57話 その匂い、もはや公害じゃね?
王都
「ぐっ……!?」
りながが突然咳き込んだ
「空気重っ!!」
エミリアが静かに鼻を押さえる
「今日は特に酷いですね」
◇◇◇
「レティシア様ー!」
女性達が駆け寄ってくる
その瞬間
ブワァッ!!
「うわ強っ!!」
りながが後退った
「どうしましたの?」
「香水!!」
「本日は“超絶盛り香水”を使っていますの!」
「名前からして嫌な予感したんだよ!」
◇◇◇
「最近王都では」
エミリアが説明する
「“残り香こそ貴族”という文化が流行りまして」
「なんでだよ」
「長く香るほど高級らしいです」
「いや限度あるだろ」
その時
通り過ぎた男性から、
また別の匂いが漂ってきた
「ぐっ……!」
「こちらは“男気ワイルドムスク”です!」
「攻撃力高ぇ!!」
◇◇◇
「レティシア様!」
今度は別の女性が現れる
「香水を十種類混ぜてみました!」
「混ぜるな危険!!」
「深みが出るかと!」
「深みの前に鼻が死ぬわ!!」
エミリアが遠い目をした
「ちょっと涙出てきました」
「おぉ、レティシア」
「……げっ」
レオン王子だった
だが。
「……なんか今日キツくない?」
「最近流行っている香水を試した」
「王子まで被害者になってる!」
しかもめちゃくちゃ匂う
爽やかと重厚感と甘さが戦っていた
「情報量多っ」
◇◇◇
「いい加減にしろーーーっ!!」
りなの怒声が王都へ響いた
全員ビクッと震える
「香水ってのは!」
ビシィッ!!
りなが女性達を指差す
「近づいた時に“ふわっ”て香るから良いの!!」
「ふわっ」
「遠くから存在主張すんな!!」
「うぅ……!」
「あと男子!!」
男性陣が固まる
「“ワイルド”を履き違えるな!!」
「で、ですが……!」
「清潔感って教えたよね!?」
「はい……!」
「なんで最終的に獣みたいになってんの!?」
男性達がしゅんとなる
◇◇◇
「つまり……」
フィリアが首を傾げた
「香りも“引き算”ですの?」
「せやね」
「おお……!」
王都民達が感心したようにざわめく
「盛ればいいってもんじゃないから!」
「また学びましたわ……」
◇◇◇
「本物のオシャレってのは!」
りながが胸を張る
「自分も周りも楽しくなるくらいがちょうどいいの!」
王都が静まり返る
「やりすぎて迷惑かけたら意味ないっしょ?」
「「「おおおおお……!!」」」
王都民達が感動したようにざわめいた
エミリアが小さく笑う
「なんだかんだ、
毎回ちゃんと考えてるんですね」
「当たり前じゃん」
りなががニヤッと笑った
「ギャル、ナメんなって」




