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36.悪夢2

 夢の中で夢だと確信するのもおかしな話だが、それならば心配なく傍観できるというものだ。アキラは空気中に寝そべるような視線で男の様子を伺っていた。


 白衣を着た黒髪の男は、眉間に深い皺を刻んでいる。


『なぜ、毎回同じ結果になってしまうのだ』


 男の座る机の上には、光る箱が一つ置かれていた。男はその箱を見ながらぶつぶつと呟き続けている。


 やがて何かの結論にたどり着いたのか男はすっくと立ち上がった。


『やはり、人は●●なくしては生きてはいけない、ということか』


 それはやっと得た結果に対しての喜びよりも、苦渋に満ちた声だった。


(●●ってなんだ?)


 男は散らばっていた書類を全て抱えると、部屋を出て行った。


(あ、おい●●って……)


「おい、魔王」


「なんだよ、今いいところで……」


「起きろ! 魔王!」


 威勢の良い声が響くと、アキラはベッドから蹴落とされた。


「あだだだ……」


「お壌。中身は十五歳でも身体は七十なんだから、あんまり無理はだめっすよ」


「これだけ元気な爺、心配はいらん」


「……」


「あ、これは失礼したっす」


 ジト目のアキラを助け起こすと、シオンは窓の外を指差して見せた。


「そろそろ砦に着く頃っす。下船の準備をして欲しいっす」


「砦……?」


 シオンの指差す方向を見ると、外は暗雲立ち込める曇天へと変化していた。


 時折激しい雷鳴が轟いている。今も窓の外が光った。


 不安げなアキラの様子にシオンは笑った。


「雷島はいつもこうなんすよ。マリナーラの船はこれしきの時化じゃびくともしないっすから、心配はいらんっすよ」


 手渡された外套を身につけ、アキラは甲板に顔を出した。


 雨こそ吹いていないものの、風と雷鳴が激しく荒天といって良い天気だろう。


 目の前には岸壁に囲まれた小さな島が浮かび上がっていた。


「うわ~、岩の塊だな、これは」


 浅瀬や浜辺は一切なく、切り立った崖が突然海面から聳え立っている。


「これ、島っていうより山、だな」


 同じく外套を羽織ったミユとカイが近づいてきた。


「これでは船はつけられまい」


「一体どうやって上陸するんだ?」


「ふふん、わかるまい。凡人には我らの砦に足を踏み入れることなどできんのだ」


「雷鳥に運んでもらうんですよ」


「あ、シオン。そんなあっさりと」


 慌てるルビーを尻目にシオンは空を仰いだ。暗雲の中から、何か光の塊が降りてくる。


 よく見ればその光は、二羽の巨大な鳥だった。


 船の半分ほどもあろうかという巨大鳥は、船の前後の舳先をその巨大な鍵爪で掴みタイミングをあわせて舞い上がった。


「うわ」


ぐらり、と揺れる甲板にアキラはたたらを踏んだ。その肩をカイが支える。


「これは……魔物?」


「いや、雷鳥は動物、だな」


 アキラの問いにカイはじっと鳥の羽を見つめながら答えた。


「魔物の色は黒と相場が決まっている。こんな煌びやかな生き物は魔物の範疇には入らない」


「いったい誰がどういう線引きで決めてるんだよ……。黒が魔物の色なら、黒髪黒目の俺とお前、そしてミユも魔物じゃないか」


「希少価値が高いという意味では、間違いなく魔の分類だろうな。

 そんな人間が一度に三人も揃っているのは珍しい」

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