23話 てかleanやってる?
23話 てか、リーンやってる?
「てか、リーンやってる?」
その一言から、
王都は変わった。
◇ ◇ ◇
「リーン……?」
王都の令嬢達が首を傾げる。
レティシアはスマホを掲げながらニヤッと笑った。
「lean」
「遠くの相手と話せる神アプリね」
「神アプリ……!」
「これマジ便利だから」
ピコン。
その瞬間、
レティシアのスマホが震えた。
【フィリア様】
【レティシア様ぁぁぁ!!】
【騎士様から返信来ましたわ!!】
「早っ」
エミリアが呆れたように呟く。
「もう完全にハマってますね」
◇ ◇ ◇
リーンは、
異世界で爆発的に流行した。
理由は単純。
便利すぎたから。
「えっ、離れてても会話できるの!?」
「待ち合わせ楽すぎません!?」
「恋愛にも使える!?」
最後のやつだけ反応早かった。
◇ ◇ ◇
「というわけで」
レティシアは令嬢達を見回した。
「リーン交換しよ〜」
「交換……?」
「友達登録みたいなやつ!」
「おお……!」
令嬢達がざわつく。
「えっと、どうやるのですの?」
「スマホ近づけるだけ」
ピコン。
【友達追加しました】
「おおおおお!!」
「神秘的ですわ!!」
「いや文明なんよ」
◇ ◇ ◇
数日後。
王都。
「てかリーンやってる?」
が挨拶になっていた。
「リーン交換しません?」
「後でぐるちゃ招待しますね!」
「ぐるちゃ……?」
異世界人、
順応が早すぎる。
◇ ◇ ◇
「でさ〜」
レティシアはソファへ寝転がる。
「フィリア様、返信早すぎなんよ」
【既読 1秒前】
「だって気になりますもの!!」
「重っ」
「普通ですわ!!」
ピコン。
さらに通知。
【フィリア様】
【騎士様、五分返信来ませんの……】
【嫌われましたわ……】
「いや早い早い」
「恋愛向いてませんねこの人」
エミリアが真顔で言った。
◇ ◇ ◇
一方。
レオン王子。
【既読】
以上。
「短っ」
「男ってこんなもんだろ」
「雑〜」
「お前らが送りすぎなんだ」
ちなみに。
オリヴィア王妃は。
【レティシアさんへ】
【本日、フィリアが夜更かししておりました】
【あまり刺激しすぎないでください】
【あと推し活用ぐるちゃへ招待してください】
【昨日も騎士様のお話を延々と聞かされました】
【母として少し心配です】
【etc…】
「雑にまとめた!?」
「長文すぎて諦めましたねこれ」
エミリアが苦笑した。
◇ ◇ ◇
ピコン。
「ん?」
レティシアのスマホが震える。
【お父様】
【レティシアへ】
【今日も元気にしているかな】
【お父様は少し寂しいです】
【最近、一緒にお茶できていませんね】
【レティシアの好きなお菓子も用意できます】
【仕事も落ち着いています】
【etc…】
「圧っ」
「“etc…”便利ですね……」
さらに。
ピコン。
【セバスチャン】
【レティシアお嬢様】
【アイコンのお写真、大変お美しゅうございました】
【執事長、感激しております】
【三回ほど見返しました】
【現在も見返しております】
「キモっ」
「言い方」
「いや現在進行形なの怖いって!」
◇ ◇ ◇
そして。
問題はここからだった。
「レティシア様ぁぁぁ!!」
フィリア様が泣きながら公爵家へ飛び込んでくる。
「どしたん」
「き、騎士様へ送る相手を間違えましたのぉぉぉ!!」
「誤爆?」
「お兄様へ送ってしまいましたわ!!」
「終わった」
フィリア様は涙目でスマホを掲げた。
【騎士様かっこよすぎて無理ですわ♡】
送信先:
【レオンお兄様】
「死ぬぅぅぅぅ!!」
その瞬間。
ピコン。
【レオンお兄様】
【キモい】
「返事はっや!!」
レティシアは腹を抱えて笑った。
エミリアも肩を震わせている。
「リーン、便利ですけど事故も増えそうですね……」
「文明ってそういうモン」




