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『平成ギャルが公爵令嬢に転生したら、貴族社会がマジでだるすぎた件』  作者: qp46


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12話 盛りたいなら身分なんて関係なくね?

「え、外出!?」


 りなは目を輝かせた。


「はい。本日は街へ買い物に」


 エミリアが頷く。


「うわ、異世界ショッピングじゃん!」


「しょっぴんぐ……」


 最近エミリアは、

知らない言葉を一旦受け入れるようになっていた。


   ◇◇◇


「うわ〜!」


 街へ降りた瞬間、

りなのテンションは爆上がりだった。


 石畳。


 露店。


 パンの香り。


 人の声。


「異世界って感じ〜!」


「レティシア様、はしゃぎすぎです……!」


 エミリアが慌てて後を追う。


 だが。


 しばらく歩いたところで、

りなはふと足を止めた。


「……ん?」


「どうされました?」


 りなは街を見回す。


 人は多い。


 賑わっている。


 でも。


「……盛れてなくね?」


「え?」


 全員、

地味だった。


 髪も。


 服も。


 装飾も。


 もちろん、

貴族ほど金はない。


 だけど。


(いや絶対もっと可愛くできるじゃん……!)


 りなの視線が、

花屋の少女で止まる。


 髪は綺麗な茶色。


 顔立ちも整ってる。


 なのに。


 前髪ボサボサ。


 リボンもなし。


「……もったいな」


「え?」


 エミリアが首を傾げる。


「この街、素材いい人多いのに全然盛ってない」


「そ、素材……」


「なんか下げなんだよね〜」


 そんな時だった。


「お姉ちゃん、公爵様の人?」


 小さな女の子が、

りなへ話しかけてきた。


「ん?」


「その爪、キラキラ!」


 ネイルを見て、

目を輝かせている。


「え、気になる?」


「うん!」


 りなはニヤリと笑った。


「……よし」


 その瞬間。


 ――ブワッ。


「街中で始まったぁ!?」


 エミリアが叫ぶ。


 黄金の光。


 神々しい紋様。


 通行人たちがざわつき始める。


『創造神スキル起動』


『“誰でも盛れる世界にしたい”という欲求を確認』


 りなが固まった。


「……え」


 今までと少し違う。


 “自分が盛りたい”じゃない。


 でも。


 胸の奥が、

少し熱かった。


『新規創造候補を解放』


『お手軽リボン』


『キラキラアクセ』


『ワンポイントネイル』


「お手軽って大事なんよ!」


 現れたのは、

シンプルなアクセサリーたち。


 高価じゃない。


 でも。


 ちょっとだけ気分が上がる。


「ほら」


 りなは少女の髪へ、

小さなリボンをつけた。


「……っ!」


 少女の目が、

ぱあっと輝く。


「かわいい……!」


「っしょ?」


 さらにりなは、

少女の爪へ小さなラメを乗せる。


「うわぁ……!」


 周囲の女の子たちも集まってくる。


「ずるい!」


「わたしも!」


「キラキラしたい!」


 気づけば。


 小さな人だかりができていた。


   ◇◇◇


「……見てくださいよ旦那」


 露店の店主が呟く。


「最近の嬢ちゃんたち、

みんなリボン欲しがるようになってる」


「ネイル? とかいうのも流行ってるらしいぜ」


「“盛る”ってやつか?」


 少しずつ。


 本当に少しずつ。


 “盛る文化”は、

貴族社会から街へ広がり始めていた。


   ◇◇◇


「……レティシア様」


 帰り道。


 エミリアが小さく言う。


「今日のレティシア様、

なんだか少しだけ……」


「ん?」


「楽しそうでした」


 りなは少しだけ目を丸くして。


 そして笑った。


「……まあ、みんな盛れてた方がマジアゲじゃん?」

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