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『平成ギャルが公爵令嬢に転生したら、貴族社会がマジでだるすぎた件』  作者: qp46


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11話 王子なんて推すしかなくね?

「……ねえフィリア」


「はい!」


 最近、

フィリアの返事が良すぎる。


 王女なのに。


「この国、顔いい男多くね?」


「……へ?」


 フィリアがぽかんとする。


 りなはスマホを見ながら頷いた。


「いや普通にレベル高いんだが」


 この世界、

素材が強い。


 女性だけじゃない。


 男性陣も普通に顔が良い。


 特に王族。


 社交会でちらっと見た王子たちは、

完全に少女漫画だった。


「お兄様方のことですか……?」


「そうそう」


「えぇと……」


 フィリアが困ったように笑う。


「昔から人気はありますが……」


「いや違う違う」


 りなはニヤリと笑った。


「“推し”にすんの」


「推し……?」


 その瞬間。


 フィリアの背筋に嫌な予感が走った。


   ◇◇◇


「――というわけで」


「どういうわけですか!?」


「王子たちの写真ほしい」


 フィリアは固まった。


「しゃ、写真ですか!?」


「推し活には必要じゃん」


「お、おし……かつ……」


「好きな人を全力で応援する文化」


 フィリアは少し考え込み――


「……それは、素敵ですね」


「理解早っ」


 完全に染まっていた。


   ◇◇◇


 数日後。


「……おお」


 りなは机いっぱいに並べられた写真を見る。


「マジで顔面国宝なんだが」


 王子たちの写真。


 読書中。


 剣術中。


 笑った瞬間。


 完全にオフショットだった。


「フィリア、有能すぎん?」


「えへへ……」


 王女、

ちょろかった。


「よし」


 りなはスマホを構える。


「ここにデコ入れて〜」


「でこ……」


「“尊い”っと」


「とうとい……」


「“今日も顔が良い”っと」


 フィリアが目を輝かせる。


「すごいです……!」


「っしょ?」


 さらにりなは、

写真を小さなカード状に加工する。


「これ持ち歩く用」


「持ち歩くのですか!?」


「推しは常に摂取したいじゃん」


「摂取……」


 フィリアの価値観が、

また壊れた。


   ◇◇◇


 その頃。


「……旦那様」


「なんだ」


「最近、お屋敷の女性使用人たちが“推し”という単語を頻繁に使用しております」


「……ふむ」


 公爵は静かに頷いた。


「さらに、“王子派”と“レティシア様派”で分かれているようで」


「…………は?」


 公爵の動きが止まる。


「ちなみに現在は、レティシア様派が優勢かと」


 沈黙。


 数秒後。


 公爵は静かに口を開いた。


「……当然だな」


「ですよね」


 執事長ベルモンドも真顔で頷く。


 そして。


 二人は無言で視線を動かした。


 部屋の奥。


 そこには。


『本日のレティシア様』


『笑顔コレクション』


『マジアゲ写真集』


 などと書かれた、

謎の棚が存在していた。


「……ベルモンド」


「はい」


「新しい写真はまだか」


「本日分を現像中です」


「急がせろ」


 完全に推し活部屋だった。

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