真剣に頷いた
◇◇◇
「この略、
無理あるのもあるよなぁ」
りながが頬杖をつく
セレスティアが真顔で頷く
「まじそれな」
沈黙
「……」
「……」
りながが吹き出した
「聖楚系ギャル馴染みすぎじゃね!?」




