24話 楽しけりゃ、それでいいっしょ!
「レティシア様ぁぁぁ!!」
今日もアルヴェイン公爵家へ、
騒がしい声が響く。
「今度はなに」
レティシアはソファへ寝転がったまま答えた。
部屋へ飛び込んできたのは、
もちろんフィリアだった。
「リーンのぐるちゃが百件超えましたわ!!」
「増えすぎでしょ」
「しかも皆様ずっと喋ってますの!」
「それはそう」
リーン文化は、
完全に王都へ定着していた。
◇ ◇ ◇
街へ出れば。
「てかそのネイル盛れてない?」
「待って今プリ機撮ろ!」
「リーン送っといて〜!」
そんな声が普通に聞こえてくる。
かつて厳粛だった王都は。
今や。
めちゃくちゃ騒がしかった。
「……なんかすげー変わったね」
レティシアは苦笑する。
最初は。
つけまだけだった。
そこから。
香水。
メイク。
推し活。
リーン。
気づけば。
この世界は、
少しずつ変わっていた。
◇ ◇ ◇
「ですが」
エミリアが微笑む。
「皆様、前より楽しそうですよ」
「……ま、確かに」
オシャレを楽しむ人。
恋バナで盛り上がる令嬢達。
リーンで夜更かしする王族。
そして。
「ウェ〜イ!!」
「うるさ」
チャラ化したレオン王子。
「まだやってたんそれ」
「民を理解するためだ」
「絶対楽しんでるじゃん」
◇ ◇ ◇
ピコン。
レティシアのスマホが震える。
【お父様】
【レティシアへ】
【最近、王都が賑やかですね】
【公爵家の使用人達も楽しそうです】
【お父様も少しリーンを覚えてきました】
【etc…】
「まだetc使ってる」
エミリアが吹き出した。
さらに。
ピコン。
【創ちゃん】
「えっ」
送られてきたのは。
大量のスマホ通知に埋もれて、
ぐったりしている謎キャラクターのスタンプだった。
【疲れた】
「神も大変そう」
◇ ◇ ◇
レティシアは窓の外を見る。
賑やかな王都。
笑い声。
騒がしい人々。
最初は、
だるいだけだった異世界。
でも。
今は。
ちょっとだけ好きになっていた。
「……ま、楽しけりゃそれでいいっしょ!」
フィリアが笑う。
エミリアも笑う。
レオンも呆れながら笑っていた。
レティシアはニヤッと口角を上げる。
「――まだまだこの世界も、もっともっと盛りまくってやるっしょ!」
その瞬間。
王都へ、
楽しそうな笑い声が響いた――。




