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33.義賊マリナーラ

「要するに、あんたらも魔王を迎えに来たと、そう受け取って良いのでしょうか」


「平たく言えばそうだ」


「ま、有り体に言えばそうですね」


「ほう、それでは」


 ぐぐっ、とカイの背中を押すとアキラは言った。


「さあ、行け勇者カイ! 魔王を求める悪しきテロリストを殲滅するのだ!」


「こら、ちょっと待て」


 いきなり後ろから押されて、カイはわたわたと抗った。


「お前、さっき女テロリストを成敗するのは止めただろう」


「あれは……、お前があのでっかい剣で斬ろうとするからさ」


「敵なんだから、当たり前だろうが。ったく、言うことがコロコロ変わる」


 背後にアキラを隠すと、カイはすらりと大剣を抜いた。


 騒いでいたルビーと青年がはっとカイに視線を向ける。


「お前たち、大人しく引けばよし。もし歯向かうようならこの剣の錆にしてくれる」


「何でそんな棒読みなんだよ……」


「いい度胸だ!」


 破顔すると飛び退り、ルビーは拳銃を構えた。


「先ほどは遅れをとったがこの距離ではその刃も当たるまい!

 さあ、いざ尋常に……いたっ」


「尋常じゃないでしょ、ちっとも」


 いつの間にか背後に回りこんだシオンにチョップを脳天にくらい、ルビーは頭を抱えて涙目になった。


「何をするのだ、シオン~」


「落ち着きなさい。さっき滅茶苦茶はっきり負けてたでしょうが。


 それに大体あなた、何のために戦うのか分かっていないでしょう」


「私に剣を向ける輩は生かしてはおかぬ~」


「どう聞いても、あなたのほうが悪人の台詞でしょう」


 かがみこんでルビーの頭を撫でると、シオンはアキラに向き直った。


「あなたが、マキが迎えに来た魔王ですね」


「そうだ。……と思う」


 マキにばれている以上隠し立てしても仕方が無い。アキラは堂々と(カイの背に隠れて、だが)答えた。


「魔物を操る術も知らない。あんたらのご希望の力も何も持っちゃいない見てのとおりの一般人だ」


「剣も魔法の一つも唱えられない引きこもりで、外見年齢七十歳の十五歳」


「余計な情報付け加えるな!」


「む、さすが魔王。持ちネタが多い……」


「お壌。そんなところに対抗意識持たないで」


 唸るルビーにシオンはこめかみを押さえた。


「俺に皆何を期待しているんだか知らないけど、特に俺にできることなんかないぜ。


 一体、俺に何の用があるって言うんだ」


「あなたにしかできないと言われていることがあるっす。我々はあなたの力を借りたい。


 だからあなたとは出来うる限り戦いたくはないっす」


「また伝説か……」


 シオンの言葉にアキラはため息をついた。


「お前たちは我々を平和を乱す悪辣な集団だと思っているかもしれないが、我らとて好き好んで暴れているわけではないわ」


 忌々しそうにルビーは言葉を継いだ。


「詳しい話は我らの砦で説明さしてもらうわけにはいかないですかね。そろそろ魔法も解けそうですし」


「マキの誘いを断ったのに、お前らの誘いは受けろ、と」


「今断ったとしても、首都に着けばすぐに王城へ連れて行かれるぞ」


 拳銃をくるくる回しながら腰のホルスターに仕舞うと、ルビーは腕を組んだ。


「……どういうことだ」


「勇者と魔王が船に乗ったという情報は、もう首都に届いていると考えた方がいいっす。 

 我々マリナーラでさえ、このことを知っているんすから」


「……クロノ教団とマリナーラでは情報伝達網が異なるのか」

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