文化祭 1
ついに、この日がやってきた。
運命の日、文化祭当日。この日、僕は倉瀬に告白をする。そして、友達から恋人へとランクアップしてみせる。
いつもより長めに身支度を整え、準備。朝ご飯の最中に見た今日の占いでは、1位。最高の結果だ。
僕は意気揚々と玄関を後にする。支度をしている時から心が落ち着かない。ふわふわしているのが、自分でも分かる。緊張しているのだろうか?当たり前だ。告白するなんて初めてのことなのだから。
通学路がいつもよりはっきりとして視える。天気も最高。少し暑いくらいか…。それとも、心の温度なのか?世界全てが自分の味方をしている、そんな錯覚さえしてくるようだ。
くだらないことを考えていると、困っているお婆さんを見つける。どうやら、道に迷っているらしい。目的地への道を案内するとお礼され、感謝された。善行まで積んで、まさに最強。
学校へ着くと、すでに生徒が慌ただしく動いている。実行委員は早くから学校へ来て準備を進めているのだろう。
僕は、彼らを横目に教室へとそそくさと向かった。
そこには、天使がいた。
メイド服✕倉瀬麻耶、これ程の破壊力とは…!
「あっ、おはよ」
倉瀬が話しかけてくる。思考がエラーを放っている。そもそも、同級生のメイド服のコスプレなんて思春期真っ只中の男子高校生には刺激が
強すぎるのだ。まして、それが好きな人なら尚更だ。
僕が戸惑っていると、それを見透かしてなのか、耳元で囁く。
「シフトが終わったら、声を掛けるね」
そう言うと、クラスの女子の元へ去って行く。
心臓がバクバクしている…。僕の気も知らないで罪な女だ…。
男子達もひそひそと話している。倉瀬はあまり目立たない女子だと思っていたが、最近は前より、男子達の仲でよく話題に上がる。可愛くなっただの、綺麗になっただの。女の子は恋をするとそうなると聞いたことがある…。
倉瀬もなのだろうか…?その相手が僕だったらいいな…。
ぼんやりとそんなことを思いながら心臓を元に戻すことに努めた。途中、女子に邪魔と言われて追い出されたが…。
何処で時間を潰そうか考えていると、斎藤に声を掛けられた。
「よ〜、ちょっといいか?」
神妙な面持ちで尋ねてくる斎藤。その顔には何時のようなチャラい表情ではなかった。
「話しがあるんだ。付き合ってくれよ。」
断る選択肢を与え無いような、覇気のある顔。その表情を見て、なんとなく内容が想像できる。
「いいよ。僕も暇だったんだ。」
文化祭は今、幕を開けた。




