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空白の英雄譚  作者: りゅりょ(仮)
第1章 未熟
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第1章 4話 僕に逃げ場は無い。

人生とは、努力の積み重ねである。

努力をする事で、経験を積む事で人は成長できる。

そして僕は今、努力をサボっている。


〜時は遡り32分前〜


「ダト字全部覚えた、やった!」

さてさて次はドト字かな?

似てる形のものはそれほど無いし、ダト字よりは時間も掛からないだろう。

そうそう、ドト字は必修ではないらしい。

なら別に覚えなくてもいいかなと、少し前までの僕なら思っていただろう。

いや別に今も全然思ってるが。

その証拠に今から行動で示してやろうか。

寝たり、散歩したり、いろいろあるが⋯やめておこう。

ドト字は後回しとして、ファラ字を最初にやろう。「そういえばファラ字って何文字あるんだ⋯⋯?」

僕は教材をめくっていき、何文字程あるのか確認していく。

「⋯⋯」

絶望する程多い文字量に、僕はめくる手を止めた。

「あ、これ無理なやつだ」

ダト字の量を圧倒的に超えている。

今の僕では確実に無理。誰になんと言われようと無理だ。

僕はじっと開かれた教材を見つめる。

「⋯よしサボろう」

僕は開いていた教材関係をそっと閉じ、椅子から立ち上がった。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「よいしょっと」

草原に来て僕はその場に腰を下ろす。

いいね。こうしていると、なんとなく気持ちが休まる気がする。

落ち着くね〜。


〜そして今に至る〜


今は勉強のことなんか全部忘れて、風に攫われたい気分だ。

朝の爽やかな風が、サボっている罪悪感と共に僕の身に沁みる。

ああ、なんという絶妙な心地良さだろう。

これはもう僕に対し自然が睡眠を促していると言ってもいいな。

この世界で最も偉大な存在に睡眠をしろと言われているんだ。

これは従わない理由はないな。うん

それでは少し遅めの2度寝と洒落込もうか。

朝という大地の目覚めに促されるまま、僕は眠った。


〜夢〜

『あははは、あはははははは』

『コンニチハ』

僕が笑って雲の上を跳んでいると、ファラ字の1文字目だと思われるものが喋りながら追いかけてくる。

『コンニチハ』

更にダト字が加わり、僕を挟み打つ。

『コンニチハ』

『コンニチハ』

更にダト字が2つ加わり、僕を四方から囲う。

もう逃げ場は無い。

逃げ場を失った僕を、ダト/ファラ字が追い詰める。

その中の1つに、腕のようなものが生え、教材を投げつけてきた――


〜現実〜

「っ⋯!はぁ、はぁ、なんだ夢か⋯」

酷い悪夢を見た。

僕は思わず跳ね起き、呼吸を乱す。

心臓の鼓動が鳴り止まない。

風が頬をかすめる度、自然に身を委ね眠った自分を恨みたくなる。

夢の恐怖で震える両手を、閉じ込めた腹で覆う。

「す〜⋯はぁ~⋯」

上を向き、目を閉じて息を吸う。

息を吐く寸前に目を開け、流れる雲と青空を見つめ、深呼吸をした。

少し落ち着いた。

⋯冷静に考えるとそれほど怖い夢ではなかったな。

そう、夢の中だから怖く感じただけだ。きっと

怖いというより、変な夢だったから怖かったのかもしれない。

このままサボっていたらまた夢に出てきそうだな⋯

「帰って勉強、か⋯」

夢で苦しむか、現実で苦しむか。悩むな⋯

僕は少し考えた。

考えた末、導き出した答えは――

「どうせ夢なんて忘れることのほうが多いしな⋯」

ダメな奴の考え方であった。

我ながらどうしてこんなにもダメダメな思考をしているのだろうか。

「⋯⋯」

僕は夢の内容を思い出した。

「⋯⋯⋯⋯⋯」

僕は立ち上がり、村へと帰った。


帰り道、夢の内容が頭から離れない。

本当に変な夢だった。変な夢すぎて怖い。あれはまさに悪夢と言っていいだろう。

今度からああいう夢は夢だと思おう。夢の中で。

というか、よく考えたら夢の中で夢だと思ったこと無いな。なんでだろう。

そう考えていると、森を抜けて村に出た。

家に帰ったら勉強しなければ。

夢のことは、もう考えないようにしよう。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「⋯ん⋯⋯んん」

今日も清々しい朝がやってきた。

昨日の夢のような悪夢は見なかった。快眠である。記憶に無いだけかもしれないが、それならば別に深く考える必要は無い。

「さてと、昨日の続きやりますか」

僕は部屋の鎧戸を開けてから朝ごはんを食べて、勉強を始めた。


もう何分経ったかわからない。

気づけば手が止まり、すでに僕は、廃人のような顔をして絶望に浸っていた。

⋯多い。何がと言わずともきっと何が多いかわかるだろう。

いや言うが、そうファラ字が多いのだ。

なんでこんなに多いんだ。

そんな僕の頭に、1つの考えがよぎった。

⋯一旦外に行こう。

だが、そう思い僕が顔を上げた途端、開いた鎧戸の向こうから、ぽつりと雫が落ちるのが見えた。

「⋯」

一粒、また一粒。

それはすぐに線になり、地面を暗く濡らしていく。

「なんたって都合がよく降り始めるんだ」

今日は外に出るのは無理そうだ。

雨が入ってこないように僕は鎧戸を閉めた。


「ふふふふふふっ」

勝った。僕はこの地獄を乗り越える必勝法を思いついた。

その名も、本を読みながら覚えていこう!⋯作戦!

完璧だ⋯それじゃあ早速やっていこう。

本当は4月中に出すつもりだったのですが、少し遅れてしまいました。すいません


今回はちょっと短めです。

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