55話 その会話、楽しくなくね?
王都
「り」
「それな」
「マ?」
りなが固まる
「会話終わってんなぁ」
◇◇◇
公爵家
いつもの茶会
今日はフィリアとエミリア、
そしてセレスティアの姿もあった
令嬢達が、
leanを見ながら会話している
「アゲですわ」
「それなですわ」
「りですわ」
「いやそれ、
会話ってより返信じゃね?」
全員止まる
「返信」
フィリアが復唱した
◇◇◇
「だってさ〜」
りなががお菓子を摘む
「なんかみんな、
短く返すことが目的になってね?」
「おぉ……」
「略語は別にいいんだけど」
りながが笑う
「ちゃんと考えて話した方が楽しくね?」
沈黙
◇◇◇
「……確かに」
フィリアが小さく呟いた
「最近、
会話が短すぎた気がします」
「“マ?”だけで終わる時ありますしね」
エミリアが真顔で頷く
「終わってんな」
◇◇◇
「例えば!」
りながが身を乗り出す
「好きなもの語るとかさ!」
「好きなもの」
「推しでも、
服でも、
お菓子でも!」
「確かに……!」
フィリアの目が輝いた
◇◇◇
「わたくし、
最近この紅茶が好きなのです!」
「おぉ〜」
「香りがすごく良くて!」
「分かる!」
「あとこのケーキ、
めちゃくちゃアゲですわ!」
「アゲの使い方ちょっと戻ってきたな」
令嬢達が笑い始める
さっきより、
空気が柔らかかった
◇◇◇
「……なるほど!」
フィリアが勢いよく立ち上がる
「言葉とは、
人と人の心を繋ぐものなのですね!」
「いやそこまで大層な話では——」
フィリアがキラキラした笑顔で続けた
「さすがレティシア様!」
一拍置く
「――さすレテですわ!」
「略し方そこなんだ!?」




