23話 離れてても、話してー!
「……不便」
レティシアはソファへ寝転がりながら呟いた。
手にはスマホ。
異世界へ来てから、
創造神スキルで生み出した超便利アイテム。
……なのだが。
「写真しか撮れないんだけどこれ」
「十分凄いと思いますが……」
エミリアが苦笑する。
「いや不便っしょ!」
レティシアはスマホを掲げる。
「離れたやつとも気軽に話したくね?」
「離れた相手と……?」
「そ!」
レティシアは勢いよく起き上がった。
「フィリア様とか王城戻ると普通に会えないし!」
「確かに最近、毎日来てましたもんね」
「もはや住んでた」
◇ ◇ ◇
「創ちゃん」
レティシアは天井を見る。
「スマホ不便」
沈黙。
数秒後。
――ブワッ。
「来た」
黄金の光が部屋を包む。
空間が歪み、
神々しい紋様が浮かび上がった。
そして。
創造神が現れる。
相変わらず無表情。
「また来ましたね……」
エミリアが遠い目をした。
レティシアはスマホを掲げる。
「これさ、写真しか撮れないんだけど」
「…………」
「電波とかないの?」
創造神は少し沈黙した後。
「……ムリ」
「早っ」
創造神はそのまま帰ろうとする。
「あっ待って待って待って!!」
レティシアが慌てて引き止めた。
「せめて! せめてメッセだけ!」
「…………」
「lean! leanだけでいいから!」
創造神は無言。
「おねがいおねがいおねがいおねがい!!」
「…………はぁ」
その瞬間だった。
パァァァァッ――!!
スマホが一斉に光り始める。
『創造神スキル起動』
『“離れていても繋がりたい”という欲求を確認』
「うおっ」
『簡易魔力通信術式を構築します』
『“lean”を創造します』
ピコン。
スマホ画面が変化した。
見たことのない緑色のアイコン。
「来たぁぁぁ!!」
創造神はそれだけやると、
再び光の中へ消えていった。
「帰るの早っ」
◇ ◇ ◇
「リーン……?」
エミリアが首を傾げる。
「メッセアプリ!」
「めっせ……?」
「遠くの相手と文章で話せるやつ!」
「!?」
エミリアが目を見開く。
「そ、そんなことが可能なのですか!?」
「可能になった!」
レティシアは即座にフィリアへ送信する。
【フィリア様〜】
数秒後。
ピコン。
【レティシア様!?】
「返信はっや」
【ど、どうなさったのです!?】
【なんか文字浮かんでますわ!?】
【怖いですわ!?】
レティシアは吹き出した。
「めっちゃパニクってる」
エミリアもスマホを覗き込む。
「本当に届いてますね……」
◇ ◇ ◇
その頃。
王城。
「フィリア様!?」
「突然、板が喋り始めましたが!?」
使用人達が大混乱していた。
しかし。
フィリアは。
【レティシア様といつでもお話できますの!?】
【神アイテムですわぁぁぁ!!】
秒で順応した。
「適応早っ」
◇ ◇ ◇
「でもこれ便利だね〜」
レティシアはニヤニヤしながらスマホを見る。
【今日の騎士様、ちょっと笑ってくださいましたわ!】
【脈アリ】
【早いですわ!?】
「いつもの始まってますね……」
エミリアが苦笑した。
その時。
ピコン。
「ん?」
レティシアのスマホへ通知が来る。
【創ちゃん】
「えっ」
送られてきたのは。
ぐったりした謎のキャラクターが床へ突っ伏しているスタンプ。
【疲れた】
「スタンプ使っとるぅぅぅ!!」
エミリアが吹き出した。
「神様、順応早くないですか……?」




